【医学部受験ウェブセミナー】受験前の効果的な復習計画について
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医学部に合格するために大切なこと
復習の目的を考えるにあたり、「医学部に合格するためには何が大切か」ということについて整理します。
医学部に合格するために大切なことは大きく下記の2点です。
①全教科の基礎を徹底する
②試験本番の得点力を向上させる
特に、①全教科の基礎を徹底するという点に関しては、「バランスよく復習すること」が大事になってきますが、誤った認識をされている方が多くいらっしゃるため以下で詳しく解説させていただきます。
間違った復習方法
間違った方法についても少し整理させていただくと、大きく4つ挙げられます。
まず、
①分析をしていない
②優先順位を考えていない
の2点は似ていますが、それぞれ重要な点になります。優先順位を考えるためには自分の状況を分析をする必要があるため、分析をした上で優先順位を考えることが重要です。
③時間で決めてまんべんなく復習している
これは一見バランスをとっているように見えて、逆にバランスが崩れてしまう取り組み方になってしまいます。(例 英数理各2hずつ、理科1hずつ、国社各1hずつ など)
例えば、模擬試験や過去問演習をした後に、英数理を均等に復習すべき場合は少ないです。失点原因を詳しく分析すると、「今回は数学の基礎に抜けが見つかった」 あるいは、「今回は化学の有機化学で暗記不足がたくさんあった」 など、演習ごとに失点の原因が異なります。分析して見つかったことをバランスよく復習することが大切です。
そのためには、むしろ"時間"は均等にならない方が正解と言えます。
例えば過去問演習を行った際、数学で基礎の抜けが多く見つかった場合には数学の復習に多く時間を割くことになりますが、英語に基礎的な部分の抜けがなかった場合は英語に割く時間は数学よりも少なくなります。復習をしている際に化学の抜けが多く見つかった場合には、「来週は化学の優先順位を上げて時間を多くとる」といったかたちで取り組みます。
このように、分析をした上で目的意識をもって優先順位を考えると、時間は各教科で均等にならないことの方が多く、状況に応じた復習時間が必要になってきます。
④難しい問題を解こうとしている
医学部受験生で誤認している方が多くいらっしゃる内容になりますが、医学部に合格するために必要なことは、難しい問題を解くことではありません。
③でもお話しした通り、「基礎的なことを抜けなく復習していくこと」が非常に重要です。一方で、抜けなく復習していくことはそう簡単ではありません。
誤った例として、過去問に出題された問題の中で一番難しい問題に目が行ってしまうことがよくあります。
例えば、数学の大問3の最後の問題が非常に難しくて解けなかった場合、その問題の解説をじっくり理解して、丁寧に解き直しを行いたくなることが多いです。ところが実際蓋をあけてみると、大問3の最後の問題は多くの受験生が解くことができておらず、合格している人でさえも解けていない難問であったということがよく見られます。
このようなことは医学部受験本番において往々にしてあることで、どの大学でもこのような問題(合格者でもほとんどの人が解けない難問)が出題されることが多くあります。
分析を正しく行わないと難しいところばかりに目が行ってしまいますが、優先順位を正しく考えると、難しい問題の復習に時間をかけるのではなく基礎的な問題を優先して復習することが大切になってきます。
また、よっぽど勉強がうまくいっている人でない限り、今の時期(12月後半)には、基礎ですら復習がきちんとできていない分野が必ずあるはずです。多くの場合、基礎をしっかりと復習することが大切です。
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効果的な復習方法
これは、上記の間違った復習方法の裏返しになりますが、いくつか大切な点についてお話しさせて頂きます。
①分析を行う
過去問演習をした後の分析についてですが、当塾で指導している分析は大きく分けて、「試験の解き方」と「失点原因の分析」の2項目があります。
・試験の解き方
これは、勉強面の復習とは別軸になりますが、そもそも、時間配分をしっかり行いやミスをしないことなど、試験の解き方がしっかりできていたのかを分析します。
・失点原因の分析
なぜこの問題を失点してしまったのかを分析します。分析をするときのコツとしては、問題集に載っている内容かどうかを判断することです。自分が間違えた問題が、参考書に載っている基礎的な内容であれば、最優先で復習する必要があります。
②優先順位を考えて復習計画を立てる
失点原因の分析をした上で、優先順位を考えて復習計画を立てていきます。
