元クライアントの公認会計士が「一緒にやろう」とCOOに立候補。パラレルキャリアのCEOはいかに彼を口説いたか?【創業者インタビュー】
「専門情報をボーダーレスに」をミッションに、専門家の情報発信システム「L-MagaZine」の開発・提供を手掛ける株式会社iDOOR(アイドア)。税理士や社会保険労務士、司法書士、弁護士など国家資格保持者を主な顧客とする、IT系スタートアップです。
私たちの想いでは、日々成長を遂げるiDOORの「今」をお届けしていきます。
初回に登場するのは代表取締役CEOの岡田湧真です。なぜ、このサービスを始めるに至ったのか、とことん語っていただきました!
おかだ・ゆうま 1991年生まれ、茨城県出身。大学卒業後にフィリピン・マニラのEC系ベンチャー企業に入社。ECサイト4店舗と当時の楽天シンガポール出店をゼロから手掛ける。帰国後に株式会社アックスコンサルティングに入社。最優秀新人賞を獲得し、チームリーダー、最年少の名古屋支社長を歴任。5年間で延べ140事務所以上のコンサルティングを手掛けた。2021年にiDOORを起業、現在に至る。
コンサルタント時代。クライアントはコア業務に追われ、PRは二の次、三の次...
――起業に至るまでについて聞かせてください。
前職は専門コンサルティング会社で経営コンサルタントをしていました。
経営コンサルタントのクライアントは、税理士や司法書士、社会保険労務士の方々で、彼ら彼女らは一般的に「士業」と呼ばれています。コンサルタントとしての私のミッションは、士業の先生方のビジネス支援でした。
士業の先生は、「顧問先」と呼ばれる企業を数十、大きな事務所であれば数百という単位で抱え、税務、法務、労務などの専門家として顧問先の会社経営に深くかかわっています。
既存の顧問先とのコミュニケーションの活発化や新たな顧問先獲得の営業活動にはPRが重要で、その戦略を提案するのも、私のコンサルタントとしての仕事の一つでした。ですが、士業の先生方は既存顧客に日々依頼される業務に追われ、新規顧客を獲得するためのマーケティングや既存顧客へのカスタマーサクセス施策は二の次、三の次という例が少なくありませんでした。
――それはなぜだったのでしょうか?
大きく2つあります。
一つは、士業の先生方が専門とする税務や法務や各分野の法律やトレンドは、想像以上に変化が大きいからです。先生方もご自身の事務所の一経営者として中長期の施策を考えたくても、それ以上に「顧問先の相談に乗る日々の業務量が多く時間が過ぎてしまう」という悩みをよく伺いました。
もう一つは、どうやって情報発信をしていいかわからない方がいらっしゃるということです。士業の皆さんはそれぞれの専門知識は大いにありますが、WEBマーケティングの経験や広報PRの知識、既存顧客へのコミュニケーション設計などの経験などは多くありません。
――なるほど。素晴らしい士業の先生たちがいる中で、広報・PRをうまくできていない現状への問題意識を持ち始めていたのですね。その問題意識がiDOORの起業へとつながるまではどのようなことがありましたか?
私自身の複業での経験が、問題意識を「現状を変えるべきだ」という確信に変えてくれました。。
複業では、コンサルタントの会社員の仕事とは別に、起業する友人の法人設立やサービスの立ち上げを手伝っていました。
申請の書類を一枚書くにしてもサービス設計をするにしても、法律に照らして問題がないかを確認しなければならず、多くの専門家の方々にお世話になりました。専門家の力が会社経営にどれだけ重要かを痛感すると同時に、「士業の先生の先にいる顧問先の立場になると、専門家から情報を発信してもらえる事がどれだけ心強いか」と痛感しました。
一方でこちらから聞かないと、経営に役立つ融資・補助金情報などは士業の人たちから教えてくれないなと思うこともありました。「できればもっと早く知りたかった・・」と思ったことは一度だけではありません。業界的にもこれが当たり前になっていることに気づきました。
これらの出来事が重なり、士業の先生方の情報配信に関わるサービスを作ろう、と決め起業に至りました。
結果を出すにはやらないと進まない。進んだ先で意気投合した心強い相棒
――サービスを作ろうと決意した後、何から始めたのですか?
