理学療法士10年目の心情と振り返り
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2021年4月1日から理学療法士10年目になりました,いえやすです.
新人時代から考えると10年目PTなんて,大ベテランに感じてましたけど,実際になってみた節目で振り返りたいと思います.
この記事内容は,リハ学生,新人療法士,5年目くらいの中堅療法士,いずれ教員になろうと思う療法士に役立てたらと思います.そして,自分の考えも整理もしたいために振り返ってみます.
現時点で,大学病院で5年間勤務して,その後教員として5年目になりました.
※プロフィールは以下記載↓
たまに学生にも「理学療法士(PT)はどんな仕事ですか?」と聞かれます.
そこで,
①PT1年目〜9年目まで1年毎に感じたこと
②PT5年目と今を比較して成長したこと
③今後の課題
の3点を簡単に述べたいと思います.
①PT1年目から1年毎に感じたこと
・1年目(急性期)
誰も知らない職場・土地(高知県→愛知県)に飛び込んだこともあり,話せる知り合いを増やすことに必死でした.また,患者さんや先輩とも上手くコミュニケーションを取れていない感覚が強く自分は社会人失格で,PTに向かないのではと考えた頃でした.今思えば,PTに向く向かないなんて答えがないですし,できない事の連続で自己効力感が全然持てなかったのだと思います.もっと同級生や先輩にも自分から相談ベースで色々話せていたらもっと心が軽かったと思います.
・2年目(急性期)
1年目は臨床をまず実施することに必死でしたけど,2年目からより良い臨床内容を考える余裕が出てきて,臨床が少し面白く感じるようになりました.
・3年目(急性期→回復期)
回復期病棟に異動して急性期病棟との違いに戸惑いましたけど,時期によって役割の違いがあることを認識できました.退院後を見据えて,回復期の患者さんの入院から退院までの基本的なスケジューリングを学べました.
・4年目(回復期 + 生活期(訪問))
他職種連携に少し慣れてきて自分の意見を提案できるようになってきた頃でした.訪問リハも経験させて頂いて,生活期は対象者が納得できるゴール設定が難しいと感じた頃でした.回復期は歩行自立が目標の一例ですけど,生活期は歩行自立した次に何をゴールにしたらいいか?,また自分の訪問リハビリの関わりはどれだけ対象者に貢献してるのか?と,試行錯誤考えていた時期でした.
「そんなリハビリの目標だなんて,堅苦しいこと考えなくってもいいんじゃない」
なんて,訪問リハの利用者さんに言われた時はハッとしましたね.利用者さんの潜在的なやりがいを見つけながらすすめることが重要なのかなと感じました.
・5年目(回復期 + 生活期(訪問))
急性期,回復期,生活期を全て経験して,自分は退院後の生活を見据えた回復期の臨床が好きだなぁと感じた頃でした.回復期は理学療法士としての使命感が強く感じました,自分がやらないと患者さんが良くならないと.
これから10年くらいは回復期に従事したいと思っていた矢先に,実家の事情や教員としての声をかけて頂いたこともあり教員の道を選びました.回復期での勤務を続けたかったので大きな決断でした.
・6年目(専門学校の教員1年目)
先生という立場は学生の見本にならないといけないと身が引き締まる思いでした.臨床5年しか経験していない上に,人間的に自分が教員に向いているかなんてわからなかったですけどその時々に向き合って仕事してから考えようと思いました.臨床と違って業務内容が大きく異なり,どこでやりがいを考えるのかと試行錯誤していた時期でもありました.
・7年目(専門学校の教員2年目,1年生担任,大学院修士課程1年目)
初担任かつ大学院に通い出しました.40人のクラスメイトは思った以上に色んな意見があり,担任からのトップダウン型の指示というより,どうしたらクラスメイト皆の思いが反映できるかという,最大公約数を見つけることが求められる時期でした.当たり前かもしれませんけど,大学院は自主性を求められるものだなと感じた頃でした.
・8年目(専門学校の教員3年目,2年生担任,大学院修士課程2年目)
クラスメイトが2年生になり施設実習を経験し,成長して帰ってきた姿をみて嬉しく思った頃でした.修士でお世話になった大学院は倫理委員会や研究のお作法を少しだけ学ぶことができて良い経験でしたけど,次の博士課程は目的意識を今以上に持って,どの大学院にするかをしっかり考えて決めないとな思った頃でした.
