「えっ、もう終わり?」いただきました vol.264
「えっ、もう終わり?」
これは、私が授業の中で目指している最高の終わり方の一つです。
生徒からこの言葉を引き出せたときは、一人しめしめと思っています笑。
時間も忘れるほど熱中していた、学び足りない、もっと知りたい。
そういった生徒の姿勢が見れた時は教員冥利につきます。
そんな生徒の姿、いや人の姿こそ、学び、知的好奇心に純粋で本能的な美しさを感じるからです。
主体性を呼び起こす
今はもう流石に使っている教員もいないかもしれませんが、アクティブラーニングやグループ活動といった言葉が私が教員になりたての頃はピークで流行っていました。
ちょうど5〜6年前と言ったところでしょう。
なぜこれらの言葉が使われなくなっていったのかは、また別の機会に改めて深く触れるとして、簡単にいうと生徒に全てを投げてしまうような形だったからです。
例えばグループ活動をしましょうと言って、ただただ机を4人でくっつけました。
みなさんが生徒の気持ちになったらどうでしょうか?
仲が良ければまず勝手に話し始めますし、特に仲がいいわけでなければ、これはこれでグループ活動などせずに個人プレーに走ります。
逆に指示が超細かかったらどうでしょうか?
何分経ったんで、一度体をこちらに向けてください。
はい、ではここから◯◯のことだけ3分間話してください。
今度は抑制バージョンですね笑。
要は適切な教師の介入と、主体性を呼び起こすような、動作目的が発生するような内容でなければ、不毛な時間になってしまうのです。
まぁ、それもやってみて初めてわかっていくことではあると思いますが。
小学生と同じ内容
では、今日私が行った実験はなんだったのか。
それも、ビーカーや試験管に水を入れて音の鳴り方を確認するという実験です。
それも高校生にです。
これは同じ実験を小学校でやっている例をよく見ます。
たったこれだけのことですが、生徒は夢中になってやります。
では、いったいここからどのようにして物理に近づけるのか?
そこが教員の腕の見せ所です。
20分ほど音遊びをさせた後、私が最初に問いかけたのはビーカー(叩いて音を鳴らす)と試験管(吹いて音を鳴らす)で水を入れた時の音の高低の変化に違いがあるのはなぜか?といった質問です。
ビーカーは水を入れれば低くなっていきます。
試験管は水を入れれば高くなっていきます。
当然、生徒は頭を悩ませます。
当然でしょう、これはもともと物理教員の私が疑問に思ったことですから笑。
それを授業に変えたに過ぎません。
ここで詳しくは説明しませんが、今学習している気柱の振動と波の速度と関連づけました。
始まりはいつも?から
私は科目が理科なので、他教科よりもよりやりやすいのかもしれませんが、このような授業はたいてい自分の頭の中にある❓から始まります。
クリティカルシンキングやラテラルシンキングを総動員しています。
時にはパラレルシンキングもロジカルシンキングも使います。
私は理科の教員ですが、理科について詳しいわけではありません。
あくまでも理科を教える技術に特化しているだけです。
だから、理科の教科書にもいまだに自分の知識の中に無かったようなことが目に入ります。
そう言った時こそ、チャンスなのです。
これは東京書籍の中3の理科の教科書の内容です。
このまま鵜呑みにすることだってもちろんできます。
しかし、この1文だけで10回分は授業ができるほどに深いものが詰まっているのです。
うすい塩酸とはどの程度うすめればうすいと言えるのか
電解質の水溶液以外は?
電解質であればなんでも良いのか?
金属板を3種類にするとどうなるのか?
例えば金属板全てを水溶液の中に入れれば、この液体自体に接続すれば電気が流れるのか?
電圧とは?
金属板の距離は?
、、、
挙げればキリがないのでこの辺にしておきますが、要はこれだけの手札の中から何をチョイスして何を掛け合わせるのかに授業作りの楽しみがあるのです。
授業を面白くするもつまらなくするも教員次第。
失敗しまくって、十八番を作り続けましょう。