第117回医師国家試験F問題

医師国家試験第117回F問題を解いてみて、間違った問題としっくりこない問題を列挙。
前半〜中盤に難しい問題が多かったが、後半は比較的簡単だった。
2023年7月に回答、正答率は64/75=85.3%。

・良かった点
単純なミスが少なかった。

・悪かった点
答えを調べてもわからない問題があった(オピオイドローテーションと自我意識)
知識があやふやなものがまだ多い。

117F3

ノーマライゼーションに関係するのはどれか。
a バリアフリーの推進
b リビングウィルの尊重
c セカンドオピニオンの利用
d ヘルスプロモーションの啓発
e インフォームド・コンセントの徹底

答え:a
それっぽかったのでaを選んで正解。

・ノーマライゼーション:社会的弱者がノーマルに生活できるよう社会環境を整える。

117F4

新生児の生理的黄疸の成因に関与しないのはどれか。
a 多血症
b 腸肝循環
c 赤血球寿命
d 血清アルブミン値
e グルクロン酸抱合酵素活性

答え:d
「ビリルビンを運ぶのはハプトグロビンだから違うだろう、どっちにしてもビリルビンとアルブミンは1000倍近く血清値が違うので無関係」と思っていたら、また覚え間違い。ビリルビンはアルブミンで運ばれ、ヘモグロビンがハプトグロビンに結合。

117F6

・医療関連死:診療行為に関連した予期しない死亡

117E7

正常な妊娠経過において妊娠前と比較して妊娠中期に低下するのはどれか。2つ選べ。
a 血圧
b 体重
c 血漿浸透圧
d 循環血液量
e 糸球体濾過量

答え:a, c
・妊婦の血液:むくむ方向にシフト→血圧↓、アルブミン↓(浸透圧↓)、循環血漿量↑
・血球:RBC↓(循環血漿量が増えるため。絶対値としては増える)、WBC↑、Plt↓

なかなか覚えられないものの一つ。

117F10

膀胱の蓄尿症状はどれか。2つ選べ。
a 尿意切迫感
b 尿勢低下
c 排尿遅延
d 腹圧排尿
e 夜間頻尿

答え:a, c→a, e、正答率65%
おしっこがたまった時の症状を考えて選んだが間違えていた。言葉を知らなかったがゆえの間違え。

排尿障害の分類
・排出障害:排尿することに問題がある
  ・排出症状:排尿時に問題がある→腹圧排尿、排尿遅延
  ・排尿後症状:排尿後に問題がある→残尿感
・蓄尿障害:蓄尿することに問題がある
  ・蓄尿症状:蓄尿障害の結果起こる→頻尿、尿意切迫感、尿失禁

117F11

疾患と視野異常の組合せで正しいのはどれか。
a 緑内障 --------- 中心暗点
b 視神経炎 --------- 求心性狭窄
c 加齢黄斑変性 --------- 弓状暗点
d 網膜色素変性 --------- 輪状暗点
e 中心性漿液性網脈絡膜症 --------- らせん状視野

答え:a→d、正答率94%
暗点も覚えきれていない問題。何回覚えなおしても忘れる。
もういいやと思って適当に答えて間違えた。
緑内障--------- ブエルム暗点(Bjerrum暗点、視神経乳頭)、鼻側階段、球場暗点
視神経炎--------- 中心暗点、傍中心暗点
加齢黄斑変性--------- 中心暗点
網膜色素変性--------- 輪状暗点(球心性狭窄との混合に注意)
中心性漿液性網脈絡膜症--------- 中心暗点

見返したら割と簡単な問題だった。

117F12

口腔内アフタの存在が診断に有用なのはどれか。
a 腸結核
b Crohn病
c 大腸憩室症
d 虚血性大腸炎
e 過敏性腸症候群

答え:b
b以外にアフタができる疾患がないと思ったのでbにした。

・アフタ:円形または楕円形の浅い潰瘍。表面に白色偽膜があり、周囲に炎症性発赤・腫脹を伴う。
・アフタを引き起こす疾患:アフタ性口内炎、ベーチェット病

117F15

挫滅〈圧挫〉症候群の血液検査で高値を示さないのはどれか。
a カリウム
b カルシウム
c CK
d ヘマトクリット
e ミオグロビン

答え:d→b、正答率44%
腎不全→Ca↓を引き起こすと思って始めbを選んだが、腎不全なら体液貯留でヘマトクリット↑だ、とも思ってdを選んでしまった。
実際には再灌流障害により血管外へ水分が漏出するらしい。

