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移住のあれこれVol.10「空き家購入&かかる費用」

これまでの「移住のあれこれ」シリーズで、2段階移住や2拠点居住の事を書いてきました。地域の事を知り、住みたい場所が見つかったら定住するために居住する家を探し始めると思います。
 そこで今回は空き家を購入した際に、どれくらいの費用がかかってくるか書いていきます。知っているだけでも、今後の移住計画の助けになると思いますので、読んでいただければ幸いです。


空き家購入でかかってくる費用

1.物件の購入費

まず、必ずかかってくる費用です。不動産サイトや空き家バンクを見ていると書いてある売買価格が表示されているものです。
ここから先は、例として空き家バンクで200万円(土地・建物)の物件を購入した前提で書いていきます。通常の売主が不動産業者に仲介を頼んでいる取引は消費税はかからないので表示金額のままの値段です。
ただ、不動産事業者が所有している物件に関しては建物に消費税がかかってくるので税抜きか、税込みかはチェックしておきましょう。

掛かってくる費用
・物件購入費 200万円(税込)


2.不動産会社の仲介手数料

仲介手数料は売り手側、買い手側の双方にかかってきます。
通常、仲介手数料は宅地建物取引業法で定められているので、定められた割合から多く取られることはありません。
売買代金が200万以下:売買代金×5%
売買代金が200万を超えて400万以下:売買代金×4%+2万円
売買代金が400万を超えた場合:売買代金×3%+6万円
出した金額に消費税10%を加えたものが仲介手数料になります。

物件購入費が200万円であれば、
200万×5%=10万円
これに消費税10%加えた、11万円が手数料となります。
物件購入費が800万円であれば、
800万円×3%+6万円=30万円
これに消費税10%を加えた、33万円が手数料になります。

通常は上記の手数料が発生するのですが、800万以下の低廉な価格帯の空き家に関しては手数料が高くなる可能性があります。

 日本全国で空き家が増えている問題を、皆さん聞いたことがあると思います。不動産業者の手数料の割合は上記で書いた通り、宅建業法で定められています。しかし、増えてくる低廉な価格の空き家物件に対し、売買を断る業者が多くなりました。何故なら1000万円の市場価値の物件であれば39.6万円の手数料が発生しますが、100万円の市場価値の物件は5万円しか手数料が発生しないからです。取引に関わってくる仕事量は変わらないのに、古くて市場価値が低い物件は更に手間がかかる事が多く、仕事量に対し手数料が割に合わないのが原因です。
 そこで2018年に400万円以下の売買取引に対し特例が導入されました。この特例によって、売買価格が400万円以下の場合、不動産業者は売り主からは仲介手数料と当該現地調査等に要する費用を含めて最大18万円(税抜)を受け取れることになりました。例えば100万円の物件であれば、売主側18万円(税抜)、買主側5万円(税抜)が手数料として受領できるようになりました。

 しかし、これだけでは空き家問題に対応できず2024年7月から新しい法改正が施行されました。上記の特例の対象範囲が拡大され、800万以下の売買取引にも適用される事になります。上限が30万円(税抜)に引き上げられて、今まで売主に対し受領可能だった手数料が買主からも受領できるようになったので、引き受けてくれる業者が増え、取引が活発になることが期待されています。極端な例ですが100万円の物件でも、売主側30万円(税抜)、買主側30万円(税抜)が手数料として受領できるようになりました。

 仲介にはいる業者にもよると思いますが買手側からも手数料が受領できるようになったので、安い空き家を購入した際に想定より手数料の割合が高くなると考えておいた方が良いと思います!その分、安くて良い空き家が市場にでてくるようになると考えましょう。

掛かってくる費用
・物件購入費 200万円
・仲介手数料 10万円~30万円(税抜)


3.修繕・リフォーム代

 安く購入できる空き家は、設備も古くなっている場合が多いです。その分、家屋の値段が0円で土地のみの価格であったり、それ以下で売買に出ることが多いです。なのである程度は、修繕の必要がでてくると想定しておきいて、大体のコストをイメージしておく事が大事です。
 生活の基本である水回りさえ綺麗であれば、大体問題ないのでキッチン、風呂、トイレの新調分のコストを計上しておきます。

掛かってくる費用
・物件購入費 200万円
・仲介手数料 10万円~30万円(税抜)
・修繕・リフォーム代 100万~200万円(税抜)


