年報2024 その1
色々まとめようと思ったら、今年知った音楽作品(新譜・旧譜ゴチャ混ぜ)だけでもなかなかな量になったので分割!
【印象に残った音楽】
Do the get along / Holly Golightly
今年の頭から20年ぶりくらいにガレージ聴こうって機運になり、色々聞いてたら元Delmonas、Thee Headcoateesのホリー・ゴーライトリーがソロになりちょくちょく作品を出していたことを知る。こちらは2018年リリースだが、90年代のガレージバンドの残党がいまだにゴリゴリなのに対し、気だるいR&Bだったりダブを感じさせたりと1人だけ進化しているように感じた。これくらいリスナー信じて変化してくれる人がもっといて良いと思う。
KENNY DOPE & THE UNDERCOVER BROTHER PRESENT DOPEBROTHER STUDIO A / VA
ケニー・ドープが集めたレアグルーヴ7インチをリミックスしたコンピ。この辺の90年代後半から2010年くらいまで出たコンピCDがどのレコ屋でも投げ売りされてるので買ってグッときたバンドとかシンガー調べるようにしてます。これは単純に踊れる。俺が女で宅飲みしに行った男の家でこれ流れてたらちょっと男のこと好きになる。
whip it on 'em / VA
ガレージブームの一環で「ソウルやR&B色の強いガレージ聴きてえ」となり色々調べたらこちらのコンピにブチ当たった。ガレージバンドに影響を与えたソウルやR&Bのコンピで、マジでチンピラ度数高い音源ばっかり。音のハードリカーや。デトロイトのバンド「the Detroit Cobras」好きな人はB面聴くと元ネタ2連発なのでニンマリ間違いねえっす。
らんど / Zazne Boys
超展開や複雑さは減ったかもしれないが、ボーカルとギターとギターとベースとドラムが丁寧に会話を繰り返しながら積み上げていくようなバンドアンサンブル。やっぱり誰にも似ていない。
Last night when we were young / Cal Tjader
1975年作。カルの代名詞のような熱いラテンジャズ感は一切なく、ローズとベースとドラムとギターがヴィブラフォンに絡んでたまに豪華なストリングスも鳴るのでもう両耳が桃源郷。うっとりの連続。
Something for real / Kiefer
ジャズピアニストではあるが、自己のプレイを抑制してトラックメイクに徹するマカヤ・マグレイヴンタイプのアーティストだと思っていたが、ライブだとこんなにスラスラとアドリブを紡ぐのか!とビルボードで見たライブの素晴らしさも相まって聴くたびにゾワゾワする。
Ethereal essence / Cornelius
シングルのB面で取り組んでいたシンセメインのアンビエント集。同世代で時代を変えた者どうしであるサム・プレコップやジョン・マッケンタイアがほぼ同じタイミングでシンセによるアンビエントに取り組んでいるのを見るにこの手の音楽は2025〜26年くらいがピークになるのかなぁとぼんやり思わせる。
30周年ライブに行った際に会場に隣接するららぽーとで本作収録の『サウナ好きすぎ、より深く』のインストミックスが流れていたが、音楽が主役ではないが確実にその場の色を変えているアンビエントとしての機能の真髄を見た気がした。
Painting with John / John Lurie
ラウンジ・リザーズのサックス、ジョン・ルーリーが自身の出演する番組の劇伴なのかな?どことなくアフロビートだし、どことなくアンビエントだし、どことなくオリエンタルだし、シネマティック・ソウルにも聞こえるただただ最高なアルバム。何かしながら流しっぱなしでも、集中して踊りまくるも良し!絶賛アナログ買い逃してる!!!!
