『ブリグジット EU離脱』感想
2019年イギリスのテレビ映画。ベネディクト・カンバーバッチ主演。BBC制作。
カンバーバッチとBBC制作といったら『SHERLOCK』である。「頭はキレるが性格悪いヤツ」をやらせたらカンバーバッチの右に出る者がいないな。今作もそんな役をやっている。
内容はタイトル通りで、イギリスでのEU離脱の是非と問う2016年の国民投票までの騒動を描いている。主人公は離脱派の選挙キャンペーンを指揮した選挙参謀ドミニク・カミングス(カンバーバッチ)。
貧困と格差、移民などの問題は、表面には見えない地中のマグマのような怒りを蓄積させていた。そして人々の怒りはEU離脱の国民投票を機に一気に噴出する。
さらに選挙キャンペーンの裏では、IT技術をつかってネット上の個人情報を分析し広告などで誘導して票を取り込む戦術が行われていた(この行為はのちに問題になったようで、そのようなシーンが作中にみられる)。
以前すこし話題になっていた「オルタナ右翼」「オルト・ライト」やSNSなどの問題は、日本やアメリカや世界中の国で同時多発的に起きている。トランプ大統領とかネトウヨとか。一度経済的に成功した国が落ち目になると沸き起こる怨念のような感情が、SNSなどによって可視化され、より鋭角な現象になるのだろうか。
イギリス国民の反応が日本のツイッターでもよく見かける反応と同じだから、ブリグジットが対岸の火事とは思えなくなる。
ただワタクシがこの作品についてひとつ言えることがあるとすれば、ボリス・ジョンソン役の役者が「本人か?」と思うほどそっくりだった、ということだ。
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