第117回医師国家試験A問題
医師国家試験117回A問題を解いてみて
医師国家試験第117回A問題を解いてみて、間違った問題としっくりこない問題を列挙。
2023年7月に回答、正答率66/75=88%。
・良かった点
今までは見たことのない画像は諦めていたけど、分からないなら分からないなりに考えてあがけるようになった。
正解していた問題は(勘違い含め)自信を持って答えられたものが多かった。
・悪かった点
皮膚科、産科が壊滅的。苦手分野は考えることすらしていない問題が多かった。
ほぼ全員正解している問題(正答率>90%)を何問か落としている。
治療や病期分類の知識が正確でない。
「もう間違えない」と自信を持って言えるのは縦隔気腫の問題くらい。
117A7
A型胃炎とB型胃炎、どっちがどっち、ってなって永遠に覚えられないやつ。自己免疫性胃炎って書いてなかったら解けなかった。Forresterとか乳房の領域とかもだけど、機械的に名前つけるの本当にやめてほしい。
・A型胃炎=Autoimmune胃炎と覚える。
117A11
気管支喘息について正しいのはどれか。
a 喘息死は増加傾向にある。
b 喘息増悪はウイルス感染後が最も多い。
c 吸入ステロイド薬は喫煙により作用が増強する。
d 抗IgE抗体はアトピー型喘息の第一選択薬である。
e 急性増悪時には長時間作用性β2刺激薬が第一選択である。
答え:b
感染症で増悪する事が多いって聞いたけど、ウイルス性かどうかは自信が持てない。でも他が違うからそうなんだろうな、くらい。「喘息増悪はウイルス感染後が最も多い」の根拠は見つからなかった。ガイドラインでは「喫煙や環境等が増悪因子」くらいしか書いてなく、頻度の内訳については不明。
・ステロイドは喫煙で作用減弱
117A13
ビタミン欠乏とその症状の組合せで正しいのはどれか。
a 葉酸 --------- 小球性貧血
b ニコチン酸 --------- 心不全
c ビタミンA --------- 夜盲
d ビタミンB1 --------- 腱反射亢進
e ビタミンB12 --------- 皮膚炎
答え:c
「ニコチン酸ってなんだっけ」と思ったらvit. B3のことだった。
正しくは「葉酸……大急性貧血」、「ニコチン酸……皮膚炎(3D!)」、「ビタミンB12……腱反射亢進」、「ビタミンB1……心不全(湿性脚気)」か。
・湿性脚気の病態:血管収縮不全→高心拍出性心不全
・ペラグラの3D:dementia,diarrhea,dermatitis
117A15
62歳の女性。皮疹と発熱を主訴に来院した。7日前から感冒症状があり市販の総合感冒薬を内服している。前日から顔面と四肢体幹に紅斑が出現し、口内の痛みと発熱も出現した。体温38.5℃。顔面、四肢および体幹の広範囲の皮膚に紅斑、水疱およびびらんがみられる。水疱とびらんの範囲は体表面積の40%以上である。眼球結膜充血と口唇痂皮、口腔粘膜にもびらんがみられる。顔面と左上腕の写真(A、B)を別に示す。内服している総合感冒薬のリンパ球刺激試験358%(基準180未満)、抗ヒトヘルペスウイルス6 IgG抗体価10倍(基準10以下)で、3週間後の採血で、抗ヒトヘルペスウイルス6 IgG抗体価10倍であった。
最も考えられるのはどれか。
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp230502-01.html
a 固定薬疹
b 多形滲出性紅斑
c 中毒性表皮壊死症
d 薬剤過敏症症候群
e 急性汎発性発疹性膿疱症
答え:c
「薬剤性の皮膚障害? スティーブン・ジョンソン(SJS)と中毒性表皮壊死症(TEN)、どっちが障害面積大きい方だっけ?」って思ったけど選択肢がTENのみで助かった。HHV6はなんだっけって思ってたら、薬剤過敏性症候群との関連だった。
・SJSの基準:皮膚面積の障害が10%以下(日本の場合)⇔TEN
117A17
産科の双胎妊娠の問題。前にも同じような問題なかったっけ? 何回覚えなおしても羊水ポケットの基準値が覚えられない。産科は基準値やスコア項目を暗記していないと解けない問題が多くて辛い。