例えば、化学の有機化合物の性質をそもそも忘れてしまっていたのであれば、問題集や参考書に載っている基礎的な内容であるため復習の優先順位は非常に高いです。
一方で、参考書に載っているかもしれないが、条件が組み合わさって思考が必要であるものなどは、丸々参考書に記載があるものと比べて優先順位はそこまで高くはありません。
そして、最も優先度が低いものとしては、前項目の間違った復習方法④でも述べた通り、明らかに難しい問題です。具体的には、解説を読んでも理解できなかったり、試験時間内で解くことが厳しいような問題です。
明らかに難しい問題に関しては、合格最低点が100点という大学が存在しないことから、全ての問題を解く必要がないことがわかります。医学部の合格最低点の平均値をとると、高くても60%くらいの場合が多いため、逆にいうと約40%の問題は解く必要がないということになります。
そのため、上記のように優先順位をつけて、問題集に載っているようなものを最優先で復習し、載っていないような難問は一旦優先順位を下げることが大切です。優先度の高いものの習得が十分できていれば難問の習得に取り組んでもよいですが、基礎的な抜けは必ずどこかにあると思われるため、基本的には難問の優先順位は下がることが多いです。
③全教科の基礎を徹底する
復習計画を立てる際に、分析をした上で優先順位を考えると、例えば優先順位の高いものからABCと振り分けて「数学にAの分野が多く、生物はAが少ない、英語はAがなしでBやCのものが多い」などとなります。全教科の優先順位に従って復習を行う必要があるため、この場合であれば、数学の勉強時間が長くなることになります。
誤った例として、全教科のバランスを考えずに教科ごとに復習計画を立ててしまうことが挙げられます。教科ごとに計画を立ててしまうと、全体的にみて習得度に偏りがでてしまうことが多いです。そのため、復習をする際には全教科のバランスを考えた計画を立てることがポイントです。
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④処理能力を向上させる
受験生であれば多くの方が経験あることだと思いますが、「分かるけど時間が足りない」「さっと解けないから自信がない」「うろ覚えで解き切れない」というような問題にたくさん直面すると思います。
このように、何となくわかっているけど解き切れない問題というのは、いわゆる処理能力が追い付いていないことがほとんどです。
これは案外多くの人が見落としている点で、共通テストにおいても言えることですが、医学部の試験では「限られた制限時間の中でミスなくスピーディーに解き切ること」が大きく合否に影響してきます。これは実行しようとすると意外と難しい点であるため、処理能力を向上させる練習が重要になってきます。
当塾では、試験の解き方を徹底して指導していますが、理由としては、試験において、優先順位の高い問題から素早く解いていく必要があることが挙げられます。
難しい問題は皆が解けないことが多いため、解いても差がつかずあまり意味がありません。
正しい解き方をしていると、問題集に載っているような基本的な問題がたくさん出た場合に、基礎的な問題を優先して解いていたがゆえに、思考が必要な難しい問題に時間を割けないということが医学部受験本番で非常に多くあります。
全問題を解く必要がないことは上記でも述べましたが、処理能力を向上させておかないとそもそも難しい問題に手を付ける時間が無くなります。
難しい問題を解くためには、難問の解説授業を聞くこと以前に、基礎的な問題を制限時間内に素早く処理することが必要です。
そのため、基礎の習得を徹底した上で、それらを素早く解くために処理能力を向上させておかないと、応用的な問題を解くための時間がないということになります。
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直前期はメンタル面を最優先に
現場で指導をしていても、直前期は特に相談事項が増えてくる時期であり、メンタル面の管理が非常に大切になってきます。
理想的な目標は、「全教科の基礎の徹底」として間違いありません。
しかし、本当に完璧にすることは不可能です。
実際、当塾では医学生講師が十数名在籍し、毎日面談を行っていますが、卒業生講師であっても受験生の時に本当に完璧に復習できていたという人はいません。卒業生の中には、国立医学部や難関私立医学部に合格している人もいますが、同様に、完璧に復習できていた人はいません。
特に今の時期(12月後半)の相談で多いのは、「分析をして優先順位を立てることを行っていても優先順位の高いものがどの教科においても複数出てきてしまって、復習が手一杯になってしまっている」という内容です。当塾の半分以上の生徒さんが、毎週このような類の相談をしてくださいます。
