行雲流水が如く

ダイビングガイド・ストーリーの組み立て

 前回に「ダイビングガイド」とは、を投稿しましたが、予想以上に閲覧する方が多かったので、その続編として投稿してみました。

 ダイビングガイド論は、ガイドの基本構造から始まりストーリー展開、ガイドという水中行動の平均律を理解することなど、ガイドには一定のリズムやパターンなどがあると考えています。そのパターンやリズムには一見、複雑でありながら実は人に受け入れられるパターンやリズムには、平均律が存在すると私は思っています。例えば、和歌、俳句、音楽、演劇、ドラマ、映画のようなものには必ず平均律が存在します。私は、そこからヒントを経て理論化すればある一定の平均した技術が得られると思った訳です。

①ストーリー組み立ての重要性
 小説を読む理由は様々ですが重要なのは物語の面白さや構成内容などに織り込まれる登場する人物像に始まり主人公と登場人物との相関関係や時代背景など様々な要素が絡み合って読む者に共感や感動を与えます。

 我々が行うダイビングガイドも「場当たり的に」水中を案内するよりも事前にストーリーの組立てを行いガイドするやり方がダイバーにとっても安心感や感動を与えて楽しませる事ができます。

 そこで、ダイビングガイドが潜り慣れたダイビングポイントを案内する上で効果的にガイドを行うにはストーリーが重要になってきます。ストーリーには幾通りかのパターンが存在し実際に行っているガイドのさんも知らず知らずのうちに幾つかのパターンを行っているはずです。そこでガイドパターンを理論的に言語化する事でガイド教育がより効率的になるのです。

 ガイドダイバーはストーリーの幾つかのメゾットを理解する事で毎日のガイドに変化を与え、一つのポイントでさえ幾つかのストーリーが生まれるものです。そのパターンの組み替えをする事で、幾通りかのポイントとして案内出来ればダイビングガイドの幅が広がります。

②ストーリーの類型(メソッド)を考える 
 ガイドのストーリーには単純な構成内容から複雑な構成内容のものまで色々あります。しかし、複雑なように見えても幾つかの行動パターンの繰り返しで成り立っている事にガイドダイバーは気づくべきです。

 複雑だと思うのは、ストーリーではなく演出方法となるガイディングであることをガイドダイバーは理解すべきです。ここで説明しているストーリーのメゾットとはストーリーの構成内容でありストーリーのメゾットには幾つかのパターンがあります。そして、それぞれのパターンが繋がりあって形が作られているものがガイドストーリーとなります。この項目ではまず単純なストーリーから説明して次に複雑なストーリーまでを解説していきます。そして、ストーリーのメゾットを理解していただきダイビングガイド技術の基本とすれば、毎日のガイド業務もより楽しくなります。

◆単純なストーリー(プロット)
単純なストーリー

ストーリーの始まり  プロット → ストーリーの終わり

単純なストーリー解説
このような単純なストーリー展開を一つのプロットと呼びます。
例えばダイビングポイントで解説すれば大物狙いの根待ちダイビングなどがいい例です。エントリーが始まりで根待ちにより大物を見て感動する事がプロットになりエキジットが終わりを示すわけです。単純なストーリーだからといって面白くないガイドではない事は現役ガイドさんならお分かり頂けると思います。

◆複雑なストーリー

EN→集合→移動→魚見る→移動→何か探す→移動→景観見る→集合→EX

複雑なストーリー解説
 実は複雑なストーリーもそれぞれのモチーフ(動機となる型)言い換えれば何を楽しませるのかが存在する一つ一つの小さなプロットの繋がりで成り立っています。複雑なストーリーも様々なモチーフを主体としたプロットの繰り返し(リフレイン)から形作られている訳です。
上記の図からも分かるように 移動→魚を見る が1つの「魚を見せる事により感動を与える」をモチーフにした1プロットといえます。そして幾つかの小さなプロットの繰り返しを大きく1つにしてリフレイン(リフ)と呼ぶようにします。

◆複雑なストーリーも実は、大きなリフレイン(小さなプロットの繰り返し)

 始まり → リフレイン(リフ)→ 終わり

大きなリフ(小さなプロットの繰り返し)解説
 一見、複雑に見えるストーリーも実は大きなリフ(リフレイン)の塊である事が分かると思います。ガイドの複雑さはストレスケアと実はストーリーではなく演出方法やプロットの順番にあります。そこでダイビングガイドの演出方法やプロットの構成を考えたりする技術をここからはガイディングと呼ぶようにします。ガイドストーリーを効果的に行う上でプロット展開や演出方法は重要な要素となります。ここで説明しているリフの塊には構成が重要でありリフの塊のどの部分(前半か後半)にメインプロット(ヤマ場)を持ってくるかが、ダイバーにとっての楽しかったダイビングの評価になって行きます。

まとめ
 ガイドのストーリー内容は幾つかのプロットの繰り返しから成り立っている。しかし、その構成をより効果的にするためには動機がはっきり分かる行動に変える演出がよりダイバーに安心感や感動などを与え結果的に安全で楽しいダイビング内容になる。例えば、映画を見たときに「ああ、面白かった」と思えた映画を振り返ってください。面白かった映画には、必ず1本の映画の中に映画の法則が詰め込まれています。全体的にはアクション映画でも全編中にはロマン、恋愛、スリル、など他にもコメディー、ファンタジー、回想、どんでん返し、など必ず盛り込まれています。ダイビングガイドにおいても1本のダイビングで皆が楽しかったと思えるダイビングには群れを見せたり、マクロ生物を見せたり、景観を楽しませたり、自由に何かを探させたり、深場、中層、浅場と云うシュチュエーション的プロットの演出を行ってみてください。ダイビングを終えたダイバーは、満足げに反応してくれると思います。

ちょっと、長文になってしまいました。

また機会がありましたらガイドの続きを投稿したいと思います。

ではこの辺で・・・。

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