第117回医師国家試験第B問題

医師国家試験117回B問題を解いてみて

医師国家試験第117回B問題を解いてみて、間違った問題としっくりこない問題を列挙。
2023年7月に回答、正答率43/50=86%。
正答率はひとまず置いておいて、間違った理由がひどい。

間違った問題の正答率(Medu 4)と分野

・良かった点
正解した問題は迷う問題がほとんどなかった。

・悪かった点
問題文をよく読んでいない問題が多かった。
「医師の倫理」的な問題が「そうなのかなあ」で終わってしまっている。臨床実習で見た感じ、国家試験的な答えが必ずしもベターなわけじゃないし。

117B19

妊娠高血圧症候群の重症化の指標となるのはどれか。
a 血小板の減少
b 呼吸数の減少
c 下腿浮腫の悪化
d 子宮収縮の増強
e 尿蛋白/クレアチニン比の低下
 
答え:e→a、正答率45%
aかeかで迷ったが、まず腎症状が出るだろうなあと思ってeを選んだ。完全に「低下」の文字が見えてなかった。

117B17

医療面接における傾聴で正しいのはどれか。
a 事実確認を行う。
b アドバイスをする。
c 時間を限って聞く。
d 相手の話を熱心に聞く。
e 決められた項目を聞く。
 
答え:a→d、正答率96%
aかdで迷った。熱心に聞くって当然だよなあ、じゃあもっと突っ込んだaかなって思った。で、間違えた。正答率96%って。

117B18

治療薬物モニタリング〈TDM〉の対象となる抗菌薬はどれか。
a カルバペネム系
b ニューキノロン系
c リンコマイシン系
d アミノグリコシド系
e セファロスポリン系
 
答え:a→d、正答率59%
ああ、バンコマイシンとか聞くやつかあと思って選択肢を探したら無く、お手上げ。一番強そうな抗菌薬を選んで間違いだった。抗菌薬はカタカナが多くて覚えにくい上に丸暗記するしかなく、本当に辛い。
・TDMが必要な抗菌薬:バンコマイシン、テイコプラニン、アミノグリコシド、ボリコナゾール

117B20

失神をきたしうる疾患と失神の誘因との組合せで誤っているのはどれか。
a 起立性低血圧 --------- α遮断薬投与
b 頸動脈洞症候群 --------- 頸部の伸展
c Brugada症候群 --------- 発熱
d 完全房室ブロック --------- 安静臥位
e 閉塞性肥大型心筋症 --------- 激しい運動
 
答え:a→d、正答率91%
「誤っている」が見えていなかった。最初っから答じゃん、と他の選択肢を見ずに答えて間違えた。

117B25

リスボン宣言の内容で誤っているのはどれか。
a 患者には医療情報の提供を拒否する権利がある。
b 患者には医学教育への参加を拒否する権利がある。
c 自殺企図の患者の場合、患者の生命を救う努力をする。
d 患者の情報は患者の死後も秘密が守られる必要がある。
e 患者が未成年の場合、患者の意思よりも代理人の希望が優先される。
 
答え:e
リスボン宣言ってなんぞ? と思ったけど、誤っていそうなのを選んだら正解だった。
CBTの公衆衛生っぽいとこを避け続けたツケが周ってきている。
・リスボン宣言:患者の権利に関する宣言。ゴロなしじゃ絶対覚えられないけど、いいゴロがない。

117B26

86歳の女性。10年前に脳梗塞を発症して寝たきりとなった。重度の認知症があり、自宅で家族が介護してきたが、四肢関節の拘縮が徐々に進行し、最近は体位変換も困難である。訪問診療に訪れたところ、和室の布団に右側臥位で寝ている。股関節は90度屈曲位で拘縮しており、うなり声をあげている。身長154cm、体重42kg。体温36.2℃。脈拍76/分、整。血圧122/68mmHg。呼吸数18/分。
診察に際して正しいのはどれか。
a 表情をみながら触診する。
b 浮腫の有無は左半身で判断する。
c 股関節を完全伸展させてから診察する。
d 声を出さないよう指示してから聴診する。
e 打診は疼痛が疑われる部位に繰り返し行う。
 
答え:a
さすがにaが答えだよなあ、って思ったけどbが捨て切れなかった。水は下(右側臥位だから今回右)に溜まる→右半身で判断? 
・脳梗塞性の浮腫:筋肉のポンプ機能が破綻することによる浮腫