ST / The Messthetics and James Brandon Lewis
spotifyのリリース・リーダーでチェックしてたら『FUGAZIみてーなフュージョンバンドだなー』って思ったらそれもそのはず。FUGAZIのドラムのブレンダンとベースのジョーがアンソニー・ピログというギタリストと組んだトリオがThe Messtheticsってバンドで、そこにサックス奏者のジェームス・ブランドンがジョイントした作品。FUGAZIのファンク感とダブ感とパンク感がしっかりありつつフリージャズだしフュージョンだし説明のしようのない変なバンド。周りのハードコアなお友達にもこういう方向バンバン行ってほしいって思わせる道標的なアルバムになりそう。
EXTRA / トリプルファイヤー
数年前にthe Hatchのパーティーで深夜の渋谷で見たライブがとにかくカッコよかった。その頃のライブの印象から更に変になった。肉抜きしすぎて今にも壊れそうな骨々しいボディ&シャーシなのに飄々と駆け抜けるミニ四駆よろしく。アフロビートを肉抜きした、バンドアンサンブルに元々のニューウェイブ感とあの歌詞とあの声が加わるので最高に決まっている。
Sextant / Herbie Hancock
サブスクを利用してハービーの聴いてないアルバムを聴きまくろう!の一環でまんまとハマった一枚。家電大好き芸人ハービー(詳細はマイルスの自伝をお読みいただきたい)が手に入れたシンセをこれみよがしに使ってアフリカ回帰な音楽を行うというアフロフューチャリズム的な作品。クレジットに各メンバーが使用した楽器やエフェクターを細かく記載されているがドラムだけは『Drum set』で終わるあたり、家電オタクとしての本懐を見せつけられた。
Blue Juice vol.1 / VA
これまた90年代に出てたコンピCD(500円!)だが、ブルーノートがなぜか自社の音源をほぼ使わずにレアグルーヴを通り越した珍曲だらけをコンパイルしたサンプルソース集。ライムスターの超名曲『B-Boy イズム』のに元ネタ、Dick Hymanによる『Give it up or turn it loose』が聴けるだけでも買った甲斐アリ!
Cutouts / The smile
別にRadioheadの新作でも良かったのでは…って意見は無しだ。『zero sum』って曲聞いた時は「このギターっぽい音はどうやってエディットしたんだろ?さすがにシーケンスだろ」って思ってライブ映像見たらジョニー・グリーンウッドが『(ちゃんと弾けるか)ビビってる』とか言いながらフツーに弾いてた。マジで引いた。ライブ見たい。
Come Ahead / Primal Scream
『プライマルの新譜がアシッドジャズ!』といった内容の記事を見た。どんな感じかねー程度でチェックしたらストリングスが煌びやかに鳴るわカッティングギターがビシバシだわホーンも出てくるわでマジで90年代のアシッドジャズなのだが、ボビー・ギレスピーの気怠さ溢れる声が聞こえたらプライマルスクリーム以外の何者でもない。かつ、単なるアシッドジャズではなく曲によっては昨今のハウスのブリブリしつつも哀愁ある感じもするし、プライマルが昔っから持ってるサイケデリックなフィーリングもバッチリ入ってる。90年代に活躍してた先述のレディオヘッドのメンバーだったりポール・ウェラーの新譜も良かったりとベテランUK勢のタフさが垣間見えた年だったかも。
African Rhythms / oneness of JUJU
今年買ったディスクガイド『インディペンデント・ブラック・ジャズ・オブ・アメリカ』って本に載ってたJUJUというサックス奏者のフリージャズ作品が大変ツボで、その後に始めたファンクとソウルを取り入れたバンドがこちら。タイトル通りポリってるし、ソウルフルだし、もともとやってたフリージャズの無茶っぷりも詰まってる。1-4曲目まで完璧な繋ぎすぎてDJ MIXとか90年代のポストロックの作品聞いてるかと思った。DCPRGとかsons of kemetが好きな人は聴くと次の日は大吉だね!
The way out of easy / Jeff Parker ETA IVtet
敬愛するジェフ・パーカーの新バンドのライブ盤。ここ数年のジェフの特徴であるアンビエント感がバンドでも活きている。そしてどこまでがインプロでどこまでが作曲されてるのか曖昧な中絡み合ってまとめ上げるバンドの力量がエグすぎる。一曲平均20分。音にどっぷりとまどろみ。
以上、異常!
次回は映画とかライブとかラジオとかカレー!