最初は特定のコンテンツやツールにとらわれず、専門情報がまとまったサイトがいいか、LINEかChatworkを使ってみようか、企業のフェーズごとに情報が届くシステムがあったらいいな、などと自分視点で欲しいサービスの設計をしました。
重要なのは、専門的なことを噛み砕き、伝わりやすいコンテンツやツールで発信し、受け手にしっかりと伝わること。これらを満たすものとして、LINEなどで配信する専門情報を盛り込んだ短いアニメーションを考え、さっそくサンプル動画を制作しました。
――行動が素早いですね!
やってみないと顧客にとって意味があるかわからない、と考えたので。コンサルタントをしていた時も、「結果を出すには、まずやらなければどうしようもない」というスタンスでした。
――サンプル動画を作った後は何をしましたか?
士業の方々がこのようなサービスをどう受け止めるか?という生の反応が気になりました。そんな時、以前のクライアントの一人だった、公認会計士・税理士で会計事務所を経営している児玉さんと会う機会がありました。
ちょうど前職を退職するタイミングでもあり、児玉さんとは退職を伝えると「名古屋まで行くわ!」と申し出てくれて、食事に行くことになっていたのです。名古屋の中華料理店で二人で乾杯をしてから、辛い料理をつまみつつ、私は児玉にアイデアを語りサンプル動画を見せてみました。
――反応はどうでしたか?
児玉から言われるのは、動画の内容に対して「良い」「悪い」の反応だと思っていました。ですがそうではなかったのです。児玉はいきなりサービスそのものが目指す課題解決に対するコメント、いやコメントどころか「問題意識が同じだ!」と目を輝かせながら、児玉自身の士業の業界のPR不足に対する思いを語ってくれたのです。
さらに児玉の頭の中にあったのは、PRを活発化して単に自分の事務所を大きくするとか、会計業界にとどまる事ではありませんでした。それは、「顧問先の中小企業へ身近な専門家たちが正しい情報を届け、企業活動が活発化すれば、日本経済の発展にも繋がる」という視座が高いものでした。
あれよあれよという間に「一緒に事業を立ち上げて、このサービスを広めよう」と話がまとまった、熱い夜でした。
――急展開!
はい。実はこの日、児玉の反応が良ければ、ゆくゆくはサービスを買ってもらう顧客の一人になったらいいなと思っていたのです。その児玉が、なんとサービスを一緒に手掛ける相棒になってくれたのは意外でした。私のアイデアや問題意識は間違っていなかった、と自信にもつながりました。
そして、士業向けにコンサルティングをやっていた私がCEOを担い、士業を生業としている経営者がCOO・CFOを担ってスタートさせた事業が強くなっていくという、将来の姿が見えた瞬間でもありました。この夜の出来事は、本当に印象に残っています。
最強の伴走者を得た岡田CEOは2021年、L-MagaZineをローンチさせます。後半では事業の手ごたえと、現在求めている人材について語っていただきましょう!
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何より求めるのは「キャリアの選択肢を増やしたい」という意欲。【創業者インタビュー・後編】
税理士や社会保険労務士、司法書士、弁護士など国家資格保持者を主な顧客とする、IT系スタートアップ、株式会社iDOOR(アイドア)。代表取締役CEOの岡田湧真に起業までのストーリーを尋ねるインタビューの後編です。
サービスのローンチ後の反応、iDORのコアバリュー策定の裏話、そして成長する今どのような人材を求めているのか、語っていただきました。
プロであれ/今日から明日へ/常に早く/学び続ける/公平であれ
――2021年5月末にサービスローンチをしてから、手ごたえはいかがですか?
おかげさまで急速なスピードで引き合いが増えています。ローンチ後の約2カ月で30事務所以上でご活用いただいているので、正直、対応が追いついていません。
――そうなんですね!好評の背景には何があると思いますか?
この士業という業界に、まさに今、競争の波が訪れつつあるからでしょう。
例えばここ2年ほど新型コロナ禍の不況を受け、政府が事業者向けに様々な補助金を打ち出しましたよね。業種によっては、これらの情報や申請方法を正しく把握しているかどうかが、事業を存続させられるかどうかの大きな運命の分かれ道にすらなりました。士業の中でも、補助金の申請方法などの情報配信をPRに活用する例も出ています。
一方、情報を伝えない姿勢のままでいる専門家は、顧問先から「先生は自分からは何も教えてくれない」と不信感を抱かれかねません。この「負の感情」が膨らんだ先は?「先生、何も提案してくれませんよね」と解約に繋がるケースも少なくないと思いませんか?
