30年にわたり粉飾していた開成コーポレーションの決算書を見てみた結果・・・
この記事では、すでに倒産した建築会社の決算書から、基本的な方法をベースに、倒産傾向を読み説いた内容をお届けしていきます。
今回は、2019年10月31日に事業を停止し、その後、11月5日に破産手続き開始決定を受けた、(株)開成コーポレーション(埼玉)の検証をしていきます。
同社は昭和45年創業の木造建築工事業者。埼玉県西部の東武東上線沿線において高い実績を誇り、近時は県内15カ所に住宅展示場や営業所を設けるなどしていた住宅建築工事会社です。
取り上げた理由としては、30年にわたり粉飾決算を続けていたとのことなので、決算書から何か気付ける部分はないのかを検証していきます。
最新データがあるか調べる。
まずは、@niftyビジネスを使い、最新の決算書データがあるか調べます。
7月決算で、最新データ(2019年)は掲載されており、2018年、2017年もあります。事業停止日が2019年10月31日なので、2019年7月の最新データだと、わりとズレの少ない内容ということになります。
粉飾している決算書
冒頭でも取り上げたように、30年以上にわたり、粉飾していたことが判明しています。粉飾の一般的な手口としては、
・売上債権の水増し
・棚卸資産の水増し
・買掛金や未払金の未計上
・固定資産の水増し
・仮払金・貸付金が多い
などが挙げられますが、今回は、
・完成工事未収金を早期計上し、資産を過大に計上。(売上債権の水増し)
・未成工事支出金早期計上し、資産を過大に計上。(棚卸資産の水増し)
・完成工事高に未完成の工事を含めて売上に計上。(売上債権の水増し)
という手口で粉飾されていたとのこと。建設業の場合、工事絡みは額が大きいので、よくあるパターンでもあります。
また、中小企業の粉飾動機のほとんどは、金融機関から(さらに)借入をしたいからなので、粉飾の兆候としては「すでに借入金が多額」ということが、よくある傾向になってきます。その辺りも注意してみてみましょう。
結論:現金が足りてない・・・
拝見した決算書は、粉飾されたものだと思われます。
ただ、内容を見る限り、「粉飾してこの内容?」と思ってしまうぐらい、良い内容ではありません。実態はもっとヒドかったということでしょうか・・・
過去三期とも、資産超過で黒字ではあるものの、現金絡みの経営指標はことごとく悪いです。
・手元流動性比率は、1.5ヶ月を大きく下回る。
17年:1.1ヶ月
18年:1.0ヶ月
19年:0.8ヶ月
・現金預金対借入比率は、30%を大きく下回る。
17年:10.2%
18年:9.3%
19年:7.3%
仮に粉飾に気付かなったとしても、いくら黒字であっても、現金が少なく、借入金も多く、黒字倒産しかねない状態だということがわかります。
損益計算書と貸借対照表で、詳しく検証。
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