挫滅症候群で細胞崩壊→K放出なのに、Caは放出されない理由がいまだにわからない。

117F17

「周りの景色を見ても生き生きと感じられない。感情がわいてこない」と訴える患者にはどの異常があるか。
a 意識
b 気分
c 知覚
d 見当識
e 自我意識

答え:b→e、正答率49%
「生き生きとしていない」はどこかで自我障害だと見た気もしたが、うろ覚えなので自信がなくbを選んだ。
根拠となる文献は探せなかった。

117F19

・清澄水:水、お茶、果物ジュースなど。カロリーが低く、浸透圧が低く、ミルクを含まないもの(参考)。

117F21

ビタミンKが欠乏すると活性が低下する因子はどれか。
a 第V因子
b 第XIII因子
c プロテインC
d フィブリノゲン
e アンチトロンビン

答え:d→c、正答率82%
フィブリノゲン=第一因子。いつも第二因子と間違えてしまう。

・第二因子:トロンビン。
・プロテインC:ビタミンK依存性で、Va、VIIIaを阻害。

117F23

高齢者が転倒した際、骨折をきたしやすい部位はどれか。3つ選べ。
a 上腕骨
b 大腿骨
c 橈骨
d 脛骨
e 腓骨

答え:a, b, c
なんとなく転ぶとこ想像して選んだけど良かったのかなあ。

117F24

統合失調症を主な対象として、精神症状の包括的な評価尺度として使用されるのはどれか。
a Rorschachテスト
b 状態特性不安検査〈STAI〉
c リバーミード行動記憶検査〈RBMT〉
d Mini-Mental State Examination〈MMSE〉
e 簡易精神症状評価尺度[Brief Psychiatric Rating Scale〈BPRS〉]

答え:a→e、正答率93%
無理、って問題。MMSE以外何一つ実際に見たことない。精神科の検査は直前に丸暗記か。
Rorschachテストが統合失調症に使うのを覚えていたので選んだが、間違えた。

・Rorschachテスト:「尺度」となならないかも
・状態特性不安検査〈STAI〉:不安状態を評価
・リバーミード行動記憶検査〈RBMT〉:日常記憶の検査
・簡易精神症状評価尺度[Brief Psychiatric Rating Scale〈BPRS〉]:問題文の通り

後からふりかえると、名前から考えればわかる気もした。

117F25

 末梢血好中球について正しいのはどれか。2つ選べ。
a 減少症の原因として薬剤性が最も多い。
b 副腎皮質ステロイドの投与で増加する。
c 成人の末梢血多核白血球の約60%を占める。
d 発熱性好中球減少症での基準は1,500/μL以下である。
e 急性細菌感染症では桿状核に比し分葉核の割合が増加する。

答え:b, c→a, b、正答率28%
a,b,cで悩み、b, cを選んだ。
c:末梢血「白血球」じゃなくて「多核球」になっている。見事に引っかかった。

・発熱性好中球減少の基準:1,000/μL以下

117F26

デルマドロームでないのはどれか。
a Sweet病
b 皮膚筋炎
c 黒色表皮腫
d 日光角化症
e 壊疽性膿皮症

答え:b→d、正答率54%
デルマドロームの意味を忘れて解けなかった。

・デルマドローム:全身疾患の皮膚への表現
・黒色表皮腫:首や腋窩、鼠径部が黒ずむ症状。糖尿病、肥満に合併。

117F27

疾患と症候の組合せで誤っているのはどれか。
a Hodgkinリンパ腫 --------- 間欠熱
b 菌状息肉症 --------- 皮膚腫瘤
c 多発性骨髄腫 --------- 紅皮症
d マクログロブリン血症 --------- 網膜静脈怒張
e 慢性リンパ性白血病 --------- 肝脾腫

答え:b→c、正答率73%
aとeは合っている以外わからなかった。dはありそうだな、bは紅斑じゃなかったっけでbを選び間違えた。

・菌状息肉症の病期:紅斑→扁平浸潤→腫瘤

117F30

・規範意識:ルールを守ろうとする意識
すごく押し付けがましいけどいいのかな?

117F33

女性における肺、胃、膵、大腸および子宮の悪性新生物死亡数の推移を別に示す。
⑤はどれか。

a 肺(気管、気管支および肺)
b 胃
c 膵
d 大腸(結腸、直腸S状結腸移行部および直腸)
e 子宮

答え:a→c、正答率56%
大腸②>肺②>膵⑤>乳房>胃①>子宮④
下がり傾向なのが胃、一番が大腸以外わからなかった。

117F36

生後1分の女児。在胎40週5日、経腟分娩で出生した。心拍は6秒間に12回、啼泣は強い。四肢を活発に動かし、刺激に対して咳嗽を認める。皮膚にわずかに胎便が付着している。皮膚色は全身暗紫色である。
この児のApgarスコアはどれか。
a 6点
b 7点
c 8点
d 9点
e 10点