とはいえ、情報配信が士業の事務所の売上や解約防止につながっているか、その成果が見えるには時間がかかりますし、仮に成果が出ても因果関係が分かりづらい、といった声もあります。
それでも、難しいからやらないのではなく、今日動くことが明日の成果につながるという考えで、まずはやってみようというマインドの方が強いです。
――岡田さんがそのように思えるのはなぜなのでしょう?
iDOORを児玉と二人でタッグを組んでスタートさせたという強みがあるからですね。
iDOORは、情報を届ける側の視点、と情報を受け取る側の視点でサービス設計ができる体制になっています。児玉は顧客である国家資格を持つ士業の先生のマインドもビジネスモデルも深く理解していて、私は100を超える事務所の先生方をコンサルティングしてきました。
ビジネスにおけるマインドセットの面でも共通点が多く、心強いです。象徴的なのは、iDOORを立ち上げる時、五つのコアバリューを明文化した時のことです。
このバリュー設定のアイディア出しの時も、二人でそれぞれ案を書き出して見せ合ったところ、驚くほど二人の意見が一致しました。「そうだよね」ですぐにまとまった感じです。ビジネスのスキルだけでなく、マインドセットの面でも一枚岩で戦っていける確信を得られました。
ただ、監査法人とコンサルティングファームを経験し、ロジカルシンキングに長けている児玉は、CEOの私に対しても結構辛口です。事業計画を策定する時も、サービス設計を考える時も、少しでも甘い部分があると「MECEじゃない」と厳しく突っ込まれまくりましたから....(笑)
iDOORであれば、組織づくりもできるし、サービスをグロースさせることもできる
――今後、L-MagaZineをどのようにグロースさせていくのですか?
2022年が始まった今現在、L-MagaZineは「動画」を「LINE」「メール」「Chatwork」で届ける形を取っていますが、その時々に応じて最適な方法を模索し続けます。
なぜなら、私たちはL-MagaZineのサービス設計の段階から、情報発信のためだけのサービスだと位置付けていないからです。
国や自治体などが定めた制度をキャッチアップし、その情報を専門家以外でも分かる内容にし、最適な媒体を選択し、時代に合う方法で配信する。さらに言えば、その情報を受け取った人の成果につながってこそ、初めて情報を発信する専門家の存在価値が高まると思っています。
名古屋の中華料理店で元クライアントの児玉と意気投合してスタートし、シードの段階でも数十というクライアントを抱えた今は、世の中に必要とされているサービスだという確信をつかめています。サービスはまだまだ手つかずの部分が多く、仲間を増やしてゼロイチで取り組んでいきたいのです。
――どんな仲間にジョインしていただきたいですか?
「キャリアの選択肢を増やしたい」という意欲がある方と一緒に働きたいです。
――それはなぜですか?
私自身、キャリアの選択肢があるビジネスパーソンは強い、と感じてきた一人です。現に、現在のL-MagaZineのサービスにたどり着いた背景にも、パラレルキャリアを歩んだ自身の経験があります。児玉もiDOORのCOO・CFOと会計事務所の二足の草鞋を履いています。
ですから、スタートアップであるiDOORを、自身のキャリアを強くする場と考えていただきたいです。
具体的な数字を挙げると、税理士や社労士など代表的な8士業だけでもそれぞれ数万人という人数がいます。その方々を相手に最強のセールスになりたい、ハイクラス層の士業の先生方のカスタマーサクセスに携わりたい、組織づくりをしたい、クリエイティブを発揮したい。いずれのポジションにもゼロイチの経験があふれていますが、やってみて困った時、頼れる専門家のツテには事欠かない企業でもあります。
自身のキャリアをより強くするフィールドを探している方にとって、iDOORが選択肢に入ったら、とてもうれしいです。
ちょっと固めの話になってしまいましたが、関心を持っていただけた方とは、カジュアルにお会いしたいです。私自身、この事業で走り出そうと決めたきっかけも、中華料理店で意気投合したくらいカジュアルな場から生まれているので、ぜひ自然体でお話がしたいですね。
—「思った以上に真面目になってしまった」と恥ずかしそうに語っている岡田代表を見て、改めて自然体な方だなと思いました。
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