4.固定資産税等清算金

固定資産税は、1月1日時点で不動産を所有している人に一年分かかってきます。空き家の所有者から物件を購入する場合、代金精算時に固定資産税を日割りで清算するのが一般的になります。
例えば7月1日に所有権が移転した場合、12月31日までの半年分の固定資産税を買主が売主に支払う事になります。

固定資産税の算出は土地・建物の評価額の1.4%がかかり、都市計画区域内に物件があるならば都市計画税が最大0.3%かかってきます。都市計画税に関しては自治体によって変わってきますので確認されてみてください。

空き家の購入の際、買値が200万だとしても評価額が400万円であれば、400万円の額で固定資産税は計算されます。買値が安かったとしても、評価額が実際は高かった場合は毎年かかる固定資産税は高くなるので、購入の際に毎年かかってくる固定資産税の確認もしておいたほうがよいです。

例として、買値と評価額が同等の場合と、乖離がある場合を書いてみます。注意としては固定資産税の算出は、家屋がたっている土地であれば200㎡まで評価額の3分の1で計算される減免処置がありますが、都市計画税は減免していない土地の評価額で計算されます。ここでは同額で計算しますが、実際数値は違うので気を付けてください。

・買値200万円 課税標準額200万円の場合 
固定資産税 200万円×1.4%=28,000円
都市計画税 200万円×0.3%=6,000円
28,000円+6,000円=34,000円
評価額も5年に一回変わってくるので常に一定ではありませんが、毎年かかる費用として考えておきましょう。

・買値200万円 課税標準額1,000万円の場合
固定資産税 1,000万円×1.4%=140,000円
都市計画税 1,000万円×0.3%=30,000円
140,000円+30,000円=170,000円
同じ価格で買ったとしても、評価額で毎年かかる税金がだいぶ変わってきます。市場価格と評価額は必ずしも比例しているわけではないので、空き家を購入する際に覚えておくとよいと思います。

この一年にかかってくる固定資産税を、物件を購入した際に日割りで支払うお金が固定資産税等清算金になります。
例として、評価額200万円の物件を7月1日に購入した額で計算していきます。年間34,000円かかる固定資産税を、残り六か月分の生産となるので半分で割って17,000円が支払う額となります。

掛かってくる費用
・物件購入費 200万円
・仲介手数料 10万円~30万円(税抜)
・修繕・リフォーム代 100万~200万円(税抜)
・固定資産税等清算金 17,000円


5.印紙税

売主と取り交わす「売買契約書」に貼る印紙代となります。
印紙税は、商業取引に関連する文書に対して課される税金です。
不動産売買契約書、工事請負契約書、領収書などにかかります。
各書類の記載金額によって印紙税が変わってきます。
200万円の物件を購入し作成した売買契約書には印紙税がげんざいであれば1,000円かかります。
200万円の工事請負契約書であれば200円かかります。

掛かってくる費用
・物件購入費 200万円
・仲介手数料 10万円~30万円(税抜)
・修繕・リフォーム代 100万~200万円(税抜)
・固定資産税等清算金 17,000円
・印紙税(売買契約書+工事請負契約書)1,200円


6.不動産取得税

不動産を取得した際に発生する地方税となります。取得とは売買・交換・贈与・建築(新築・増築・改築)などにより不動産の所有権を取得する事をいい、登記の有無、有償、無償の別などを問いません。
不動産取得税も固定資産税と同等に、課税評価額を元に計算されます。計算方法としては課税評価額に税率をかけたものになります。税率は土地3%・家屋(住宅)3%・家屋(住宅以外)4%となります。固定資産税の例で使用した課税評価額で計算してみます。

・買値200万円 課税標準額200万円の場合 
200万円×3%=60,000円
・買値200万円 課税標準額1,000万円の場合
1,000万円×3%=300,000円
上記の額を納める必要があります。

購入してから3か月から6か月後位に納付書が送られてくるので、予算として計算しておきましょう。

掛かってくる費用
・物件購入費 200万円
・仲介手数料 10万円~30万円(税抜)
・修繕・リフォーム代 100万~200万円(税抜)
・固定資産税等清算金 17,000円
・印紙税(売買契約書+工事請負契約書)1,200円
・不動産取得税 60,000円


7.登録免許税

不動産を取得すると、不動産が自分の所有物であることを登記簿という公の帳簿に記録する必要があります。この登記にかかる国税が登録免許税です。
登記の種類によって税率が変わってきますが、空き家の売買の場合の所有権移転登記は土地・建物ともに2%となります。

