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きらの体験記:未成年女性の家出 大学も続けたい

家出を決行したのは、春休みでした。なので、日中は単発のアルバイトをして、夜は友達の家で寝泊りをしました。その間に、まず市役所の生活課に連絡しました。しかし、未成年であることと大学生であることを理由に出来る支援はないと断られました。

筆者のプロフィール

①ハンドルネーム:きら
②家出時の年齢:19
③現在の年齢:21
④現在の職業、立場:大学生

1 家出時の家庭状況

 家出当時、NPO法人が運営する女性保護施設に入居をしていました。スタッフの方から毎日暴言や嫌がらせを受け、耐えきれなくなった為家出をしました。

 この保護施設に入居をしていた理由は、高校生までに親から受けた虐待が原因で、大学進学と同時に家を出たのですが、生活費や家賃の支払いが滞り日常生活が送れなくなったからです。その為、SNSで悩み相談を受け付けていた保護団体に相談をし入居しました。

2. 決心した後にした準備を主要なもの


・ポータブル充電器
・洗い流さないシャンプー
・ウエットティッシュです。

3. 家出の最初に必要なお金をどうやって工面したか


 工場の単発アルバイトをして工面しました。8000円です。

4. 実行時の持ち物はなんでしたか。


・リュック
・100均のトートバック
・2日分の着替え
・充電器
・所持金数千円
・大学の教科書
・筆記用具
・メイク道具
・カロリーメイト
・イヤホン
・眼鏡
・常備薬

→リュックの大きさについて

 通学で使っていたリュックです。教科書を入れると満タンになるので、着替えなどは100均で売られているトートバックに入れて持ち歩きました。

→着替えは2日分で十分だったか

 足りませんでした。下着や靴下は2日分ではとてもたりず、100均で二つずつ買い足しました。

5. 家出をして、最初の1~2週間で何をしたか

 家出を決行したのは、春休みでした。なので、日中は単発のアルバイトをして、夜は友達の家で寝泊りをしました。その間に、まず市役所の生活課に連絡しました。しかし、未成年であることと大学生であることを理由に出来る支援はないと断られました。

 ちなみに、20歳を過ぎても大学生は生活保護を受給できません。大学に行っていることが「健康で文化的な最低限度の生活」を満たしていると見られているからです。しかし、私は大学にいくことは決して贅沢なことではないと思っています。

 次に、「子供シェルター 〇〇県」で検索をした時に見つけた団体に3件電話をしました。その中で、翌日に会って話をしようと言って下さった所に入居をしました。

 これは、子供シェルターに限った話ではないのですが、保護施設と呼ばれる場所は、基本的に入居時に弁護士や社会福祉士等、施設外の人間が本人と関わりをもちます。

 それは、シェルターの内部を密閉空間にしない為でもあるし、専門的な知識を持った人と本人が関わることによって、使える制度や支援を本人が利用しやすくなるからです。

 そのため、SNSで相談にのって「とりあえず家にくる?」という形をとっている団体には気を付けた方がよいです。

①弁護士や外部の人とも最初に会うことが出来るのか
②本人の承諾なしに親に連絡をとったりしないか
を、メールや文章で残して置いた方がよいです。

 なぜなら、私がシェルターに入居する前にいた保護施設では、団体の代表と、身の回りの世話をするスタッフの2名しかおらず、スタッフ自体も施設を住処としていました。

 そのため、生活の中で代表が気に入らないと思った子は、明確な理由なく退去を促される。勝手に親に連絡をされる。といったことが行われていました。
このような事が、万が一あっても相談できる人がいることはとても重要だと感じたので、どこかに相談するときは気をつけてほしいです。

6. 家出をして、1~2週間が経ち、それ以降に起こった大きなこと

 緊急的に受け入れを行っている子供シェルターの方と連絡を取ることができ、そこに入居できることになりました。その後、シェルターの方と一緒に前に滞在していた保護施設に残っていた荷物を取りにいきました。

 このシェルターに入居していた期間は2カ月間でしたがその間に派遣のアルバイトで貯蓄をしました。退去前に、施設等の退所者が審査を受け、採用されるともらえる緊急一時金を10万円頂きました。そのため、退去時の所持金は25万円ほどです。

 子供シェルターは児童相談所を経由するので、一時保護とほぼ同じ扱いです。加害する側に追われるのを避けるため、シェルターに入居する際には必ず一人ずつ弁護士がつきます。

