空き家のあれこれ 活用編「民泊」Vol.1
民泊の需要は、2010年代後半に外国人旅行者の増加に伴って大きく伸びました。訪日外国人の急増により、既存のホテルや旅館だけでは宿泊に対応しにくくなったり、民泊仲介サイトが出来た事により手軽にマッチングできるようになり、民泊を利用する方がふえました。
コロナ時期に民泊の需要は減りましたが、コロナも落ち着きインバウンド需要の回復に伴い民泊の需要は増加してきています。2024年7月時点の住宅宿泊事業法に基づく届け出住宅数は、コロナ過前のピークを上回っているそうです。
そこで、空き家の活用の一つとして「民泊」に焦点をあてていきます!
民泊ってなんぞ?
一般の民家に泊まることを指します。
旅先で宿がなく困っていた所、地元の人に「おらんちに泊まってけ~」と言われ無料で泊めてもらう事も民泊です。今はネット環境が整っているので、あらかじめ宿泊場所を予約し旅行する方が大半なので、こんな経験をする方は少ないとおもいますが昔は多かったと思います。
現在で知られる「民泊」という言葉は観光客に個人宅を宿泊用に提供するビジネスモデルの一つとして認知されていると思います。ネット環境が整いマッチングサービスもできた事により、借りたい人に自分の持っている使っていない部屋や空き家を、提供する事が容易になりました。
民泊という名のビジネス
ただ、この「個人宅を宿泊用に提供する」というビジネスモデルに対して、従来の旅館業法で規制してしまうと、ほとんどが要件を満たす事ができず結果として無許可の違法民泊が増加する問題が発生しました。
そこで、従来の旅館業法の改正と並行して、新しいビジネスモデルとしての「民泊」に対しての法律を制定する流れになりました。
住宅宿泊事業法(民泊新法)
2018年に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されました。定義される民泊は、旅館業法の対象外の宿泊施設とされています。
旅館業法の対象外の宿泊施設として「新法の民泊」「旅館業法の民泊」「民泊条例の特区民泊」といった3種類の新法に関する民泊ができることになりました。
新法に沿った3種類の民泊
・新法の民泊
新法民泊は、人の居住の用に供されていると認められる家屋において、旅館業法上に規定する営業者以外の者が人を宿泊させる事業と定義されます。
新法民泊では一般の住宅を対象としていて、設備基準は低く営業するのも難しくないですが、運営日数は年間180日以下と制限されています。
初期費用やコストを抑えられるというのが特徴です。
・旅館業法の民泊(簡易宿所)
簡易宿所は、宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とするものとなり、山小屋やゲストハウスのような民宿です。
簡易宿所としての民泊は一年間365日の運営が可能ですが、建築や消防に関する厳格な基準が要求され、住居専用地域での運営は認められていません。
初期費用や固定費が高いですが、収益性は高くなります。
・民泊条例の特区民泊
国から国家戦略特区と指定された自治体で、さらに民泊条例という条例を制定している自治体の中で営業が出来るタイプの民泊。
滞在日数は最低2泊3日以上と規定されています。対応言語として日本語以外の一外国語が必要となります。
民泊の比較
「空き家のあれこれ活用編」では、空き家を民泊に活用するという視点から、民泊条例の特区民泊に関しては地域が限定されてしまうので掘り下げず、どこの地域でも検討できる「旅館業法による民泊」、「民泊新法による民泊」だけに焦点をあてて紹介していきます。
比較表を書いてみましたが、これだけだとわかりにくいと思います。今回は、3種類の営業形態があるというだけ覚えておいてください。次回から比較表を元に「旅館業法の民泊」、「民泊新法による民泊」を個別に紹介していこうと思います。
なるべくわかりやすく書きたいので時間を頂きますが、次回「空き家のあれこれ活用編Vol.2 民泊新法による民泊」をお待ちくださいませ。
あとがき
以前、「空き家が負動産になる前に」という記事で空き家の活用方法をいくつか書いてみました。もし、空き家を所有し放置気味になっているのだとしたら軽く読んでみてください。
糸魚川市内で空き家をお持ちでしたら、是非ご相談くださいませ。