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『かさねるまたたき』について少し話す

文章では、お久しぶりです。
いえぬです。

前の記事からこの記事までの間に、1st albumを出すことに成功しました。嬉しい。
XFDリンクとかも、貼ってみようかな。


ストリーミング配信で聴いてくださっている皆さん、実物をご購入くださった皆さん、ありがとうございます!
まだ聴いていない方も、全曲ストリーミング配信などで聴くことができます。宜しければ!

今日は、思い立って、『かさねるまたたき』について自分の考えを纏める為にも、このアルバムについて話してみようと思います。興味のある方は何卒。


1. 『アマドイドリップ』という作品

あまり私の制作した曲の中では知られていない作品のうちの一つですが、このアルバムの表題曲と言っても差し支えないでしょう。この曲について少し話してみます。

この作品は『オーバーコード』を制作したすぐ次の作品でした。
前曲の凄まじさと気迫は私自身も圧倒されることがあり、音作りとしては今もまだまだだと自覚していますが、私の中でも一つの大きな呪いになる作品でした。
こんなことを言った手前、私の心が空になったとき自身の曲に私自身が糾弾されるに違いない。という呪いです。
私が今、ここで、起こっていることに盲目になってしまえば、私はそこで何を思うのだろう。

そんな問いでした。

雨は、地面に落ちてしまえばもう雨では無いですが、その前に手で受け止められたならまだ、ずっと雨のような感触がします。

そんな雨みたいな現実の瞬間瞬間一つ一つを目と耳の限界まで受け止めていたい。
今、目を閉じている間もこの瞬きが知らぬ間に続いて、雨としての形を失っていったらちょびっと受け止められている人に嫉妬してしまうし、悔しいので。
そう思って制作した一曲です。

時間は雨のように過ぎていくのがなんとも悔しいです。いつか、全部拾いきりたいと願っています。

このアルバムはこの曲から構想が始まりました。


2. 『ムキブツとユーキブツ』という作品

半ば、諦めていました。
人生にはちょっとした浮き沈みというものがあります。少しだけ底にいた時の作品です。

ああ、時間はたっぷりある?
→いつの間になくなっている。
いつしか全てを諦めた?
→まだ虚無(じかん)は残っている。

リンが歌っているこのパートにこの曲の核があります。

私は、立ち向かうための覚悟を持っていなかったので、何をするにも中途半端でした。
時間はたっぷりあるとたかを括っていると、時間は矢のように過ぎていってしまって、やるべき事に追われてしまいます。
もう、やらない。と決めて、諦めてしまえば勿論逃げることはできます。しかし、その時に自分の中に、どうにも不気味で恐ろしい程の空白がありました。

それは本当に長くて暗くて何も無い虚無のような時間でした。

呼吸をしている間に少しずつ体がなくなっていくような果てのない空白と隣り合わせですが、何をしていても食欲も呼吸も止まらなくて不思議なユーキブツが、私でした。

ムキブツとムキリョクというのが本当のタイトルなのかもしれませんね。

でも、
そんな人間でいいのだろう。という諦めでもありました。

まだちょっと、目を逸らして!今くらい私を見ててよ!

そんな言葉でこの長いようで短い時間の中を、ほんの少しのアホらしいような思いだけで埋められたなら、どんなに幸せだろうと思います。

時間は少しずつ続いていきますが、今でもこの瞬間にミクを見ているだけで私は幸せなので。
見ていますよ〜。ミク。


3.『マドローム』という作品

もうこの曲の投稿から半年ほど経ってしまいました。時間が過ぎ去るのは早いですし、怖いです。

ミクの前からテトはいなくなってしまいますが、それでも時間は続いていきます。

こんなに未来がやってくるのは簡単なのにちょっと少し前の時間でさえ取り戻すことは殆ど、出来ません。

今の時代は写真とか、動画とかの技術が発展していて、先代の技術者の方々には頭が上がりません。だって、残して愛でることが簡単にできるようになってしまいました。この時代に生まれてきたというのはとても奇跡のようで不思議です。

こんなに残ってしまうからこそ、そこから目を離してしまえば、現実の時間は何か色を失ったように見えてしまう程に麻薬のような中毒性があります。

微睡んでいるかのように曖昧な思い出の中にどうしても惹かれてしまいます。そんな症候群、のようなものでしょうか。

夢現で感じる今この瞬間というのは本当に一瞬です。朝、少し肌寒くて起きたくない、そんな時にもう一度ベッドに潜ってしまえばそこでおしまいです。

テトも怒っているので、そろそろさよならしなくてはいけないみたいです。

あなたの、今愛でているようにこれから愛でるはずだった”今”を失ってしまったらいけないですからね。

別に、心の中では色褪せてしまっても、形を変えて残っているものがある筈ですから。

時間への執着とその決別、そんな曲です。


4.『ポリビュー』という作品

このセクションは、纏めのようなものです。
若しくはこの曲が、纏めのようなものです。

勿論、世間はこんな想いを無視して無機質な部分もあって、それもまた愛せる部分だと思います。何かといいますと、今までの作品を纏めてアルバムにしようと考えたわけです。現実的です。

どうしても、作品というのは一つの方向に作ろうとすると、伸びやかさが足りないので思い立ったまま作ろうと心がけていますが、纏めるとなると、少し個性があってアルバムの意味が分からなくなってしまいそうでした。

まず、私自身アルバム限定曲という概念が大好きなので作ってみることにしました。
限定とはいいましたが、いつかの機会にMVも出すかもしれません。
これもまた、思い立ったら。

今まで、三曲について初めて解説のようなものをしてしまいましたが、私は時間というものが好きであることに気づかされます。
何よりアマドイドリップが大好きなので主役になってもらおうかな。と思っていました。

時間は一つ一つの瞬間が積み重なっていて、その一つ一つで全く違う輝きがあるように思えます。
玉虫色という言葉、結構好きなので歌詞に入れてみました!
私という人間自身、刻一刻と変わっていきたいものですが、それ以上に私の作品や作品・ボーカロイドの皆様に対する感情がどんどん揺れ動いていきます。その形自身が『かさねるまたたき』です。
変わっていく心も作品も全部重なって、全部私です。失ってしまった私も今の私もどちらも光っていてどちらも私でした。
瞬いている間にも私の作品が変わっていくのが、少し面白くて、ジャケットはこんな絵になりました。

私の制作した曲たちがまばたきの間に重なっているように見えて欲しい!と思っています。

私の作った曲はこれからも続いていきますが、それって色んな視点から私の感覚の一部を切り取った、大事な作品たちです。

私はこれを芸術だと信じています。皆さんがどう思うかは分かりませんが!

色んな視点で一つのものを見ていると、少しずつ色々なところが光っているのではないか。と気づくことができる創作がそこにありました。

"沢山の視界"

そんな意味を込めて『ポリビュー』です。

と、こんな思いで制作したアルバムでした。


気の向いた時にでも、気になった曲を味わって聴いて下さればこれより嬉しいことはありません。

そろそろ終わります。
今後ともよろしくお願いいたしますね。

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