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建築業界必見!成長戦略は『経年進化』の価値観によるアフターマーケティングにありpart2 

こんにちは。
株式会社アイジーコンサルティング メンテナンス事業部の責任者の村木寿光です。
私たちは、ビルダー様の建築後のアフター点検の代行やその後のメンテナンスを通じて、お住まいの方々の暮らしをアップデートするお手伝いをしています。
前回は、建築業界の皆さま向けに、新たな成長戦略として『アフターマーケティング』という考え方を提言させていただきました。
今回はその続きとして、アフターマーケティングの具体的な手法をお話いたします。
ただし、何か画期的な秘策があるわけではありません。ごく当たり前の話をしようと思いますが、建築事業者様の経営の少しでも参考になるものがあれば嬉しく思います。

前回の記事はこちら↓です。


アフターマーケティングとは?(前回のおさらい)

建築業界では、建築後のアフターは“不採算業務”という認識が少なからずあると思います。アフターが奉仕活動のようになり、ともするとクレームを拾いに行くようなもの、というように捉えられることもあります。
しかし、これを思考転換して、アフターにこそ価値が創造できると捉え直すことが次なる成長戦略のカギとなります。

アフターマーケティングとは、単に奉仕活動としてのアフターサービスを提供するのではなく、価値創造(=マーケティング)をして顧客生涯価値(LTV)を最大化させることです。これを、市場の縮小や職人不足といった難しい課題に直面している建築事業者様の次なる成長戦略の柱とすることができると思っています。
その成功のカギは、住まいを『経年劣化』するものとして捉えるのではなく、想い出や愛着・住み心地など、住まいは『経年進化』するものとして捉え直し、住まい手の暮らし(=アフター)をより豊かにしていく視点です。

“暮らしの価値創造=アフターマーケティング”

これが経年進化の価値観によるアフターマーケティングの考え方です。

アフターサービスの悲しい現実・・・

ここまで前回含めて理想論的に書いてきましたが、とても乱暴に言うと、要するに「アフターで継続的に稼ぎましょう!」ということです。
「稼ぐ」と言っても、顧客が価値を感じなければ利益は生まれないわけですから、いかにしてその価値を感じてもらえる仕組みを構築するか。しかもLTVですから、永続的に価値を届け続けられる仕組みにできるか、ということです。

点検や訪問を繰り返し、都度顧客の要望や是正に応えて無償対応をするなど、尽くして尽くして尽くし続ければ、顧客と関係構築ができて何かあったときには必ず仕事をくれるはず!

はっきり言ってその考えは甘いです!

顧客との関係構築に重きを置く考え方は、永続的なビジネスモデルを構築する土台となりますので私も正しいとは思います。
が、「アフターサービスをしていればいつか報われる」という考え方だけで取り組んでいては甘すぎます。
顧客はもっとシビアです。
ホームセンターや家電量販店に大手のリフォーム業者,各種個別の専門業者,もしくはたまたま来た訪問販売の業者など、どれだけ尽くして関係を築こうとも、チャンスは簡単に奪われます。

お客様は言います。
「そんなことまで頼んでいいとは思わなかった」
「たまたまついでに別のところで依頼しちゃった」

(えっ、家に関することはなんでもまずは声かけてってあれだけ言ったのに??)
(すごく良好な関係ができていると思っていたのに。。。)

悲しいですよね。
これまでにかけてきたコストと労力を考えると。
また、仕事の依頼はくれるとしても小さな工事ばかりで、これもコストと労力に見合わない、ということもあります。
それに、一番欲しい新築顧客の『ご紹介』も、一人の顧客からそんなに頻繁にあるものでもないですし、アフターをやったからご紹介を頂けるのか、という因果関係も不明確です。

