東海道NOW&THEN 4 「神奈川」
川崎から神奈川まで2里半。約9.8km。生麦事件の石碑を横目で見て神奈川宿へ。
神奈川宿には横浜開港による各国の公使館跡がある。長延寺はオランダ、浄瀧寺はイギリス、本覚寺はアメリカ、甚行寺はフランスと寺院が公使館や領事館になった。その中で面白いのは良泉寺で、公使館の指定を受けたが本堂の屋根瓦をわざと剥がし修復中として断ったとか。宿場を目の前にして、各国公使館が建ち並ぶのは、いかにも開港横浜らしさ。
広重の絵は「台之景」。絵を見ると坂道に並ぶ茶屋のすぐ裏は海。十返舎一九の『東海道中膝栗毛』には「海ぞいの片側に、茶店が軒を並べ、座敷は二階にあって、(中略)波うちぎわからの景色が特によい」(伊馬春部・現代語訳)とある。北八のセリフにも「(座敷の)奥は広いはずだ。安房、上総までの海つづき」とあり、すぐ裏まで海だったことがわかる。並ぶ茶屋の中で唯一、代替わりし屋号を変えて現在まで残っているのが田中屋。絵の中、坂上から3軒目の「さくらや」だ。ここには、坂本龍馬の女房おりょうが、龍馬亡き後、働いていた。勝海舟の紹介だったとの説も…。
広重の絵にある坂は現在の横浜駅から北西へ徒歩15分、約1kmほど。駅の東側はみなとみらい地区で、そこは80年代に埋め立てられるまで海だった。今では駅の両側はビルが立ち並ぶ繁華街だが、昔は田中屋のすぐ裏まで海。それが偲ばれるNOW&THEN。
この田中屋が残る坂道は、私が広重の絵のNOW&THENを探訪しようと思い立った場所。これ以降、京を目指して西へ向かいつつ各宿場で広重の絵はどこだ?と歩くことになりました。
次は、保土ヶ谷。
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