せんせいの表と裏の姿を知れる本『せんせいって』 vol.173
私の所属しているNPO法人 教員支援ネットワーク T-KNITで、ある本のご紹介をさせていただきました。
せんせいという職業の表と裏の部分も、光と闇の部分も包み隠さず絵本として、世の中に出してくれています。
その本の名前は『せんせいって』です。
ブラックという印象が根強く浸透してきている教員という職業。
実際にはどのような点でそれを感じるのか、そして、そうであるのにもかかわらず、学校の先生はなぜその仕事を続け、輝いていられるのかそんな風景を垣間見ることができます。
先生は先生
学校の先生はどんな人か、皆さんは考えたことがありますでしょうか?
しっかりもの、厳しい、叱ってくれる、正しい、勉強を教えてくれる、、、。
さまざまな印象があるかと思います。
しかし、それはほとんどの先生にも当てはまりませんか?
これは先生という職業に求められるものが増え、先生という職業自体を人格者に仕立て上げてしまったからなのです。
例えば、『サラリーマン』と聞いたってどんな人が仕事をしているかなんてものは到底想像できませんし、人によってイメージは異なります。
でも、先生に関してはほとんどが同じ印象を持っているのです。
先生は自ずと先生という形としてはない、イメージに近づくように日々働いていますし、社会的にも近づくような仕掛けがたくさんあるのです。
この本では、そんな先生であり続けようとして努力する先生と、でも自分自身の中にある思いとの葛藤を描写しています。
だからこそ、リアリティがあり先生に対して好印象を持ちます。
七色の先生の仕事
この本では、先生の仕事をなないろという表現を使って示しています。
確かに七色。
私は、いい面もあれば悪い面もある、いろんな教員の仕事という見方があるけれども、虹全体を見れば大きくきれいなものと感じるという意味を込めているのかなと感じました。
いろんな捉え方があっていいのです。
本を手に取って一人一人にこの七色の意味を考える時間があるからこそ意味があるのです。
絵本としての意味
著者がこれを絵本として出版したのには、きっといろんな意味があったのでしょう。
ただ教職を知って欲しいだけなら、絵本として世の中に出す意味はありません。
絵本という形で世の中に出すことで、大人と一緒に子供が見る。
そして、せんせいという職に就いて考える。
そんな時間を作りたかったのではないでしょうか。
子どもからすると、先生は最も身近な大人の一人。
そんな大人の姿を間近に見て育っていきます。
だからこそ、表に見えている先生の部分だけでなくて、その内側にも焦点を当てて見せてくれるこの本にはとても大きな意味があると思います。