手段を目的にしないためには?
前回は、スキル追求からの争いやマウントの話を社会の既成概念と固定観念を交えて書きました。正直、私も日本のダイビング社会の既成概念には迎合する一人でしたが、数年前からインバウンドダイバー(海外からの観光ダイバー)を意識するようになって、業界の常識や定説を疑うようになりました。今回は既成概念で出来た常識や定説から自分が解放されて、少し思うことを書いてみたいと思います。
◆手段、目標、目的の違いとは? ↓下記はググってます。
手段は、目的や目標に向かって行う具体的な方法。
目標は、目的点への要所にある道しるべ。
目的は、意識する到達点(ゴール)。
上記を前提として書いていきます。
◆手段が目的になると
手段が目的になると、本来の目的から全く違ったものになる。しかし手段が目的なのだと反論されたとすれば、その行為は「◯◯ごっこ」になります。「ごっこ」とは真似事で本当ではない遊びのことと定義されます。◯◯ごっこは、やがて陳腐化した形を辿ります。手段は、あくまで目標や目的に向かって動いていなければ「正しい行動」つまり手段には結びつきません。
例えば「器材を売るためにダイビングを教えるのか?」それとも「ダイビングを教えるために器材を売るのか?」を考えてみます。すると、前者の場合、器材を売る事が目的になり、教えるのが手段になってしまいます。そうすると器材を売る目的に意識が強く働きます。次に目的が達成されると手段が弱くなります。つまり、器材を売ってしまうと教える行為も終了することになります。以前に「ダイビングスキルには、直ぐに出来るものと直ぐには出来ないものがある」と書きましたが、この場合も中途半端に終わります。少し言葉遊びをします。手段と目的に「選ばない」の言葉をつなげて考えるとわかりやすくなります。例えば「手段を選ばない」と言えても「目的を選ばない」と言ってしまえばダイビング行為そのものが意味を無くしてしまいます。
↑ 上記の太字の部分が現在の斜陽化を招いた要因かも知れませんね。
◆手段が目的になると本来の目的が曖昧になる。
日本のダイビングは、何が目的なのかが曖昧になってしまったように思えるのは私だけでしょうか?私は目的には普遍的な要素があり、本来は本質的な要素が目的に結びつくと思っています。以前、インバウンドダイバーにアンケート調査を行った際にその大きな違いを知らされました。結果は、まるで携帯電話のガラパゴス化と同じでした。
◆SCUBAの本質とは何か?(本質を目的へ)
前述のように「業界の常識や定説を疑う」ことを前提にして自問すると「SCUBAの本質とは?」に行き着きました。
ここでは、タイムライン形式で過去の疑問を挙げてます。
①泳げなくてもOkayから始まったバブル期。
②水中バランスの優れた150berのスチールタンクが市場から消えた疑問。
③器材販売のために安直に認定カード発行に走った業界。
④ネオプレーンゴム製に拘り続けたドライスーツ市場。
⑤指導に本質を無くしたイントラ達。←私も含めて
⑥スチールタンクで行う水中脱着の整合性は?←疑問に思う
などなど、タイムラインに上げれば枚挙にいとまがない。
私の眼には「いつからか、翼を忘れてしまったダイバー達」に映った。
上記表現は私も含まれております。省察の念を込めて・・。
◆パンデミック後の希望的ダイビングの在り方
特殊器材を使ったり、認定ランクでマウントを取る、もしくは取ったと錯覚した人達が目覚め、目的のための手段で手段が目的にならない、本来の潜水(Scuba Diving)の本質を理解して、自身の内側を見つめ直し、自身の潜水の楽しさを知り、長く続けられる「趣きを味わう」→本当の趣味としての日本的ダイビングが確立することを切に願ってます。※カテゴリー分けされたダイビングであってもSCUBAの本質は全て同じ。
◯人へのマウンティングは格好悪くなる時代へ ← 本当の多様性へ。
◯自分の価値は自分で決める時代へ。← お互いを受け入れる時代へ。
◯自分の中にある「何が心地良いか?」を見つける時代へ。
◯資格や器材拡張欲求から解かれて精神的変化への時代へ。
◆知る事よりも理解すること
世の中は、知ることばかりに時間を費やす人間が多すぎます。しかし知ることは視て聞いたものを覚えているだけです。それよりも知ること、視て覚えたものを一つ一つ自分の身体で感じて理解していかなければならないと私は思います。たとえ多くのものを知る時間が少なくなっても知ることよりも身体で感じて理解することが大切なのではないでしょうか。←バーチャルにあふれる時代だからこそリアル感が正しい価値を生み出すのではないでしょうか。
◆ものを持つ時代から使い熟す時代へ
ものを持っていても使い熟す(こなす)ことが出来なければ、その価値は半減します。物を使い熟すには、身体で感じた感覚を高めなければ、使い熟せません。
◆良き指導者に巡り合うこと
良き指導者に巡り合うことは難しい事かも知れません。しかし諦めずに探してみてください。日本にもまだまだ沢山います。ただ、良き指導者は声高ではありません。静かに海を見つめ、自分を見つめております。←私ではありません。私はプレーヤーから別のステージでダイビングを楽しんでいる一人のダイバーです。ダイバー枠で言えば現役ですが・・・。
◆目的はSCUBAの本質を理解する
海外のダイバーから見た日本のダイビングは本質が違うのかもしれません。グローバル社会と謳うなら尚更、世界共通の本質を理解して「それ」を磨くダイビングが始まる事を願っております。・・・今回も長くなってしまいましたが、この辺で・・・。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
緊急事態宣言、延長になりましたね。もう少しです。お互いに踏ん張りましょう。