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注目の新事業「仮想発電所」のこと、どのくらい知ってますか?

電力大手の東京電力、関西電力が仮想発電所事業に参入します。
ところで、仮想発電所ってご存じですか?

「仮想発電所」東電・関電が参入:日本経済新聞

仮想発電所とは

仮想発電所(VPP;バーチャル・パワー・プラント)とは、一つの地域や一つの事業者など、一定規模のまとまりをAI制御などによって“発電所として振る舞わせる”ものです。

これまでの電気は、発電所が作り各所へ供給する形でした。会社組織図みたいな構成です。トップダウンな感じです。電力は常に発電所から与えられるだけです。

それに対して、仮想発電所は一つの地域で作った電気を各所でシェアするものです。サークルのような、同心円の輪のようなイメージです。電力を誰かに渡すこともあれば、誰かからもらうこともあります。これによって、地域単位で見たときの需給バランスが保たれます。

なぜ仮想発電所が求められるのか

一番大きな要因は、脱炭素の流れです。これによって発電は再生可能エネルギーへの転換を余儀なくされます。
しかし、再生可能エネルギーによる発電は供給安定性に欠けます。

例えば、太陽光発電では雨が続く梅雨には発電量が落ちてしまいます。冬も夏に比べて日が短いです
風力発電も日本の場合、偏西風のような年中同じ向きに吹き続ける風はありません。そのため、季節によって発電量はばらついてしまいます。

そのばらつきによる供給不安定性を解決するのが、仮想発電所です。
仮想発電所は上記したように、一つの地域や、一つの事業者がもつ複数の発電機器、蓄電池などをまとめて制御することで、発電所のように振る舞わせるものです。
これを用いることによって、ある場所で電力供給が不足しそうな時に、余っているところに回すことができます。あるいは、消費電力を少しずつ抑えることで供給電力の不足を防ぎます。この制御にAIを用いると、とても効率的に電力の需給を調節することができるのです。

こうして、電力を「抑える」「配る」ことによって需給バランスを調整し、急な停電を抑える役割を担うことが期待されています。

事業としての仮想発電所

今年4月に「需給調整市場」が立ち上がりました。これによってエリアにとらわれない一つの市場で、調整力を取引することが可能になりました。
つまり、仮想発電所による電力の調整を、大きな市場に売り出せるようになったのです。

これによって、企業は自身のもつ事業所で発電した電力や、それを貯めておいたEVバッテリー・蓄電池、さらには消費量をコントロールすることで、利益を生むという事業です。
すでに太陽光パネルなどを設置している企業にとっては、大きなコストを欠けずに利益を手にできるチャンスであり、期待が高まります。

まとめ

仮想発電所による事業が本格稼働し始めました。
これによってさらに脱炭素が進みそうです。
また、場合によっては太陽光パネルを新たに設置する事業者も現れるかもしれません。
始まったばかりの新たな事業です。今後の動向を見守りつつ、関連銘柄への注目を続けたいですね!

最後までお読みいただきありがとうございました。日々の学びや気づきから投資につながりそうなことを更新中です📝