卒業生講師も同じような経験があるため気持ちは十分に理解していますが、大事な点は「優先順位をつけること」であって、それを完璧にすることは不可能に近いことを頭に入れておく必要があります。
生徒さん自身が完璧にしなければならないと必要以上に思い込んでしまったり、あるいは親御さんが圧力をかけてしまう場合があると思います。しかし、安心して頂きたい点として、国立医学部や難関私立医学部に合格した卒業生であっても全教科完璧にできた人がいないということを押さえて頂きたいと思います。
結局、受験生は色々不安を抱えながらも本番を迎え、試験に臨みます。満を持して試験に臨む人はおらず、後から蓋をあけてみると「あれでよかったのか」などと思うことがほとんどでです。
理想的には全教科の基礎を徹底することではありますが、本当に完璧にすることは不可能であるため、メンタル面を優先して復習することが大切です。
完璧に復習することが不可能であるからこそ、分析をして優先順位をしっかり立てることが大事になります。
また、優先順位を立てることは、メンタル面にもよい影響があります。
分析をせずに復習しようとすると、あれもこれも不安になり、やらなければならないことが多く見えてしまってパニック状態に陥る可能性があります。一方で、優先順位をきちんと考え計画を立てると、やるべきことが明確になるため復習に取り組みやすくなります。
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*医学部受験において自己分析を行うことのメリットについて
受験直前は、メンタル面を最優先に考えることが大切です。
最近(12月後半)の面談では、いかにメンタル面を最優先に考えるかを重視しています。
4-5月や夏ごろはある程度厳しい指導を行い、勉強面や分析において甘い部分があれば一生懸命教えていきますが、今の時期はまずはメンタル面を最優先に考えます。
講師も受験期の不安を経験しているため、生徒さん自身の不安をしっかりと受け止めた上でそれぞれの経験をお話しし、前を向かせようとしています。前を向いて、落ち着いて考えられるようになったところで、どのように分析・復習を行うか、試験の解き方の改善策に考える必要があるため、やはりメンタル面の管理が非常に重要です。
完璧を目指そうとしない、メンタルを最優先にすることを念頭においていただき、その上で冷静になったらしっかり分析して優先順位を考えて復習をすることが受験直前期には特に大切だと思います。
正しい試験の解き方とは
上記でも少し述べましたが、正しい試験の解き方について説明していきます。
①正しい試験の解き方とは「各大学の最適化」ではない
今の時期(12月後半頃)、「志望校対策」や「○○大学対策」などに取り組む方が多くいますが、正しい試験の解き方というのは、各大学の最適化をすることでは決してありません。むしろ、各大学の最適化を行うと、傾向に固執してしまうというデメリットがあります。
例えば「共通テストの英語はこういう試験」「この大学は○○の範囲が頻出」「問題数は何個」「大問1は簡単だから絶対得点しなければならない」などと強く思い込んでしまう可能性があります。それにより、本番で傾向が変わった時に対応できずパニックになるなど、試験の得点力に関して逆効果になってしまいます。
今年は特に、センター試験が共通テストに変わり、多くの学校や学習塾が分析を公表していますが、10年以上医学部受験を指導している立場から見ても、例年分析通りになったことがないということがはっきりと言えます。
大枠では傾向について語ることはできますが、細かい部分については断言できることはありません。センター試験ですら、毎年傾向や難易度が少しずつ変わっていたため、まして今年は共通テストに変わり、何が起こるかわかりません。
そのため、共通テストや大学の最適化だけを行って、本番状況が変わってしまったときに対応できない等、逆効果にならないよう注意が必要だと思います。
②あらゆる試験に柔軟に対応できる解き方を習得する
これは非常に重要です。卒業生の中にも一次試験で私立医学部を10数校受験し試験に通る方もいますが、当然各大学の過去問演習を何年分も解く時間はありません。なぜそのような人が10数校も試験に通ることができるのかというと、「あらゆる試験に柔軟に冷静に対応できる力を一年間で習得してきたことにより、高いパフォーマンスを発揮できる」ということに尽きると思います。
試験の解き方や過去問演習の取り組み方については、下記の記事に詳しい内容が記載されていますので、ご参照ください。
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