スキューバの書籍で思うこと
コロナで始まった2020年も8月に入りました。
昨日、遂に2回目の沖縄緊急事態宣言が発表されました。社会活動の中で難しい舵取りが必要な時期だと実感する。
さて、このところ沖縄県では立て続けに潜水死亡事故が2件発生した。そこで少し思うことを書き残したい。
その事故内容については詳しくは公開されていないが、ニュースで読み取れば、どちらもヒューマンエラーが直接要因であることは分かる。
そこで業務者側からの自戒の意を踏まえてスキューバ関係の蔵書を取り出し「スキューバレスキュー」関連の書籍を何冊か読みながら自分なりの事故分析をしている。
そんな時に感じ取ったことがある。
私はかれこれ39年ほどダイビングを続けている。職業にしてからは22歳からで、今年で36年だ。当時はスキューバ(潜水学)を学ぶにしても書籍も情報も今の10分の1ぐらいしかなかった。若い頃は疑問に思うこと、分からないことがいっぱいあって、知りたい情報を探すのにも本屋を頼るしか選択肢はなかった。また、行きつけの本屋の主人にはスキューバ関係の書籍が発刊されれば連絡してもらうことを日常にしていた。
そして、私にとって本屋さんが、潜水学を学ぶ学校のような存在であり続けた。そこで、収集した書籍を30数年間、時の流れで昭和、平成と時代分けして感じたことは昭和時代に発行された書籍は抽象的ものが多く、平成の書籍は具体的な内容が多いように感じた。
つまり何が言いたいかというと、昭和は抽象的文脈であり、平成は具体的文脈なのだ。昭和と平成の同じようなカテゴリーを読み進めて感じたのは、具体的内容のものは極端に言うと使い物にならない古いものと思えてしまった。ところが、30年以上前の書籍は抽象であるがゆえに今でも「フムフム」と納得することが多かった。
思い返せば、平成は何かにつけて「○○でも分かる○○」とか「虎の巻」的な書籍ばかりが人気を集めていたと記憶する。
今回、事故分析の目的で参考書籍を再読した過程でも驚くことに33年前に発刊されたものが知識の再認識に大いに役に立った。
では、抽象的な内容の方が「なぜいいのか?」 ということになるが、自分なり解釈として抽象度はイコール→俯瞰して読み取れる。つまり、高い視座から解説しているので、時代変化にも耐えられると思った。しかし具体的だと焦点が少し「ズレ」ると今のダイビングシーンに合わなくなる。と結論に至った。
今回のダイビング事故を考えると、コロナ禍で全国的に自粛ムードが続きダイビング入域数が減った中での事故であるとすれば、例年とは違った事故要因が発生していると私は考えた。そんな気づきを昭和のダイビング書籍から再認識できた。昔の書籍だから使い物にならないのではなく書籍として何をどのように書き残すのかが重要で、たとえ時代が変化しようとも本質を捉えて視座の高いところから書かれた内容のものは、時代の劣化は感じられず、永遠にこれからも読み継がれていく大切な書籍だと私は感じた。
最近は、昭和を悪呼ばわりする傾向にあるが、スキューバダイビングの書籍に関しては、ダイビング黎明期の古典的書籍の方が知識再考に大いに役にたつと感じたコロナ渦中の夏です。
今回、改めてダイビング黎明期に苦労して執筆された先輩方に敬意を送りたいと思った次第です。
今回の参考書籍は
1987年9月25日発行の著者Albert Pierce・翻訳:望月 昇(スキューバ・ダイビングレスキューマニュアル)
1989年10月1日発行の著者Dr.Ralph L Johnson 翻訳:草野 修 以下翻訳者数名省略 (YMCA Scuba Program SLAM概論)です。
今日はこの辺で、、。
皆様、時節柄くれぐれもご自愛ください。
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