答え:a→c、正答率95%
無理、って問題。

アプガースコアは0~2点で採点、今回は皮膚チアノーゼと心拍数が1点、他は2点。

117F37

発熱性好中球減少で注意すべき微生物:緑膿菌>大腸菌

117F41

・移植後の癌リスク:通常の2〜3倍。

117F42

75歳の女性。全身倦怠感を主訴に来院した。1年前に骨転移を伴う進行肺小細胞癌と診断され、腰椎骨転移に対して放射線照射を施行後、薬物による抗癌治療が行われたが効果が乏しく、3か月前から薬物による抗癌治療は行わない方針となった。1週間前から全身倦怠感が著明となり入院した。意識は清明であるが受け答えは緩慢である。身長161cm、体重42kg。体温36.9℃。脈拍104/分、整。血圧112/62mmHg。呼吸数20/分。SpO2 95%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腰背部に叩打痛を認める。胸腹部・骨盤部CTで多発腰椎転移の増悪を認めたが、既に放射線照射を施行した部位であり、再照射は不可能と判断された。疼痛コントロールのためオキシコドン20mg/日の経口投与を開始したが、5日経過後も疼痛コントロールは十分でなく、嚥下障害で内服が困難となったため経口薬を中止した。
オピオイドローテーションとして適切なのはどれか。
a 高用量塩酸モルヒネを急速静注する。
b 塩酸モルヒネを経鼻胃管から投与する。
c オキシコドンの持続点滴静注を開始する。
d モルヒネ塩酸塩水和物坐薬を3時間ごとに投与する。
e フェンタニル口腔粘膜吸収剤を1時間ごとに投与する。

答え:d→c、正答率12%
効果がなくなってきているからオピオイドは変えるべきだと思ったが変えないようだ。

117E46

低血糖発作時に放出されるホルモン
a グルカゴン
b アドレナリン
c コルチゾール
d サイロキシン
e アルドステロン

答え:a, b, c
a, b, cがそうだから、という理由で選んだが、dが捨てきれなかった。血糖を上げるので、どうしても低血糖時に出るイメージがある。

117F49

・ビスホスホネート:腎機能低下(GFR<30)で禁忌

117F52

28歳の初妊婦(1妊0産)。妊娠35週3日、胎動減少を主訴に受診した。妊娠初期から妊婦健康診査を受けていた。妊娠34週1日の妊婦健康診査において、推定胎児体重が1,700g(-1.9SD)の胎児発育不全を指摘されている。今朝から胎動の減少を自覚し心配になり受診した。性器出血や下腹部痛の自覚はない。身長162cm、体重54kg(非妊時48kg)。体温36.8℃。脈拍72/分、整。血圧136/65mmHg。腹部は妊娠子宮で膨隆し、柔らかく圧痛は認めない。来院時の胎児心拍数陣痛図で基線は正常脈、基線細変動は中等度で、40分間以上の計測において一過性頻脈および徐脈を認めない。妊娠初期検査:血液型O型RhD(+)、間接Coombs試験陰性。
この胎児の健常性を評価するために行う超音波検査項目として適切なのはどれか。3つ選べ。
a 胎盤の厚さ
b 推定胎児体重
c 羊水ポケット
d 胎児呼吸様運動
e 子宮動脈血流速度波形

答え:b, c, d
aとeは見ても意味ないなと思ってa~cを選んだ。aとeは何を見る項目かよくわかってない。
・胎盤の厚さ:
・子宮動脈血流速度波形:低下で子宮胎盤循環不全を疑う

117F53

・Dance徴候:腸重積症のサインで、右上腹部に腫瘤を触知し右下腹部が空虚になる。

117F55

・早期破水:子宮口全開大前の破水
・前期破水:陣痛発来前の破水

産科用語は似た言葉が多くごっちゃになるので、何回も覚え直さないといけない。

117F64

・人工呼吸器の適応(NPPVと比べ):意識レベル低下(自発呼吸なし/困難)
上の理由で気管挿管と少し迷った。

117F66

周術期管理について誤っているのはどれか。
a 前日、夕食を摂取する。
b 当日術前、降圧薬を内服する。
c 当日術前、経口糖尿病薬を内服する。
d 翌日、食事を開始する。
e 翌日、経口鎮痛薬を内服する。

答え:c
bも麻酔で血圧低下にならないかな、と思ったけれど出血が抑えられるので逆に良い?

117F69

・測定障害:小脳障害
・姿勢時振戦:本態性、甲状腺機能亢進症、アルコール依存症

117F72

・肺血栓塞栓症の呼吸時胸痛:肺梗塞を意味する。



いいなと思ったら応援しよう!