・羊水ポケットの基準値:3~8 cm
・AFIの基準値:5~24 cm
117A19
43歳の女性。めまいを主訴に来院した。約30分持続する回転性めまいを反復する。めまいの際に右耳の耳閉感とジーという耳鳴を伴う。鼓膜に異常を認めない。純音聴力検査で右耳に中等度の感音難聴を認める。頭位眼振検査で左向き水平眼振を認める。頭部MRIで異常を認めない。
治療として適切なのはどれか。
a 水分制限
b 頭位治療
c 利尿薬投与
d 抗ウイルス薬投与
e ガンマグロブリン投与
答え:c
「内リンパ水腫だろうから利尿薬だろうな」と思った。Medu4の診断名でメニエール症候群と見て「えっ」ってなったら、メニエール症候群の原因が内リンパ水腫だった。記憶がごっちゃになってる。
117A21
22歳の男性。左眼の眼痛と視力低下を主訴に来院した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によりリモートワークとなり、出社は月1回である。1週間前に出社し、1か月ぶりにソフトコンタクトレンズを装用した。2日前から左眼が充血、次第に眼痛が増強して見えにくくなった。左眼の視力は眼前手動弁である。前眼部の写真を別に示す。
最も考えられるのはどれか。
a 春季カタル
b 角膜ヘルペス
c 細菌性角膜炎
d 流行性角結膜炎
e クラミジア結膜炎
答え:c
画像がわからん。上眼瞼にスリット光見えるから細隙灯?
だとしたらこの白いの(→)何? 潰瘍?
とりあえずコンタクト装用、眼球結膜充血、前房蓄膿があるから細菌性の炎症なのは間違いないと考えた。
117A22
漏斗胸って病名なんだと思った。外科実習ではたまにいた。
・漏斗胸の頻度:1000人に1人ほど。
117A25
48歳の男性。右眼の視力障害を主訴に来院した。保護眼鏡を装用せずに作業していたところ、右眼に鉄片異物が入り、その後右眼が見えなくなった。視力は右眼手動弁(矯正不能)、左眼1.2(矯正不能)。
診断に有用な検査はどれか。
a 蛍光眼底造影
b 眼窩部単純CT
c 網膜電図〈ERG〉
d 眼部超音波検査
e 眼窩部単純MRI
答え:b
エコーと迷ったけど、プローブを押し付けたりしにくそうだなと思ってCTを選んだ。エコーは眼球破裂が明らかな患者には禁忌となる。
眼エコーは実習でも見たことがなかったので、あまり想像できない。
・眼球エコー:目を閉じた上から当てる。適応は網膜剥離や眼球の透過性が悪い疾患(硝子体出血など)
117A30
30歳の初産婦(1妊0産)。妊娠38週1日、自宅での破水直後から強い呼吸困難を自覚し救急車で搬入された。妊娠37週までの妊婦健康診査で異常は認めなかった。意識は清明。体温37.8℃。心拍数96/分、整。血圧92/76mmHg。呼吸数20/分。SpO2 99%(リザーバー付マスク10L/分 酸素投与下)。腹部超音波検査で胎児心拍が確認された。腟鏡診で出血交じりの羊水を少量認め、子宮口は2cm開大していた。血液所見:赤血球360万、Hb 10.0g/dL、Ht 33%、白血球28,000、血小板14万、血漿フィブリノゲン<50mg/dL(妊娠中の基準401~545mg/dL)。血液生化学所見:AST 20U/L、ALT 15U/L、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL。
まず投与すべきなのはどれか。
a 抗菌薬
b アルブミン
c ジアゼパム
d 新鮮凍結血漿
e ノルアドレナリン
答え:d
羊水塞栓症にまず投与するもの。「輸液?」と思ったけどなかった。DICが起こるんだったなあ、じゃあこの中なら新鮮凍結血漿かなと思って選んだ。DICの治療がよく分かっていなかったため、「凝固亢進の時に新鮮凍結血漿を投与しても大丈夫かなあ、臓器梗塞が起こらないのかなあ」と思った。血漿フィブリノゲンが下がっているから線溶亢進→補充?
・DICの治療:日本止血学会のガイドラインを見ても、「原疾患の治療」以外はこれをやれとはっきり書いている部分は見当たらない。病態を見極めて抗凝固と補充療法を考える感じ?