117B36

36歳の男性。全身けいれんのため救急車で搬入された。来院時にはけいれんは消失していた。15歳からてんかんの既往があり、抗けいれん薬を処方されていたが、2か月前から服薬を自己中断していた。意識レベルはJCS II-10。心拍数98/分、整。血圧140/90mmHg。呼吸数18/分。SpO2 98%(リザーバー付マスク10L/分 酸素投与下)。静脈路を確保して、頭部CTを撮影する準備をしていたところ、全身けいれんを起こした。
この患者に直ちに静注すべき薬剤はどれか。
a モルヒネ
b ジアゼパム
c フロセミド
d アドレナリン
e グルコン酸カルシウム
 
答え:b
ジアゼパムを10mg、2分かけて静注。「アドレナリンとジアゼパムは用量と投与法まで覚えておけよ〜」って先生に言われたけど覚えられない。ジアゼパムはゆっくり(2分)かけて投与するのがポイントらしい。

117B37

18歳の女子。呼吸困難を主訴に救急外来を受診した。通学途中に満員のバスの中で急に息苦しく、呼吸が促迫になった。パニック障害で自宅近くの診療所に通院しているが、それ以外の基礎疾患はない。意識は清明。体温36.8℃。脈拍104/分、整。血圧112/72mmHg。呼吸数48/分。SpO2 100%(room air)。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。四肢にチアノーゼを認めない。患者は「息ができない。手の指先と口の周囲が痺れる」と言っている。
この患者に救急外来で行う対応として正しいのはどれか。
a 抗精神病薬を内服させる。
b そのまま学校に行かせる。
c 低流量酸素を吸入させる。
d 紙袋を口につけて呼吸させる。
e ゆっくり呼吸するように指導する。
 
答え:d→e、正答率88%
ペーパーバック法は今はダメらしい。漫画とかでよく見たから、過換気=紙袋のイメージしかない。「ゆっくり呼吸するよう指導」って、それができるならもうやってる気がするけど。
・ペーパーバック法をやるべきではない根拠:①過換気発作は除外診断。そのため別疾患で行ってしまい悪化させることがある、②そもそも低CO2が起きていない場合がある、③窒息して死亡する可能性がある

117B38

67歳の男性。腹部膨満感、右季肋部痛およびふらつきを主訴に来院した。半年以上前から右季肋部痛を自覚していたが、3か月前から痛みが増強するとともに腹部膨満感が出現、1か月前から黒色の軟便が見られるようになり、2週間前からふらつきが強まった。ここ3か月で体重が5kg減少している。意識は清明だが、問診の意味が把握しにくいようで、聴覚障害と軽度の知的障害が疑われる。身長154cm、体重53kg。体温35.9℃。脈拍84/分、整。血圧112/72mmHg。呼吸数13/分。眼瞼結膜は蒼白で眼球結膜に軽度黄染を認める。腹部は膨満しており、波動を認める。両下腿に強い浮腫を認める。一人暮らしで身寄りがなく、生活保護を受けている。民生委員が同伴で受診しており、問診の際も民生委員を介して聞き取りを行ったが、生活状況などについて十分な情報が聴取できない。
まず取るべき対応で正しいのはどれか。
a 医師が患者に代わって診療方針を決定する。
b 診療方針について患者本人に説明し意向を聞く。
c 民生委員を成年後見人とみなして診療方針について相談する。
d 患者本人の意思決定困難を理由にこれ以上の検査治療を行わない。
e 医学的検査の結果に基づき、客観的に治療の適否や内容を決定する。
 
答え:c→b、正答率85%
bとcで迷った。「一番コミュニケーションをとっているはずの民生委員でも聞き取りできず、問診の意味が把握しづらいのに説明して同意をとれるのか? そりゃあ一度は本人に説明するとは思うけど、本命はcじゃない? 」と思ってcを選んだ。よく問題文を見直したら「まず」取るべき対応と書いてあって反省。

117B46

救急外来で撮影した腹部造影CTを別に示す。患者は入院し、抗菌薬治療が開始された。入院翌日、救急外来で採取した血液培養2セットからGram陰性桿菌が検出された。

追加すべき治療として適切なのはどれか。
a 肝庇護薬の全身投与
b 肝内病変のラジオ波焼灼
c 肝内病変の穿刺ドレナージ
d 副腎皮質ステロイドの全身投与
e 肝内病変の内視鏡的経鼻胆管ドレナージ
 
答え:e→c、正答率97%
なんでeを選んだのか不明。完全にボケていたとしか思えない。選択肢読むの面倒くさくて、最初に目に入ったのがeの「ドレナージ」だったので選んだ?


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