「本場のサッカー」と「鶏の照り焼き」

・「本番」のスタイルとは

「本場のサッカー」は狂気を帯びているそうな。

でも、「本場」のスタイルが必ずしも全ての国で受け入れられるとは限らない。

身近な例だと、寿司は日本が「本場」である。

じゃあ、「本場」じゃない海外の国には寿司がないのかと言われたらそうでもない。

生魚を食べない習慣の国ではカリフォルニアロールとかがある。「本場のスタイル」ではないけど現地の味覚に順応し、のちに逆輸入された立派な寿司である。

・「本場」以外で文化を作ったキッコーマン

日本人に馴染みの深く、世界的に定着した食品のひとつに、「醤油」がある。

実は醤油がはじめて世界に出たのは、江戸時代だった。

そんな醤油が今のように世界的に定着したきっかけを作ったのはキッコーマンのアメリカ進出である。

キッコーマンは醤油を売るときに「醤油」を提案するのではなく、「今晩の夕食に鶏の照り焼きはいかがですか?」と提案したそうな。

本来、アメリカの食生活に存在しなかった「醤油」をゴリ押しするよりも、

「いつもと違うメニューを食卓に並べたい」
「そもそも晩ごはんのネタがない」

という世間の奥様方のニーズに答えることを選んだともいえるだろう。

店頭での実演販売において、現地にある調味料でも作ることができる「照り焼きだれ」を鶏肉に絡めた「テリヤキチキン」をチョイスした。

そもそも照り焼きは主に鰤などの魚料理の味付けだった。

しかし、アメリカでの食文化を考えた結果、魚より鶏肉の方がより現地で受け入れられるという判断で「鶏の照り焼き」というレシピを店頭販売にチョイスした。

この判断は大成功で、代名詞的な日本食のメニューのひとつに「teriyaki」が含まれるようになるとともに、醤油が海外でも定着するようになった。

照り焼きを媒介に「醤油という調味料はこんな味ですよ」と紹介出来たからこそ、双方が世界的に浸透したともいえるのだろう。

・「本場」を推すよりもそこで文化を作る方が効果的

日本から飛び立った「醤油」は「照り焼き」という媒介を経て現地で新たな「食文化」を生んだ。

「本場」の文化が現地でその形を変えることなく受け入れられることができれば理想的だろう。

しかし、それは様々な条件が合致するなどした「レアケース」に過ぎないと思う。

サッカーという競技は世界的なスポーツだからこそ、全ての国にはその国ならではの「文化」がある。

特定の地域や国のスタイルを別の国でも、と推すよりも「その国独自の文化を背景に独自の成長を遂げる」のがもっとも理想的だと言える。

「醤油」はサッカーよりももっと多くの人に好まれるようになった。

その背景には「その国に合った売り方」を選んだ人たちがいた。

サッカーはどうか。

「本場がすべて」なのか。

と、今日TwitterのTL見てて感じたことを勢い任せに書いてみた。

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今度テリヤキチキンつくります。

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