117A31
26歳の女性。体幹の皮疹を主訴に来院した。半年前から四肢体幹に皮疹が出現し、徐々に増数し、それぞれの皮疹も拡大している。既往に幼少時発症のアトピー性皮膚炎がある。眼疾患やてんかんはない。頸部、体幹および四肢に同一の皮疹が多発している。皮疹に鱗屑はない。痛みや痒みはない。腰部の写真を別に示す。
最も考えられるのはどれか。
a 癜風
b 体部白癬
c 葉状白斑
d 尋常性白斑
e 眼皮膚白皮症
答え:c→d、正答率83%
癜風以外の選択肢がわからず、手も足も出なかった。葉っぱに見えるからcを選んだら間違ってた。
・癜風:もっと黒(紅?)っぽい。鱗屑を伴う。
・白癬:これが水虫だということがどうしても頭に入らない。中心治癒傾向を示す(輪っか状の病変に見える)。
・葉状白斑:結節性硬化症の皮膚病変に名前があったらしく、葉状白斑と呼ぶらしい。画像からの否定できないが、病歴から結節性硬化症は否定的。
・尋常性白斑:橋本病や糖尿病(I型)などの自己免疫性疾患に合併することが多く、自己免疫性疾患と考えられている。
・眼皮膚白皮症:遺伝性疾患でメラニン産生低下による。
117A32
71歳の男性。咳嗽と労作時の呼吸困難を主訴に来院した。3年前から咳嗽と労作時の呼吸困難があり、徐々に進行していると自覚したため受診した。40年前に膿胸で胸郭形成術を受けた。喫煙は20本/日を50年間。意識は清明。体温36.2℃。脈拍84/分、整。血圧140/76mmHg。呼吸数16/分。血液生化学所見:尿素窒素16mg/dL、Na 133mEq/L、Cl 91mEq/L。呼吸機能検査:%VC 45%、FEV1% 60%。動脈血ガス分析(room air):pH 7.26、PaCO2 68Torr、PaO2 48Torr、HCO3- 28mEq/L。胸部エックス線写真で透過性亢進および胸郭形成後の肺容量減少を認める。心エコー検査で右心室および右心房の拡張、心室中隔の左室側への偏位を認める。
この患者にみられる病態で誤っているのはどれか。
a 肺高血圧
b 肺胞低換気
c シャント率上昇
d 混合性換気障害
e 代償性呼吸性アシドーシス
答え:e
「COPDだから肺高血圧とシャント率上昇はあるだろう、II型呼吸不全だから肺胞低換気はあるだろう」まではよかった。なぜか意味不明に「PaO2低下だしPaCO2上昇だからどっちの呼吸障害もある。だから混合性換気障害」と考えていた。結果的にdは正しい内容だけど。
e(代償性呼吸性アシドーシス)については、pH低すぎるから代償はされていないだろ、と考えた。
・混合性換気障害=拘束性換気障害+閉塞性換気障害。拘束性換気障害を出したいから胸郭形成の記述があるんだなあ。
117A33
アカシジア。精神科の実習で先生がめちゃくちゃ気にしてたから覚えている。かなり辛いらしい。
117A37
60歳の女性。皮疹を主訴に来院した。1年前から右肩甲部に皮疹が出現し徐々に拡大してきた。痒みや痛みはない。右肩甲部に約2cmの境界明瞭で平坦な淡褐色結節を認める。血液所見と血液生化学所見とに異常を認めない。胸腹部造影CTで明らかな転移を認めない。生検で病理診断を行った後、結節を辺縁から5mm離して切除した。術前の右肩甲部の写真(A)と摘出組織のH-E染色標本(B)とを別に示す。H-E染色標本で切除断端に病変はなかった。
切除後の対応で適切なのはどれか。
a 拡大切除
b 経過観察
c 電子線照射
d PUVA療法
e 薬物による抗癌治療
答え:e→b、正答率92%
肉眼像は基底細胞癌っぽい、病理像は悪性だろうと思った。いずれにせよ皮膚癌だろう、病理像はわからんけど浸潤しているように見える、術後補助療法? と思ってeを選んだが経過観察でいいらしい。
・基底細胞癌の病理像:palisading
術後補助療法は
・基底細胞癌:取り残しがあるときには再手術
・メラノーマ、乳房外パジェット:基本しない
・有棘細胞癌:再発しそうなら放射線
正答率9割超えててビビる。なんでみんなわかったんだろう?
