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イラスト「仄ぼの」【後半は研究とふりかえり】


# 99 書き手:一陽アケル

掌編小説:仄ぼの(ほのぼの)

寒さが続く日。クレオが炎でできたストールを着ていた。
「それいいな、あったかそう」
『そうでしょう、そうでしょう』
 クレオの魔法で、ストールからふわり、ふわりと舞い上がる火の粉は、見ているだけで暖かそうだ。
「ぼくも一枚欲しいな」
『ざんねんながら、おれから離れると、炎がほどけちゃうのです』
 慇懃な口調でクレオが答える。
 せめてクレオの隣にひっついてやる。すると、
『これくらい近くなら届くよ、着せてあげましょう』
 肩にゆらめく炎がかかった。背中と首、両肩がぽかぽかと暖かい。
『…こんなにあったかいと、アイス食べたくならない?この前買った、ベリーとピスタチオの』
「お前、悪魔の囁きだな」
『ベリーの甘さとピスタチオの香ばしさが美味しいんだよね~』
 けれど確かに、こたつに頭からもぐりこんだような暖かさだ。ここにアイスがあれば、天国だろう。
『おれもついていくから、冷蔵庫から取り出してきてよ』
「しょうがないなぁ」
 ぼくとクレオはのそのそと立ち上がる。
 なんだか、子どもの頃の電車ごっこのようだった。

 

【イラストメイキング】

 ストールにはモチーフがある。 

 ボウタイ(リボンだと思っていたが、どうやらコナン君の蝶ネクタイらしい)を全身に纏っている格好いいファッションを見かけたので、クレオの炎モチーフでニットのストール風に描いてみた。

タイムラプスはこちらから

さて、ここからはふりかえりだ。
 今回は95点。
 目標だった線の濃淡の使い分けができたのと、デジタルでもペン画の良さを出せる技法を少しずつ組み立てられてきたので、高得点をつけた。

よかったところは、
 1:全体は葦ペン、細かいところは万年筆で、インクも黄色一色でなく、赤みの強い茶を混ぜた黄色と濃淡が出るように使い分けることができた。
2:線画を活かせるような色の塗り方(水彩(にじみ)の濃度を20%、60%に変えて塗る)など覚えた

 そもそも、ぼくは線画をデジタルで描けない。長時間画面を見てられないのと、どうしてもデジタルでは納得いく線を引けなかったからだ。
 諦めかけていたけど、もう一度ペン画の濃淡を活かしたままデジタルで着彩を始めることができた。

濃淡ある線画をデジタルに取り込む方法

詳しくはこちらの記事のデジタルに取り込む方法から

ざっくり説明すると、

  1. スマホで撮る(明度やスキャンをある程度できるアプリで加工)

  2. 写真を取り込んで、【線画抽出】する(この時線があまりにも薄いなら、【レイヤーを複製】→【乗算】)

3.線画レイヤー全体を【不透明度を選択】で選択する
4.線画レイヤーの一枚下にレイヤーを作り、画面全体を白で塗る
5.線画と下の白塗りレイヤーを結合

 前回の研究はここまでだったが、これだと線画が明るすぎて、影に見えない。

(左画面:服の袖や両肘の辺り)
  線画レイヤーと白塗りは結合してしまうとクリッピングで塗った時、線画の濃淡が消えてしまう。 そのため今回は乗算で薄い影を上塗りしたら、影らしくすることができた。(右画面:袖の下、肘が暗くなった)

 
 …と、新しい技法をまとめたところで、ふりかえりに戻る。

今回の課題は、
1:線画の濃淡を残したまま色を塗り替える場合、白塗りを合成すると濃淡が消えてしまう
2:構図が似た内容になってるかも
3:万年筆の入り抜きがまだ甘い(染料インクだからか、にじみが起きやすい)

課題に対して次の挑戦は、
1:線画と白塗りレイヤーは分けて残しておく
2:研究であっても面白い構図の追求もする
3:万年筆など細かいハッチングの練習をする

【ひたすら褒める!】

・自分が今まで描きたかった絵に着実に繋がってきてる
・一つの作品を描きあげる時間がコンパクトになってる(本業、家事家計、電子書籍、note記事、交遊などなどの合間の時間で出来てるのがすごい!)
 

 今週はここまで。ありがとうございました。

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