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小説

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小説を集めたマガジンです。
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#小説

祈りのかたち

一億の渡り鳥が飛び立つ それを撃つ 貧しい鳥打ちは思い出していた かつて家族があり 温かな…

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馬のランチ

母は言った 「死にゆく男が遺すべきものはガムシガレットの噛みかけ、とても小さな土地、顔を…

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花を壊す

おれにはわからないことが100個以上ある それは昨晩寝るまえに数えたからわかるんだ 月が板っ…

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ロングロンググッドバイ

お前がいない日々は耐えられないが おれがいない日々は華やいでいると思ってしまうのは何故だ…

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さよならと鳥は言ったか

おれが死のうと決めたのは先月のことだった 鏡の海を渡り、砂の星を越えてやっとのことで家に…

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落下

ちょっとしたやりとりのズレから娼婦を殺してしまった 死んでしまった彼女の手は白い陶磁の感…

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甲殻類散文

ワタリガニのブルース アジアの片隅でワタリガニを食べる3人の男 水を飲む、詩について語り合う、その目には疲れが見える 「なぁ、あの星のにおいを嗅ぐことができるか?」 「母親の腹の中で嗅いだにおいに近いのかもしれない」 「だったら…」 「やめよう。こんな話は死の気配がする。」 ワタリガニは解剖されてばらばらになる 関節の隙間から身を吸い上げられる 食べられたワタリガニの母親は海水の中、涙をこぼした 「おれは知ってる…」 「おれだって…」 日が落ちて男たちは片付けもせずに帰った

月光

海底を掻き回して青緑色になった海は波と波とがぶつかり壊れこの小さな舟を呑み込もうとしてい…

祈る。おれは祈る。おれの言葉で、おれの神に。

おれは生きていくなかで必要な悪事も不必要な悪事も働いた。 時には蜘蛛の巣を壊さず通り抜け…

棄てられちまった子供たちが暗い穴から這い上がる朝

棄てられちまった子供たちが暗い穴から這い上がる朝。 太陽の光線は針のように肌に刺さる。 大…