「オールドメディア」と「ニューメディア」政治的影響力が強いのはどっち? 世代を問わず、その差は圧倒的だった
一昔前ならこの質問は愚問だったでしょう。そもそもテレビ、新聞などがメディアであって、「オールドメディア」と言われてもビンとこない人も多かったのではないでしょうか。ところが現在、ユーチューブやツイッターといったいわいる「ニューメディア」が盛んになり、「ニューメディア」こそが最大の影響力を持つメディアだ!という意見も珍しくなくなってきています。そこで今回はこの二種類のメディアの政治への影響力を比較してみようと思います。
チャンネル登録者数155万人、最大の政治系ユーチューバーの視聴者数
ネットディアの中でもYouTubeの影響力は強大と言えます。「YouTuber」トップユーチューバーとなればテレビの人気芸能人に引けを取らない発信力を持ちます。
さて、政治系You Tubeチャンネルの中で最多のチャンネル登者を持つ番組が「ひろゆき,hiroyuki」で155万人です。彼は純粋な「政治系」YouTuberではないかもしれませんが、自身のチャンネルで政治・経済に関する私見を語ったり、直近では参院選で乙武候補を応援し動画にあげるなど、政治色の強いチャネルであることは確かでしょう。不定期で動画を配信しており、概ね週に1から2本ほどアップしています。一本あたりの視聴者数は50万人前後、直近10本のうち最も視聴者数が多かったのが「無敵の人を減らすためにできることを徒然と」で138万回です。
3位は「KAZUYA Channel」で登録者数が68万人、概ね1日一本のペースでアップしており、一本あたりの視聴者数は10万人前後となっています。ちなみに2位は「テレ東、BIZ」、純粋なニューメディではないため割愛しました。
圧倒的なテレビの実力
一方テレビは、チャンネル登録という制度がないため、登録者数で比較することはできません。そのかわりに視聴率が発表されているため、この指標をもとに計算します。
直近の「報道」カテゴリの個人視聴率ランキングを見ますと、1位は「NHKニュース7」の8.3%です。(世帯視聴率は14.2%だが視聴者数を計算する上では個人視聴率が必要)日本の4歳以上の人口はおよそ1億2000万人ですから、視聴者数は約996万人となります。これはひろゆきチャンネルの伸びた動画(138万回)の7倍以上であり、テレビニュースの影響力の大きさがうかがえます。
報道番組では2位の「ニュー・気象情報」が7.6%(912万人)、3位の「報道ステーション」が7.5%(900万人)と続き1位から10位まで全て138万人を上回っています。また、若者は高齢世代と比べてテレビを「よく見る」層が半分しかいないという調査がありますが、実際に視聴率が半分程度だったとしてもこの圧倒的な差を覆すにはいたりません。
「迷える人々」にアプローチできるテレビ
テレビにはもう一つの大きなアドバンテージがあります。みなさん、ひいきのyoutuber「以外の」ユーチューブってよく見てますか?中には見てるよ、という人もいると思うのですが、基本的には「好きな」youtuberの動画を見る人が多いでしょう。そのため政治系ユーチューブの視聴者もその発信者の「支持者」がほとんどになります。しかもわざわざ時間をとってその人の動画を見るほどコアな支持者が… こうした視聴者は別にその人の動画を見なくても始めからその発信者に近い考えを持っているわけです。もちろん、視聴者の信念が強まったり、少ないながらもその動画で意見が変わる人もいたりするので、無駄ということはないのですが… それでも改憲派の人が「憲法には指一本触れさせん」というような動画を見ることは稀でしょう。
一方、テレビでは特定の人しか見ていないということがほとんどありません。天気予報目当てで見ている人、前後の番組を見るためにテレビをつけている人などそもそも政治的に強い意志を持たない人も大勢見ています。こうした人たちに一定の党派をひいきするような報道をすれば、その党派にとって大きな追い風になることは間違いないでしょう。
格差の激しい新聞
最後に新聞についてもかるくふれておきます。日本で最大の発行部数を誇るのが読売新聞で687万部(朝刊)。売れ残りを差し引いても600万人以上が毎日読んでいることになり、テレビにも引けを取らない数字です。また、インターネットと比べれば様々な思想の人々のアプローチもできているでしょう。ちなみに言語メディアとしてはTwitterで(彼を政治系と言うならば)堀江貴文さんが政治系ではトップの356万人のフォロワーを抱えていますが、Twitterは1ツイートあたりの情報量を絞りざるを得ず、またフォロワー全員が見るわけではないので、影響力の大きさとしては読売新聞に大きく劣っていると言えます。もっとも、発行部数2位の朝日新聞の475万部の他は3位195万部(毎日新聞)、4位173万部(日経新聞)と大きく影響力を下げます。
現代、ネットの影響力はますます伸びてきていることは確かです。しかし、その現代でもなお、テレビを筆頭としたいわいる「オールドメディア」が強い影響力を維持していることもまた現実なのです。
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