『キャプテンフィリップス』生と死の境の中で vol.679
何かのおすすめで見始めたこの映画。
最初から30分程度は、正直全く面白くなかったのですが、後半に近づくについれて手に汗を握るハラハラとした展開でした。
これが実話に基づく話だというのですから、実に怖いものです。
今日はこの映画を見ての感想を書いていきます。
諦めず虎視眈々と
人質としてとらわれてしまったフィリップス。
普通であれば、自分は人質だからこの海賊たちは自分を殺せない、そう思っていたとしても強く生きることはできないと思います。
フィリップスは最後の最後まで生きることを諦めず、虎視眈々と自分のできることを状況に合わせて行なっていました。
海賊が危険行為に及んだ時には誰に、話せば通じるのかを考え話し、海賊の気が緩んでいる時には脱走を試してみたり、最後には死を覚悟して遺書を書いてみたり。
そんな姿勢に、最初は冷徹で誰とも相入れない存在なのかと思いきや、少しずつ心を動かされているのを感じました。
彼は静かな闘志を燃やすタイプ。
おそらく、その心の中の闘志はメラメラと頭を冷静に働かせながらも燃え続けていたのでしょう。
今日この日を生きるため
海賊たちからすれば非常に成功率の低い強盗でした。
しかし、それでもやらねばならぬ理由があるのでしょう。
ここに襲いに来た彼は、どうやら仲間内で一度腰抜けと馬鹿にされてしまっていました。
その汚名を晴らさない限りには村には帰れません。
また、たとえ入れたとしても結局のところ報酬がなければ生活もできません。
この大型船は、そんな自分たちのような乞食に食料を運ぶような船でした。
自分と同じような生い立ちの子たちへの食糧であるならば、それは届けてくれとはならず、むしろ、この船を金銀財宝として扱うかのような始末。
自分たちの下の世代のためにと言った考えは、余裕があるからこそできるもの。
究極の過酷な状況においてはそんな余裕も出てこないのでしょう。
世界の断片で
この話が実話だと知った時、正直に俄かには信じられませんでした。
こんな非現実的な話が実際に起きているのかと。
しかし、我々の目の届かないだけで、こう言った事象は意外にも溢れているのかもしれません。
そしてその中でさまざまな戦いが繰り広げられている。
人同士だから普通に話すこともできる。
後日談の会見ではフィリップスはこのように語っていました。
極限状態とはいえ、狭い空間の中であれだけ長時間一緒にいるんだから、互いに笑い合ったりもしたよ。
そんな関係に一瞬はなろうとも立場は違う。
その微妙な空気感すらも感じ取れる映画なのでしょう。