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ヤングケアラー -周囲から孤立、学業や進路選択に悪影響も-

家族の介護・世話・感情面のケアを迫られる子どもたち

僕は2018年、きょうだい児カフェというのを考えて、友達と作りました。

その過程で、とても大きな問題なはずなのに、なぜか問題視されていない問題があることに気が付いてしまいました。その問題とは「ヤングケアラー」の問題です。

ヤングケアラーとは「家族にケアを必要とする人がいるために、家事や家族の世話などを行っている18歳未満の子どものことである。」とされています。(中公新書 澁谷智子『ヤングケアラー −介護を担う子ども・若者の現実』より)

もちろん、家族の世話をすることが悪いことであるとは言えないでしょう。障害があるきょうだいのために、世話を焼くお兄ちゃん、お姉ちゃん、妹、弟を決して否定はできないと思います。そのこと自体は良いことだと思います。

しかし、現実には家族の介護・世話によって、ヤングケアラー自身の学業や生活そのものに悪い影響が出ている現実があるのです。これはあってはならないことでしょう。

前述の澁谷智子『ヤングケアラー −介護を担う子ども・若者の現実』より、特に印象的だった文を取り上げようと思います。

●その子どもがケアをしていることにどのようにして気づいたか

(中略)圧倒的に多かったのは「子ども本人の話」だった(表2-7)。
 たとえば「 「今日のごはんは何にしようかなぁ~」と話していたので、「毎日夕食の支度をしているの?」と訊いたら「はい」という会話になった。」、「下の子のお世話をしないといけないから学校を休みがちになっていることを本人が話していた」というように、日常の会話や雑談のなかで児童や生徒がなにげなく自分から話した場合が多かった。

憲法第26条第1項に定められた「教育を受ける権利」を侵された子どもたちが現実に存在しているということです。

母親の感情面のケア 親元を離れても。

きょうだい児と障害のある子の関係で「ヤングケアラー」という問題を語っている人は多いだろうし、想像が付きやすいだろうと思います。しかし、今回は「母親とヤングケアラーの関係」について書いておきたいです。

またしても前述の澁谷先生の本を参考にします。本によると、ヤングケアラーに対する、国内での調査は神奈川県藤沢市と新潟県南魚沼市で行われたとあります。その調査の中に「子どもがケアをしている相手」という項目がありました。

ヤングケアラーたちは誰に対してケアをしているのでしょうか、高齢の祖母祖父母でしょうか。

藤沢市の調査では、対象回答数508の内、「きょうだい」へのケアと答えたのが239(47%)トップだとあります。次に、「母」が212(41%)です。

「きょうだい」と「母」に対するケアだけで、88%を占めています。しかし、注目すべきは、やはり「母」に対するケアが41%を占めることではないでしょうか?

母親に対するケアが多いというのは、言われてみればそうかというところですが、少し意外です。

調査の中には「子どもがしているケアの内容」という項目もありました。「家事」や「きょうだいの世話」が対象回答数508に対して、それぞれ278、268と突出しているのが分かります。

しかし、ここで私が注目したのは「感情面のサポート」という項目です。感情面のサポートとは、「ケアの受け手の精神状態を見守って言うことに対応すること、落ち込んでいる時に元気づけることなど」とされています。対象回答数508の内67(13%)とあります。

家事やきょうだいの世話であれば、実家から離れて一人暮らしをすれば大半はなくなるでしょう。しかし、親元を離れても感情面のサポートは、ヤングケアラーたちには残るようです。

例えば、母親が周りに障害のある息子(娘)のことで相談できず(往々にして父親との関係が悪いということがあるようです)、大学に入って一人暮らしをする娘に電話をかけて悩みを相談するが、それが娘にとっては重い負担になっているなどということもあるのかもしれません。

決して、ヤングケアラーという問題は子供のころだけの問題ではないということです。

親の責任ではない。社会に責任がある。

今回、僕が言いたいことは「ヤングケアラー」という問題は親に責任を帰すべき問題ではないということです。

問題は日本社会の中で、こどもたちの人権が軽視されているという事実です。ヤングケアラーたちに対して、なんら有効な策が講じられていない現実がそれを物語っています。

ここで我々、社会に生きる人間がすべきことは、この大きな問題に対して問題意識を強く持ち、そして行動していくことに他なりません。

特に僕の友人たちがこのnoteを読んで行動を起こしてくれることを願います。さらに言えば、教職、社会福祉士を目指す障害(学類名)のみんなには頑張ってほしいところです。

読んでくれてありがとうございます。疲れたので筆をおきます。

最後に

6月10日にきょうだい児カフェをやるんで、お暇な大学生きょうだい児のみなさんは良かったら来てください。つくばなんで遠いかもですが。


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