117A39
50歳の男性。右頬部の皮疹を主訴に来院した。約10年前から徐々に隆起してきた。自然に出血はしない。掻痒と疼痛はない。右鼻唇溝に直径5mmの隆起した黒褐色の結節を認める。右頸部リンパ節の腫脹は認めない。結節を切除した。術前の右鼻唇溝部の写真(A)と切除検体のH-E染色標本(B)とを別に示す。
診断はどれか。
a Bowen病
b 悪性黒色腫
c 基底細胞癌
d 色素性母斑
e 脂漏性角化症
答え:b→d、正答率37%
病理像を見て「核大きいし形もバラバラだし悪性かなあ」と思ったがそれ以上分からず、投げた。黒っぽいのメラニンかなあ、じゃあメラノサイトで、くらいしか考えてない。肉眼像は良性っぽいし、問題文を少しでも読んでいれば、「経過長くて出血もないから良性だろう、病理画像で嚢がないから脂漏性角化症ではない。だから答えは色素性母斑」と正解にたどり着けたはず。わからん、で投げたので大反省。
・色素性母斑の病理像:病理学コアには「複核の細胞も見られる」と書かれていて、個別の細胞だけで悪性/良性を判断しようとしたら間違えてしまいそう。メラノーマは真皮深層にまでメラニン沈着が見られる。
117A41
上気道の聴診音=striderが覚えられない。
117A42
a 腸結核
b Crohn病
c 虚血性腸炎
d 潰瘍性大腸炎
e 腸管Behçet病
答え:d
ほぼ画像一発問題。なんとなく、で潰瘍性大腸炎を選べたけど、今だに自信を持って答えられない。よくみると画像4〜5時方向に血液っぽい付着物が見える。
・潰瘍性大腸炎の内視鏡像:粘膜血管が見えない、白い粘膜が付着。他の疾患と比べて病変部が連続的
117A43
35歳の初妊婦(1妊0産)。妊婦健康診査のため妊娠11週に来院した。妊娠8週の血液検査で、RPR 16倍(基準1倍未満)、TPHA 640倍(基準80倍未満)であった。薬剤に対するアレルギー歴はない。
正しいのはどれか。2つ選べ。
a 生物学的偽陽性である。
b 保健所への届出が必要である。
c パートナーの検査が必要である。
d 妊娠14週以降に治療を開始する。
e ミノサイクリンの点滴静注を行う。
答え:c, d→b, c、正答率98%
保健所の届出云々がいまだに覚えられない。届けるべきは1〜4類+5類の全数把握。じゃあ全数把握って何、って話になってこれは丸暗記しかないらしい。ここの語呂が一番覚えやすそう? 施設管理者にまで主語の範囲を広げると定点把握まで届出が必要らしいが、さすがに医師限定の話?
dについて、妊娠X週にYYする系の問題は数字が覚えられないので捨てていた。冷静になって考えたらすぐ治療するのが当たり前だよなあ。知識があやふやだとこういうところで間違える。
117A44
40歳の初妊婦(1妊0産)。妊娠24週、随時血糖110mg/dLであったため、自宅近くの産科診療所から紹介され受診した。既往歴、家族歴に特記すべきことはない。子宮収縮の自覚はなく、性器出血を認めない。身長160cm、体重59kg(妊娠前体重55kg)。体温36.7℃。脈拍88/分、整。血圧110/80mmHg。経口グルコース負荷試験〈75gOGTT〉:負荷前値:90mg/dL、1時間値:190mg/dL、2時間値:160mg/dL。HbA1c 5.4%(基準4.6~6.2)。
適切な対応はどれか。2つ選べ。
a 運動療法を勧める。
b 経口血糖降下薬を用いる。
c 食事は4~6分割食を勧める。
d 食後2時間の血糖値150mg/dLを目標とする。
e 1日の摂取エネルギーを1,200kcalに制限する。
答え:c, d→a, c、正答率72%
そもそも妊娠糖尿病の基準値が覚えられない。話の流れ的にそうなんだろうなあ、くらい。運動療法はダメだろ、どっかの問題(115E34)にあったぞ、bとeは明らかにバツだし、じゃあ答えはdしかないなあ、基準値知らんけど、で選んだら間違いだった。
115E34じゃ他の選択肢と比較して選ぶ感じだから、「妊娠糖尿病の目標値は空腹時血糖<100または2時間後血糖<120」を丸暗記してないと無理な問題だろう。「妊娠糖尿病の2時間後血糖の診断基準は確か150くらい、たいてい目標値は診断基準の数字と同じ(か少し高い)くらいに設定されるから、やっぱりdだろう」と思ってたけど違うらしい。
細かい数字の暗記が本当に無理。普通の糖尿病すら覚えられない。もう百回くらいノートに書いてる気がするけれど、それでも頭に入らない。
・糖尿病の診断基準(血糖):空腹時→126、随時・2時間→200
・妊娠糖尿病の診断基準(血糖):空腹時→92、1h→180、2h→153
妊娠期の運動療法って何やるんだろう?
