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榕庵さんの体験記:高校で「家出」→大学進学

執筆者の紹介

ハンドルネーム:榕庵
家出したときの年齢:17歳 高校生
現在の年齢:21歳
現在:大学生

1. 家出時の家庭の状況

自らの家庭に、心理的虐待、身体的虐待、不倫、依存症、差別などが恒常的に存在していることを自覚したのが16歳の高校2年生のときでした。

それは命を脅かすような状況で、私が100人に相談すると100人が異常と言うような状況でした。

2. 決心した後に準備したもの

・暴言、虐待などの証拠

・理解者の説得

多くの理解者(塾の先生から学年主任、児童相談所、バイト先)に決意を話しました。一時的な避難所として受け入れてくれた方々もいました。

・いままでされてきたことの証言

 暴言の書き起こしと家族構成員の性格を3万字にわたって書き起こしました。実際に逆境に立たされていた時(幼稚園、小学生…)にどう感じたか。今そのことについてどう思ったか、そのことが自分が生きていくうえでどのような障壁となっているか(恋愛恐怖や人間不信、抑うつなど)を赤裸々につづりました。

3.家出の最初に必要なお金をどうやって工面したか

今思えば浅はかで、ある意味恵まれていたからこそできたことだと思います。

 まず、すべてのすべての証拠を備えました。そのうえで、自分が今後どう生きていくか、一人暮らしをどう成り立たせるか、予算はいくらかを2.で示したものの用意と同時に練り上げました。

 そして、公民館の会議室で、学年主任、クラス担任、児童相談所の担当者、班長、祖父母(母方の)、両親がいる前で家計から賄ってもらうように頼みました。「決死の覚悟」すなわち、説得に失敗したら人生がないというつもりで説得しました。

 とても悔しかったです。そして、屈辱的でした。しかし、「生きる」ことを選んだ自分にできることはそれだけでした。

4. 家出をして最初の1.2週間

 新しい物件は親友の両親が不動産を経営していたので、そちらで紹介していただくことになりました。その物件で住めることが確定するまでの間、居候させていただくことになりました。
 半月ほど居候をさせていただいたあと、実際に1人暮らしが始まりました。

 調味料を買い、部屋を片付けつつ、学校に通い、友人たちに激動の春休みに起きたことを説明し、夢(医学科に受かること、勉強をたくさんすること)をかなえるためにどう一人暮らしをしていくかを練りました。

5. 実行時の持ち物

 居候が始まるまで、親から殴られたり、家庭内いじめが発生すると1時的に離れた高校の友人宅へ逃げていました。持ち物は、財布 制服 携帯 モバイルバッテリー 定期 大切なもの(友人からもらった手紙など)でした。
 父親に引っ張られ鞄を取られ、靴もぬげたままはだしで家出をしたこともありました。最悪何もなくても大丈夫です。

6. 家出をして1.2週間がたち、それ以降に起こった大きなこと

 毎晩のように酔った母から暴言と脅迫の電話がかかってきた。生きている実感がわいた。
 幼少期から言いなり、親の思うままに「生かされていた」自分が初めて人から選択を「承認」してもらい自分の人生を自分で操作した実感がわきました。
 それにともなってご飯がおいしかったです。ますます自分が「生き残るべき」理由を感じました。物理的な距離をとったことで、いろいろ考えてみて本当に我が家が「狂気」に染まっていたことを実感しました。

7. 家出のメリット

 何より身体が守られます。次にご飯が食べられます。つぎに夜中に起こされることはありません。

 家庭内にいると「やっぱり自分がおかしいのではないか」という疑念にかられることがありますが、その思い込みを解くことができます(かんたんではありませんが)。

 操作されていた自分が「1人」で生活していかなければならないので、「責任」を負うことにはなりますが、自らの人生を「自ら」歩む練習になります。

8. 家出のデメリット(12.罪悪感について とも関連があります)

 罪悪感に駆られる。

 閉鎖的な「家族」というコミュニティに対する反逆行為だととらえることもできたため、仲良かった時のことなどを思い出したまにしんどくなりました(これは関係が落ち着いた現在をあります)。
 ほかの「幸せ」、「普通な」家庭との差をまざまざと感じます。塾に行ける友人、家族旅行にいく友人、部活を打ち込む友人、すべてがまぶしくなりました。

9. 家出に際して知っておくべきこと

・論理的に説得する能力は身に着けておくべきです。
・児童相談所は18歳になると使えません。
・身の危険を感じて家出をした場合、家出をして非難した友人宅の両親などは誘拐罪に問われることはないとのことです。(児童相談所の人に聞きました。)

10.これから家出する人にむけてメッセージ

 しんどい思いをされてきたと思います。葛藤、憎しみ、親しさ、感謝、憎悪いろいろな感情に揺さぶられ煩悶したこともあると思います。インターネットで調べると。

 高校生で家出なんてふざけるな、だの、まず親に感謝しといった、あなたが望む答えとは違う説教がたくさんでできたことと思います。

 私たちは少数派です。少数派の嘆きは「慣習」の前では無力なことが多いです。

 しかし、あなたが感じた苦しみや屈辱は本物です。あなたは逃げるという選択をしました。それは「動物」の基本的な行動です。正常です。
 もしあなたが未成年であるとすれば、なおさら甘えなどではありません。生きる権利があります。高校に通う権利があります。笑う権利があります。あなたはこれらの権利を行使するにすぎません。

 わたしのときは高校生家出の成功者なんていませんでした。本当に知りませんでした。しかし、いま、このマニュアルを執筆している仲間たちは、「前例」です、どこかで生きています。このことがあなたの「自信」につながれば幸いです。

 無事を祈っています。


家出マニュアル作成委員より

 この方は、家出マニュアルを作る直接のきっかけとなった方です。厳密には「大学生の家出」とは言えません。それを踏まえた上で、この原稿を書いていただくことにしました。


家出マニュアルは募金で運営をしています。 5,000円の寄付につき1人の募集を行います。