だからうまくいかないアフターサービス

どうしてこのようなことになってしまうのか?
それはマーケティングができていないからです。
動きが、顧客ニーズが顕在化してからの受け身となっていて、顧客に対して主体的な価値提供ができていません。
「いや、能動的にアフターをやっている!」という方もいるでしょうけれど、いくら能動的にアフターサービスをしていても、顧客にニーズが発生してから動いている時点で受動的です。ニーズに応えることだけが真の価値提供ではありません。
それに、恐らく発生したすべての顧客ニーズを取り切ることは難しいでしょう。そしてその発生のタイミングもなかなか把握できず、計画的な事業とすることもまた難しいでしょう。

そもそも、アフターサービスの目的は『顧客の囲い込み』だと思います。
ところで、これは完全に私個人の価値観ですが、この『囲い込み』という考え方もあまり好きではありません。自分が顧客だったら囲い込まれているのってなんか嫌じゃないですか?
本当は顧客を囲い込む必要なんてないんです。価値が伝われば顧客も喜んでそのサービスを受け続けてくれますし、そこから利益は生み出されていきます。
なので、結果としては囲い込んでいることと同じ状態になります。
囲い込み』を目的とするか、『価値提供』を目的とするか。
これもアフターマーケティングで大切な考え方の一つです。

アフターを計算できる戦略的事業に

ゲリラ的でいつ発生するかもわからない需要を掴むためにアフターをおこなうのは、不確定要素が多すぎて事業になりません。
いつ・どこで・だれに・なにを・どのように、商品サービスを提供するか、
そしてどのくらいの率で受注して・単価はいくらで・どれだけの売上を上げて・いくら利益を残すのか。
すでにアフターを実施している建築事業者様は、これらすべて計算できているでしょうか?
もし、できていないという事業者様と、これからアフターに取り組んでいきたいという事業者様は、まずはこれらを明確することから始めてください。
これらを明確にしていくこと、これはまさに世間一般に言われる『マーケティング』そのものですよね。
アフターでこれを明確にすることができれば、年間の売上と利益があらかじめ計算できるようになります。
このように計算できる仕組みを構築することがアフターマーケティングです。
この仕組みをきちんと構築して実行することができれば、むしろここで決めた計画以外の突発的な顧客ニーズは、取りに行かない、というくらいでもよいかもしれません。少なくともプラスアルファ取れればいい、というくらいでよいでのではないでしょうか。

「アフターは稼ぐためにやっている訳じゃない。顧客満足度を高められればいいんだ。そこからご紹介が頂ければいんだ。」
という建築事業者様もいらっしゃるでしょう。
それも同じです。
きちんとそれを計算できる仕組みにできているでしょうか?
なんとなく闇雲におこなっているアフターはギャンブルのようなもので、マーケティングになっていません。

アフターサービス:奉仕活動、非計画的、出たとこ勝負のギャンブル
アフターマーケティング:事業活動、戦略的かつ計画的、計算できる

まとめ

アフターを「奉仕活動」や「出たとこ勝負のギャンブル」として実行するのではなく、「計画的で戦略的な事業活動」のアフターマーケティングとして位置づけることが、建築事業者様の成長にとって欠かせない視点です。しかもそれは、顧客との信頼関係も深め、計画性や収益性も両立する戦略的なビジネスモデルとすることが可能です。
これが新たな顧客価値の創造であり、顧客の暮らしをより豊かにする『経年進化』に繋がっていきます。これがアフターマーケティングの本質であり、外部環境厳しい建築業界で確固たる成長基盤を築くカギとなります。
ぜひ、この考え方が、皆様の持続可能な事業活動の力となりましたら幸いです。

今回はアフターマーケティングについて一歩踏み込んだ話をさせていただきました。しかし、住宅建築後のアフターにおいて、ごく当たり前のマーケティングをしましょうという話でしたので、逆に何を言っているのかわかりにくかったかもしれません。
そこで次回は、さらにもう一歩踏み込んで、もっと具体的なお話をさせていただければと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回もお楽しみに♪