111A46
縦隔機種の対処。
a 入院安静
b 胸腔ドレナージ
c 縦隔ドレナージ
d 気管支拡張薬投与
e 副腎皮質ステロイド投与
答え:c→a、正答率51%。
縦隔気腫の対処。経過観察でいいのは驚いた。心臓周りに空気が入り込むってなんかヤバそうだけど。
117A47
3歳4か月の男児。眼位異常を主訴に両親に連れられて来院した。最近になって眼が内寄りになる頻度が増加していることに両親が気付いたという。細隙灯顕微鏡検査と眼底検査で異常を認めない。調節麻痺薬の点眼下に測定した屈折値は右+6.00D、左+6.00Dであった。
対応として適切なのはどれか。
a 経過観察
b 低矯正の眼鏡装用
c プリズム眼鏡の装用
d 完全矯正の眼鏡装用
e 全身麻酔下の斜視手術
答え:d
調節性内斜視。低矯正と完全矯正の違いが分からなかったけど、なんとなく完全矯正の方がいいだろうで選んだ。
低矯正:視力低下が残る
完全矯正:完全に視力が矯正される
普通は完全矯正を選ぶ。低矯正が存在する理由は、昔の研究で「低矯正の方が近視を抑制する」という物があったらしい。今は逆の結論が出ている。
117A49
認知症の患者さんを見たら、まず何の支援を申請しますかの問題。
認知症。何型だろう? 頭頂葉主体? レビー? でもパーキンソニズムないな、と思って思考が止まったけど、支援のためにまず申請するものらしい。
よくよく考えたらアルツハイマーも頭頂葉主体だった。なぜかアルツハイマー=側頭葉って印象がついてしまっている。
117A52
48歳の女性。鼻閉を主訴に来院した。数年前から鼻閉と嗅覚低下があり、風邪をひくと悪化した。鎮痛薬で気管支喘息を起こしたことがあった。左鼻腔の内視鏡像(A)を別に示す。右鼻腔も同様の所見である。副鼻腔単純CTの水平断像(B)と冠状断像(C)とを別に示す。
治療として最も適切なのはどれか。
a 減感作療法
b 抗真菌薬投与
c 抗ウイルス薬投与
d 拡大上顎全摘出術
e 内視鏡下鼻副鼻腔手術
答え:a→e、正答率98%
喘息の既往があることから「アレルギー性で副鼻腔のどっかがやられるやつ」だと思ったけど、疾患の名前が出てこなかった。アレルギー性だから内視鏡は無駄、感染症でも癌でもないからaだろう、で選んだら間違いだった。
疾患は好酸球性性副鼻腔炎? でも好酸球数とか調べてないし、CT画像からは篩骨洞と上顎洞のどっちが優位かわからないから診断はできない?
