東海道NOW&THEN 28 「袋井」
掛川から袋井まで2里16町。約9.6km。
十九首塚を出て花茣蓙で有名だった名栗を過ぎ、富士浅間神社赤鳥居を右に見る。油山寺、可睡斎の古い道標を過ぎると袋井宿の東見附。約1時間半とちょっと。
広重の絵は、宿場のはずれにある出茶屋を描いている。出茶屋とは、街道沿いにちょっとした木陰などを利用して、簡単によしず張りの屋根を作り旅人に茶を振る舞う。絵の左、よしずの屋根には旅人に売るのか草鞋がぶら下がっている。やかんの湯を沸かす焚火、店の女が火の加減を見ている。焚火にキセルをかざして火を付ける人足、腰かけて一休みする旅人。いかにも出茶屋らしい風景。
袋井宿のはずれにある出茶屋、もちろん今は宿場の東にも西にもない。現在、東見附には広重の絵をモチーフにしたといわれる茶屋があるのだが、よしず張りではなくちゃんとした茅葺の茶屋で絵とは違う。宿場内を抜け西見附まで来ると、東屋と1本の松。いくらかは出茶屋のイメージに近いと思い、撮った写真。
掛川から袋井にいたる途中に名栗の松並木が残されている。東海道の松並木の整備は18「興津」の「細井の松原」でも少し触れたが、徳川秀忠が命じたもの。歩いてみるとわかるのだが、松並木は強い日差しを避けて木陰を作ってくれている。
名栗の松並木には袋井を描いた広重の絵が並び、保永堂版だけでなく隷書版・行書版・双書版の「袋井」が掲げられている。広重が五十三次を描いた当時、最初の保永堂版が大評判となり、いろんな版元から広重に「東海道を描いてくれ」と依頼が舞い込む。結果、広重の五十三次は広く知られた保永堂版だけではなく、蔦屋版・隷書版・行書版・双筆版など数多くが誕生したのだという。
袋井は、京と江戸のどちらからも27番目の宿場。それで「どまん中」と称している。富士浅間神社の赤鳥居を過ぎて少し先に袋井市立東小学校がある。その校門の前で思わず笑ってしまった。校門に掲げられているのは「東海道五十三次どまん中東小学校」の門札。宿場の東見附は市役所のすぐ脇で、そこには「どまん中茶屋」があり茶を無料で振る舞ってくれる。西見附近くでは「どまん中ギャラリー」があり「袋井丸凧」を見ることができる。というように、袋井では、いたるところで「どまん中」に出会うことになる。
袋井の西見附から、次の見付宿東見附までは約6km。1時間半だ。
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