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医学部小論文テーマ集④・『患者の権利』について

医学部の小論文では、頻出テーマがあります。年度によって新傾向の出題がされることはありますが、まずは頻出テーマに対する論述には問題なく回答できるように、基本的な知識を身に付け、文章を書く練習をしておくことが大切です。

以前、出題されるテーマをまとめた記事を書きましたが、今回からはそれぞれの項目について詳しく解説していきます。

本記事は、『④患者の権利』についてです。

患者の6つの権利


患者には大きく分けて6つの権利があるといわれています。これは、1981年に採択されたリスボン宣言で提唱されました。

①      人格や価値観、人間の尊厳が尊重される権利
患者にはその人格や価値観を尊重され、人間としての尊厳を保つ権利がある。

②      良質な医療を平等に受ける権利(医療アクセス権)
患者は誰でも良質な医療を受ける権利があり、自己の生命を守り、苦を緩和するために最先端の医療を受ける権利がある。

③      知る権利
インフォームドコンセントの元となる権利。病状や治療方法に関して十分な情報を得て、説明を受ける権利がある。

④      自己決定権
医療に関する選択、診断手続きや治療の承諾、拒否を自身で決める権利がある。

⑤      プライバシーの機密保護
患者の病状等の個人情報を承諾なく開示されない権利。

⑥      病気についての教育を受け、学習する権利
患者には病気やその治療および健康を促進するための知識を得る権利がある。

特に重要な自己決定について次の項で見ていきます。

自己決定権の内容


患者が言ったことをすべて受け入れて治療を行うのかというと、そうではありません。患者の自己決定権はどんなことにも認められているわけではないのです。例えば、使用が禁止されている薬を使ってほしいと患者に言われても、これに応じてその薬を投与することは、患者の自己決定権に基づいた医療ということにはなりません。なぜなら、この行為は正当な医療行為として認められていないからです。患者の自己決定権は、あくまでも正当な医療に関する権利です。
ある疾病に対して、治療法が複数ありどの治療法を選択するのか、何を優先して治療をしていくのか、在宅医療にするのかといった事柄について、患者の選択を尊重していくことが、自己決定権の尊重です。ただ、患者の自己決定権を尊重し、そのうえで患者のSOL(生命の尊厳)、QOL(生命の質)の向上を最大限に努力するべきです。

自己決定は必ずしなければならないのか?


患者には知る権利とともに知らされない権利もあります。患者の中には自分の病名を知りたくない人もいますし、治療方法についても医師が思う最善の治療方法を求める人もいます。このような場合には、患者の知らされない権利も尊重しつつ医師が最善と思う方法をとることが大切になってきます。

患者が自己決定を行えない状況の場合


患者の意識がすでに無かったり、自己決定ができない状況であったりする場合には、どのように対応すればよいのでしょうか?
このような場合でも、患者の感じ方、考え方を尊重することが最も大切です。ただ、本人には直接確認できないため、家族の判断を求めることになります。この時にも、家族自身の考えではなく、患者本人がどう考えるのかを考慮することが望ましいです。患者の意思と家族の意思が異なることはよく起こりますので、事前に家族とこのようなケースについて普段から話し合っておくとよいかもしれませんね。

本日はここまでにします。
ご覧いただき、ありがとうございました。

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