東海道NOW&THEN 16 「蒲原」
吉原から蒲原まで2里5町半。約8.5km。
吉原を出て富士川まで約6km。道は平たんなので、1時間半。富士川を渡りながら右を見ると、広々とした空を背景に見事な富士。川を渡ると上り坂。やがて東名高速を越えて下ると蒲原だ。
広重の絵は、雪に埋もれた蒲原宿を見下ろすように描かれている。このあたりは温暖な気候なので、これほど雪が積もることはめったにない。広重が通ったときにたまたま厳寒だったのか、それとも絵師としての想像力なのか。いずれにしても、この絵は蒲原を知る人々をあっと言わせたに違いない。 写真は蒲原宿を見下ろす場所はここしかない、という宿場の東木戸口の少し手前で撮ったもの。工場や民家が建ち並び宿場はそれとわからない。ただ西の木戸口から次の由比へはほとんど平たんな道。広重の絵のように東海道から宿場を見下ろすことができるのは、ここだけなのだ。
吉原を出て蒲原を目指して富士川を渡ると、古い石の灯籠がずらりと立ち並ぶ。この灯籠は火防の神様として知られる秋葉神社への道を照らす常夜灯。蒲原を出ても、この先ずっと駿河・遠江・三河の東海道沿いに秋葉の常夜灯は数えきれないほど多く立っていて、それが街道の道しるべとなっている。どれだけ多くの人がこの常夜灯を頼りに秋葉神社へ詣でたのか…。
蒲原宿に入り歩いていると、「イルカすまし」の看板。ン?なんだ、これ。看板の店に入り店主に尋ねてみた。イルカのひれを細かく切って、ひと塩まぶして茹でたもの。蒲原では古くから食しているという。「味見する?」と聞かれ、もちろんYES。見た目はイカの刺身のように白い。口に入れる。歯ごたえは十分過ぎるほどで、別名「蒲原ゴム」と呼ばれているらしい。ポン酢で食べると、酒の肴にもってこいなのだそうだ。歩きの途中なので酒は遠慮して、つぎの宿場を目指すことに。
蒲原から次の由比は、左に海を見ながら平たんな道をのんびりと行く。
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