【書評】『編集思考(NewsPicks)』佐々木紀彦
「親や会社や友人や世間が敷いたレールに縛られすぎて、自分の頭と心が自由に動かない。『こうあらねばならない』という固定観念が『思考停止』と『感情停止』と『行動停止』を併発してしまっているのです。」
これが【思考の檻】
「大量生産・大量消費を是として、人を画一的な枠に押し込め、人間と社会の画一化を図る。この高度経済成長期には機能したシステムが、今なお日本を覆い尽くしています。それこそが、平成の日本が停滞した最大の理由でしょう。」
いきなり引用から入りました。
ここの文章は最近ぼくも強く思っていることです。
外からの情報を遮断して自分の考えだけで生きろと言っているのではありません。
自らの思考・感情・行動をしっかりと持っておくべきだということです。
この文では日本ならではの例で述べていますが、時代の流れに合わせる必要性を感じます。
生きている中でいつまでも同じままではうまくいきません。
比較する時間が圧倒的に違いますが、
生物は皆進化するものが生き残ってきました。
進化しなければ生き残れません。
続いて
「柔らかい独裁者」
という表現がありました。
さまざまな人の意見を取り入れつつ決定は1人のリーダーが行う。決断が間違っていたと思ったら柔軟に変えていく。
ということだそうです。
一般的に独裁者は良いイメージがありません。
しかしなにか物事を決定すべき時には、誰かの決断が必要です。
複数人で決めれば納得のいくものになるでしょう。
しかし時間がかかるし必ず皆が平等になるとは限りません。
そこで最終決定者(独裁者、しかも一人)が必要になるわけです。
そこから文字通り独裁してはいけません。
視野を広く柔軟に(柔らかく)行うのです。
それが柔らかい独裁者です。
おもしろい表現だったので書き留めておきました。
さらに
【アイデアを組織の政治につぶされない5つのヒント】として5つ重要なことを挙げていました。
その中の5つ目に
「会社を辞める覚悟でやること」というのがありました。
これはいわゆる背水の陣です。
以前読んだ『完全自殺マニュアル(太田出版) 鶴見 済』も似たような内容でした。
死んでもいいという気持ちでいれば楽に生きられる。
ちなみにこの本はぼくの座右の書です。
この後に
「おもしろいもので、優等生として上司の顔色をうかがうよりも、出世を考えずに思い切って取り組むほうが、結果的に出世につながったりします。たとえ失敗に終わって社内での評価が一時的に下がっても、その経験は中長期的に活きるはずですし、会社の外のオープンな市場ではむしろポジティブに評価される可能性もあります。」と続けています。
まさに背水の陣です。
本書後半
佐々木さんの政治家への質問のシーン
なぜもっとメディアでの露出を増やさないのか街頭に立つよりも費用対効果が良くないか。
という質問をしていました。
政治家の回答としては
メディアで支持してくれた人は離れるのも早い。
長く居続けるにはリアルな支持が必要。
ということでした。
要するに
はやく熱した石は冷めるのもはやい。
じっくり温めた石は冷めるのもゆっくり。
どちらが良いかは戦略次第だと思います。
使い分けが大切になりそうです。
全体的に縁の下の力持ちのような内容でした。編集者というのはあくまでも裏方。
裏方に徹することで多くのことを学び、表現し、提供していく。
しかし
現代の編集者は時に前に出る。
演者を引き立たせつつも自分も出るところは出る。良い塩梅で。
というようなことだったと思います。
【ネオ縁の下の力持ち】とでも言えるでしょうか。笑
流行りに乗るなら、【縁の下の力持ち2.0】です。笑
ぼくもどちらかと言うと裏の方が得意なのでなんだかワクワクしました。
気になった方、ぜひ読んでみてください。