・買値200万円 課税標準額200万円の場合 
200万円×2%=40,000円
・買値200万円 課税標準額1,000万円の場合
1,000万円×2%=200,000円
上記の額を登記の際に支払う必要があります。

不動産の登記は個人でもできますが、司法書士や土地家屋調査士などの資格者代理人に依頼するのが一般的です。

掛かってくる費用
・物件購入費 200万円
・仲介手数料 10万円~30万円(税抜)
・修繕・リフォーム代 100万~200万円(税抜)
・固定資産税等清算金 17,000円
・印紙税(売買契約書+工事請負契約書)1,200円
・不動産取得税 60,000円
・登録免許税 40,000円


8.移転登記依頼費用

上記の登録免許税の項目にも少しかきましたが、売主買主の当事者同士で移転登記の申請をだすこともできます。条件が簡単であれば、コストを抑えられるので良いかもしれませんが、基本的には司法書士の方に依頼するのが一般的です。

 司法書士とは、裁判所や法務局へ提出する書類の作成や審査請求を専門的に行う職種です。法律関係の専門知識を必要とする仕事を代行し、関係者の権利が満たされるよう、登記申請をおこなってくれます。法的な相談も乗ってもらえるのでお勧めです。

依頼料は登記の種類や不動産の購入価格、地域により異なるみないですが、空き家を購入した際に依頼する、所有権移転登記の依頼費用の相場は3万円~9万円だそうです。 

掛かってくる費用
・物件購入費 2,000,000円
・仲介手数料 100,000~300,000円(税抜)
・修繕・リフォーム代 1,000,000~2,000,000円(税抜)
・固定資産税等清算金 17,000円
・印紙税(売買契約書+工事請負契約書)1,200円
・不動産取得税 60,000円
・登録免許税 40,000円
・所有権移転登記の依頼費用 30,000~90,000円


結果発表~!!

空き家の購入代金200万円から、どんどん値段が加算されていきました。
とりあえず、書いてきた費用を足してみます。

最小値
・物件購入費 2,000,000円
・仲介手数料 100,000円+消費税10,000円
・修繕・リフォーム代 1,000,000円+消費税100,000円
・固定資産税等清算金 17,000円
・印紙税(売買契約書+工事請負契約書)1,200円
・不動産取得税 60,000円
・登録免許税 40,000円
・所有権移転登記の依頼費用 30,000円+消費税3,000円

物件購入費以外にかかる費用は、1,361,000円(税込)
物件購入費を含めた総額は、3,361,000円(税込)となります。

最大値
掛かってくる費用
・物件購入費 2,000,000円
・仲介手数料 300,000円+消費税30,000円
・修繕・リフォーム代 2,000,000円+消費税200,000円
・固定資産税等清算金 17,000円
・印紙税(売買契約書+工事請負契約書)1,200円
・不動産取得税 60,000円
・登録免許税 40,000円
・所有権移転登記の依頼費用 90,000円+消費税9,000円

物件購入費以外にかかる費用は、2,747,000円(税込)
物件購入費を含めた総額は、4,747,200円(税込)となりました。

リフォームに関しては、人それぞれになってくるのでリフォーム代は考えない金額を出してみると、最小216,100円~最大547,000円となりました。

あくまで参考で出した数値ですが、大事なのは安い費用で見つけた空き家でも、想像以上に出費がかかる可能性があると考えておいてください。


あとがき

長々と書いてきましたが、読んでくれてありがとうございます。

空き家の購入にあたり、不動産事業者の手数料の緩和、課税評価額の違いによって、かかってくる費用が大分変わると感じてくれたと思います。

注意点としては、仲介手数料に関しては、しっかりとお話を聞いて納得してから契約してください。緩和によって30万円まで手数料を受領できるようになっただけですので、買手側が同意しないと請求できません。単純に請求できるようになったから、最大値に設定している業者さんも多いかもしれません。10万円の物件を買おうとしたら「30万円手数料がかかります」と言われたら、買手としたらなんとなく納得できないですよね?800万以下の物件は全て手数料が30万円に固定された訳ではないので、しっかりとお話を聞いて納得したうえで購入を検討してくださいね。

安い物件を見つけたとしても、それ以外にもかかる費用があるのを忘れずに良い空き家を見つけてください!