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『消えない罪』愛に生きる vol.255
自分の中で完結していようとも消えない、罪。
それと向き合いながら、なぜ自分が今を生きていこうとするのかと向き合う。
映画『消えない罪』を見ました。
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https://eiga.com/movie/95902/
過去に犯してしまった殺人の罪で服役し、20年の刑期を終えて刑務所から出所したルース・スレイター。しかし、罪を償って社会に出たはずの彼女を待ち受けていたのは、過去の罪が許されない世界だった。社会に溶け込むことができずに孤立し、安息を求めて訪れた故郷の地でも厳しい批判にさらされ、行き場をなくしていくルース。そんな彼女が罪を償うことができる唯一の手段は、昔、とある理由で置き去りにしてしまい、離れ離れになってしまった妹を捜すことだった。
自分の過去はいつまでも背負い続けなくてはいけないのか。
自分という存在はどこにあるのか
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刑期20年を経て、世の中に出た主人公。
そこに待っていたのは、予想以上に自分が歓迎されない世の中。
それも当然、受刑者を歓迎する世の中などあるはずがありません。
その中で、自分の存在意義や存在価値を探す。
苦しくも必要な日々の毎日でした。
しかしこれは、受刑者に限らないのではとも私は感じました。
誰でも、この世界に自分の存在価値を探し続けて、自分の存在を自認しようとする。
立場が違うだけで、今の私たちを抽象的に表した風刺画のようにも感じました。
どう生きるのか
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途中、主人公が自分の経歴を職場の同僚に打ち明ける時があります。
そうするとどうでしょうか。
次の日から、今までは目もくれなかった同僚からの暴行を受けます。
まるで自分の存在を否定されたかのような感覚に陥ります。
見えない自分という存在は、時として他者には受け入れてもらえない時もあります。
そんな時、自分はどう生きれば良いのでしょうか。
はたまた、本当の自分を表出する必要はない、もしくは見せない方がいいのでしょうか?
そういった、葛藤に悩まされながら自分がなぜ生きているのか。
そして、なぜ生きようとしているのかと向き合い続けます。
1人の家族を守る、ただそれだけ
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主人公のルースは、ただ自分の妹を守るためだけに生きてきました。
そして、そこには見返りなどを求めない貢献、そして愛があったのです。
誰かのために自分を犠牲にして生きる。
私たちにそんな人生の送り方ができるのでしょうか?
おそらく、ただただ誰かのためにと生きていけば、自分自身も不幸になってしまいます。
人の為と書いて偽という漢字になるように、意味のない貢献や信念にそぐわない行動は自分の首を絞めることになるのです。
しかし、ルースの愛はそんなものも凌駕した愛からくるものでした。
妹を幸せにしたい、妹を守りたい。
そんな思いが痛烈に伝わってきます。
社会がどんなに自分のことを否定しようとも、自分の信念を否定することはできません。
ただただ行動しようとしていた彼女の、真の過去やストーリーに心を打たれた動かされた登場人物もたくさんいました。
人を動かす時、自分が動く時、本当に必要なのは、こうあるべきとか、こうなったらと言いという表面的な綺麗事ではなく、信念や想いといった部分に動かされるのだと痛感した映画でした。