・9年目(専門学校の教員4年目,3年生担任,コロナ感染対策の遠隔授業の構築)
2020年4月は緊急事態宣言の影響で休校となり,遠隔授業の構築にメインで関わり,リモートの様々な機能を多く習得したように思います.コロナが落ち着いても今後に活用できそうなスキルを得られました.これらから学んだことは,単に遠隔授業のスキルを身につけたのではなく,慣れない課題に対して失敗を恐れずに挑戦すること,問題解決能力が身についたように感じます.逃げないでやり切ることは重要だと実感しました.
あと,教員を丸3年経験して,自分は頻度は少なくても臨床も携わりながら,教員という仕事が好きだろうなと感じました.
※9年目で得られたスキル(遠隔ツール等)は以下の通り↓
②PT5年目と今を比較して成長したこと
自分が新人PT時代に,2〜4年目の先輩PTをみて「先輩達は凄いな」と感じた一方で,5年目以降くらいになると10年目も並列(同じ)にみえて,逆に5年目の先輩が15年目の先輩よりも成果出しているよなと感じた頃でした.どの部分をみてそう判断するかは私の主観でしかないものの,5年目以降になっても毎年着実に成果を出せるPTにならないといかんなと思ったため,自分の5年目と10年目で比較して成長した内容を内的キャリア・外的キャリアに分けてまとめます.
1)内的キャリア(数字で表せられない部分)
・責任を背負う課題に恐れずに取り組めるようになったこと
・難しい仕事にできそうなイメージを持って取り組めるようになったこと
・困っている人のために向き合って力を注げるようになったこと
・周りに報連相がよりできるようになったこと
→これ,当たり前にみえて,年齢関係なくできない大人が意外に多いと思います.
・自分の意見を持って提案できるようになったこと
・提案した内容をやり切ること
・6年目の頃よりは周りに優しくなれたこと
・学会運営の中心メンバーとして従事させて頂いて無事学会をやり遂げたこと
等です.
2)外的キャリア(数字で表せられる部分)
・学会発表を毎年複数演題は当たり前のように行えるようになったこと
・学会発表で共同・筆頭あわせて30回以上実施したこと
・国際学会の発表も挑戦できたこと
・依頼,投稿論文ともに経験できたこと
・修士を取得したこと
・認定PTを3つ(脳卒中,健康増進・参加,運動器)取得したこと
・博士課程に今チャレンジしていること
・PT協会の講師を複数回させて頂けたこと
・助成金を取得できたこと
・産業理学療法分野にも従事させて頂けたこと
・勉強会団体を運営して30回以上を運営してきたこと
等です.
5年目時点で想像していたよりは取り組めたように思いますが,教員としてはこのままではいけないと感じています.
③今後の課題
教員として感じている今の課題は次の4つです.
1)学生への教育力
成績的に苦労している学生や他にも課題がある学生に対して,教員が諦めることは簡単ですが,どこまで教育できるか?それはただ勉強を教えるだけではなく,考え方,生き方等も一緒に考えられる教育力です.もちろん,上の学生を伸ばす教育も含めてです.
2)研究スキル
論文をもっとやらないとですね.
3)PT協会に関わっての社会貢献
もっと全国規模のPT協会の運営にも携わり,PT会員や理学療法を必要とされている対象者さんに貢献できるように,本当の意味で貢献していきたいと考えています.
4)PT協会に関わっていない部分での社会貢献
行政との関わりや単純に社会にNeedsがある課題に取り組むことです.
「良い仕事をした」かどうかは,最終的に困っている誰か個人のため・社会のためになる成果物をどれだけ残せるか?だと思います.
まずは,今年度,担当している4年生のクラスメイトが無事良い就職先に就職できるように,そして国家試験も全員が合格できるようにとクラス目標は欠かせないと同時に,自分の個人目標として大学院で成果を早く残していきたいものです.博士も取得して,近い将来はPT協会にもしっかりと貢献できるようにすすめたいと思います.
という10年目PTとしての振り返りでした!
とにかく前に進んでいきたいと思います!