好酸球性副鼻腔炎で調べてみたら、やっぱり「ステロイドで治療、副鼻腔手術などは行っても再発を繰り返す」とか書かれていて、ネットを調べながら解いても内視鏡は選べなかったと思う。
・好酸球性副鼻腔炎の画像所見(診断基準に含まれる):篩骨洞優位
・慢性副鼻腔炎の画像所見:上顎洞優位
117A61
40歳の男性。2日前に発症した四肢の皮疹を主訴に来院した。掻痒を伴う。両側下肢の写真を別に示す。
原因として考えにくいのはどれか。
a 薬剤
b 皮膚筋炎
c 虫剌され
d マイコプラズマ
e 単純ヘルペスウイルス
答え:e→b、正答率35%
画像は多形滲出性紅斑のものらしい。問題は「画像が読めた上でその原因を知っているか?」の意味だろう。どっちも分からなかった。
117A63
32歳の男性。発熱を主訴に救急外来を受診した。東南アジア各地に合計7日間滞在した後に帰国し2日目である。現地滞在6日目から39℃台の発熱と全身倦怠感とが出現していたが、入国時には一時的に解熱していたため空港検疫では申し出なかったという。帰国後も発熱が続き、受診前日から頻繁に嘔吐している。下痢はない。四肢の筋肉痛を訴える。意識は清明。身長172cm、体重60kg。体温39.1℃。脈拍112/分、整。血圧92/52mmHg。呼吸数24/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔粘膜に点状出血を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は肝を右肋骨弓下に4cm触知するが、脾は触知しない。血液所見:赤血球450万、Hb 12.2g/dL、Ht 60%、白血球2,000、血小板8.0万。血液生化学所見:総蛋白6.5g/dL、アルブミン4.1g/dL、総ビリルビン0.8mg/dL、直接ビリルビン0.3mg/dL、AST 122U/L、ALT 112U/L、LD 222U/L(基準120~245)、尿素窒素30mg/dL、クレアチニン1.4mg/dL。末梢血塗抹標本で赤血球に異常を認めない。
最も考えられる疾患はどれか。
a エボラ出血熱
b A型肝炎
c 腸チフス
d デング熱
e マラリア
答え:d
「マラリアかなあ」で問題文を流し読みしてたら「脾腫なし」、「赤血球に異常なし」で分からなくなった。結局「エボラ→こんなもんじゃ済まなそう、A型肝炎→肝酵素・ビリルビンがもっと上がりそう、腸チフス→消化器症状が嘔吐だけなことはないだろう、デング→たしか出血が症状としてあった」と考えてデングを選んだ。
腸チフスは受けたテストに出たことがないので(比較的徐脈の選択肢くらい?)あまりどんな疾患か知らない。
・腸チフス:三徴(バラ疹、比較的徐脈、脾腫)、ニューキノロンで治療、輸入感染症で一年に数十件発生。特徴的な顔貌(無気力っぽい顔貌)
117A64
膵腫瘍の病理検体採取が行えるもの。
a 超音波内視鏡検査
b 小腸バルーン内視鏡
c 下部消化管内視鏡検査
d 上部消化管内視鏡検査
e 内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉
答え:a, e
「b, c, dはできないだろう」でa, eを選んだ。ERCPは洗浄細胞を採るって意味でいいのかなあ。
117A65
5cmのGISTへの対応。
a 経過観察
b 放射線療法
c 胃部分切除術
d 殺細胞性薬による治療
e 内分泌(ホルモン)薬による治療
答え:c
「経過観察は何cmまでだったかなあ、でも5cmは流石に大きいよな」で部分切除を選んだ。
ガイドライン上、GISTは診断がついたら手術。消化管粘膜下腫瘍の場合は2cm を超えたら精査・手術。GISTと消化管粘膜下腫瘍をごっちゃにしていた。今回は病理があるのでGISTで確定→手術。
・消化管粘膜下腫瘍の対応:2 cmまでは経過観察、それ以上は精査。
・GISTの手術:播種はするので中身をばら撒いたらいけない。手術法にはCLEAN-NETなどがある。
117A66
日齢5の男児。胆汁性嘔吐と血便のため産科診療所から救急車で搬入された。在胎39週、出生体重3,300gで出生した。生後1日目から母乳を開始し、生後3日目ごろから哺乳後の嘔吐を認めるようになった。昨夜から胆汁性嘔吐が出現し、早朝に血便を認め、ぐったりしてきたため救急搬送された。身長52cm、体重3,100g。体温37.2℃、心拍数140/分、整。血圧60/48mmHg、呼吸数40/分。大泉門の軽度陥凹を認める。血液所見:赤血球560万、Hb 18.5g/dL、Ht 48%、白血球11,000、血小板18万、PT-INR 1.0(基準0.9~1.1)、APTT 30秒(基準対照32.2)。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン4.0g/dL、AST 40U/L、ALT 10U/L、クレアチニン0.5mg/dL、Na 135mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 98mEq/L、尿素窒素7.0mg/dL。CRP 0.1mg/dL。上部消化管造影検査で十二指腸より先に造影剤が通過しなかった。注腸造影像(A)と腹部超音波像(カラードプラ)(B)を別に示す。