 中では携帯は使えませんし、一人で外出はできません。しかし、既に大学生であったことと、一人暮らしを希望していた事情をシェルター側に汲んでいただき、時間を決め、仕事が終わったらシェルターの方に迎えに来てもらっていました。

 一人暮らしの家を決める時や、住所変更の時等は、シェルターと繋がりのあるアフターケア相談所(シェルターを退去した後も相談できる機関)の方に同行してもらいました。

 大学2年生に進級するタイミングで一人暮らしを始めたので、精神的にはきつかったです。

 シェルターの利用料は無料で、15歳から20歳までの子たちが3.4人暮らしていました。ただ、あくまで仮の住まいなので、入れ替わりは激しかったです。
みんな、様々な事情で緊急的に避難してくるので、精神的に不安定で夜中に泣き叫んでしまったり、今まで甘えることができなかった反動でスタッフの方に手をあげる子も珍しくありませんでした。

 しかし、そういう時にスタッフの方々は怒鳴ったり正論を押し付けたりするのではなく、一晩中付き添って話を聞いていたり、時には抱きしめてあげたりしていました。

 私もアルバイトがない日には、一緒にお菓子を作ったりボードゲームで遊んだりしました。今まで味わったことがない程すごく暖かい空間でした。

7. 家出のメリットは何か

 苦しい環境から逃れられることです。後先考えずに逃げることが必ずしも良いこととは限りませんが、自分の命を守るには必要なことだと思います。

8. 家出のデメリットは何か

 常に不安を感じることです。金銭面、アルバイト、大学にプラス今日寝る場所、食べるものにまで気を張っていて疲れました。

 私の場合は、意地でも大学を辞めないという、自分に対するプレッシャーも大きく感じました。

9. その他、家出に際して知っておくべきこと

 とにかく相談できる人を多く持つことです。

 大学生であっても、未成年であれば子供シェルターや自立援助ホームに入居することができます。自立援助ホームは大学を卒業する22歳まで入居することができ、家賃、光熱費等含めて固定費は約3万円ほどです。

 成人してからは、アフターケア事業所という相談所が全国にあります。主に、児童養護施設や里親家庭などの施設出身者のケアを行う取り組みですが、事業所によっては、社会的養護外(家族からの虐待など苦しい状況にあったが、児相の措置の対象にならなかった人)が相談できる団体もあります。

 こうした、支援が受けられる場所や人を事前にチェックしておくことが大切です。

 役所に手続きにいくときも、支援者の方に同行して頂くとスムーズに進むことが多いです。

10. これから家出する人に向けてメッセージ

 まず、今の環境から逃げたい、逃げようと思った自分を褒めてほしいです。その上で、相談出来そうな人や場所を何人かピックアップして下さい。出来れば家出まえに連絡をとっておくと良いと思います。

 実際に、次に生活をする場所の決定は、家出を実行してからでも何とかなります。また、仮にその家に戻るとしても、外部の人を挟むことで問題が鮮明になると思います。

 逃げるための知識は、スマホさえ有ればいくらでも手に入ります。ただし、支援しますよと言っている団体を安易に信用するのは危険です。例えば、「家出した人を保護しますよ」といっていながら、その後に生まれる体調不良やフラッシュバック、次の支援に繋げるネットワークがない等、中身が脆弱な団体が存在するのも事実です。

 こればかりは、逃げてみないと分からないことですが、辿り着いた場所が苦しかったらまた逃げれば良いと考えていれば少し楽になると思います。

まさに、逃げるは恥だが役に立つ?です(笑)

11. 行動に踏み切った直接的なきっかけ

 スタッフが部屋に無理やり入ってきて、手を掴まれてあざができたことです。

 障害や病気を差別する様な発言は他の利用者に対しても頻繁に行われていました。しかし、それは他のスタッフがいないときにありました。そのため、「〇〇さんがそんなこと言うはず(するはず)ないでしょ」とあしらわれていたこともありました。それも原因の一つです。

12. 行動中、行動の前後で罪悪感に駆られたこと

 行動前は、私の何がいけないのかと自問自答し、答えが出ずに罪悪感を感じたことはあります。ですが、家出をしてからは、次の生活の場を見つけることに必死で、その施設のことを考えることはあまりなくなりました。

家出マニュアルは募金で運営をしています。 5,000円の寄付につき1人の募集を行います。