適切な治療はどれか。
a 抗菌薬投与
b 新鮮凍結血漿投与
c 高圧浣腸
d イレウス管挿入
e 緊急開腹手術
答え:e
エコーがさっぱり分からない、病歴からも手がかりが読み取れない。上部・下部消化管造影で小腸が広く閉塞していることだけが手がかり→自分の知識にはこんなのは中腸軸捻転しかない、だからこれと考えた。
エコーは全く読めない。SMAがどれなのかもわからない。けど、SMA周りの画像ということは小腸の病変があることを言っているのだろう、と思った。SMAに腸管膜が巻きついているように見えなくもない、でもそれだと腸間膜の毛細血管がSMAより太いことになるな、やっぱ違うのかな.......などと思ってやっぱりわからない。
117A71
22歳の男性。失神を主訴に来院した。中学生のころから健康診断で心電図異常を指摘されていた。5年前に失神した際に救急外来で頭部CT、脳波検査を受けたが異常は指摘されず、経過観察となっていた。本日、朝食後、失神したため当院を受診した。外来の処置室でも動悸と気が遠くなることを訴えている。既往歴に特記すべきことはない。母方のおじが14歳時に死亡している。身長153cm、体重46kg。脈拍64/分、整。血圧106/72mmHg。胸腹部に異常を認めない。血液所見:Hb 13.5g/dL、白血球7,600、血小板31万。血液生化学所見:アルブミン3.3g/dL、AST 24U/L、ALT 24U/L、CK 34U/L(基準30~140)、尿素窒素11mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL、血糖94mg/dL、Na 136mEq/L、K 4.1mEq/L、脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉27.2pg/mL(基準18.4以下)。心筋トロポニンT迅速検査陰性。来院時の12誘導心電図(A)と発作時の心電図モニターの波形(B)とを別に示す。
初期対応で行うのはどれか。2つ選べ。
a β遮断薬静注
b ヘパリン静注
c ジゴキシン静注
d ループ利尿薬静注
e 硫酸マグネシウム静注
答え:a, e
「QT延長症候群だなあ、初期対応ってどの段階のことを言うんだろう、発作時のことかなあ、抗不整脈薬かなあ、β遮断薬しかないなあ、でもマグネシウムもあるからこれかな、確か心室頻拍で使ったよなあ」で選んだ。
ガイドラインを見てから振り返ると、たぶん発作時だけじゃなくて予防も含めた対応のことを言っていたのだろう。
・QT延長症候群:カリウムチャネルの再分極障害が原因→Vaughan WilliamsのI群(の一部)、III群は使えない。
・TdPの予防:β遮断薬
・TdPの発作時:マグネシウム
・Mgと不整脈:Na/Kポンプを活性化→膜電位安定、Ca流入阻害→心筋収縮を抑制の2つの機序が考えられている。
β遮断薬はNa/Kポンプ阻害効果があった気がするけど、なんで使っていいんだろう?
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心房中隔欠損の病態。
a 肺高血圧を認める。
b 心房細動を合併しやすい。
c 肺血流量は体血流量より減少している。
d 抜歯時に感染性心内膜炎の予防的抗菌薬投与が必要である。
e 提示した心エコー図では右房から左房への血流が認められる。
答え:a, d→a, b、正答率54%
bとdはどっちも間違いなくあるだろうと思い、勘でdを選んだら間違えた。感染性心内膜炎は心室中隔欠損! VSDのVはVegetationのV。
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動脈血ガス分析(room air)にてpH 7.48、PaCO2 52Torr、PaO2 72Torr、HCO3- 37mEq/Lであった。
単純性の酸塩基平衡障害として、最初の変化(1次性変化)と代償性変化(2次性変化)の組合せで正しいのはどれか。
a 呼吸性アシドーシス --------- 代償なし
b 呼吸性アシドーシス --------- 代償あり
c 呼吸性アルカローシス --------- 代償なし
d 呼吸性アルカローシス --------- 代償あり
e 代謝性アシドーシス --------- 代償なし
f 代謝性アシドーシス --------- 代償あり
g 代謝性アルカローシス --------- 代償なし
h 代謝性アルカローシス --------- 代償あり
答え:h
「アルカレミアなので呼吸性アルカローシスか代謝性アルカローシス、もし呼吸性ならHCO3が下がっているだろう」と思って代謝性アルカローシスを選んだ。
いまだにアシドーシス・アルカローシスの問題は自信を持って答えられない。なんでこんな不安になるんだろう。