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【放送後記】#07東京駅が〇〇に!?建物を生まれ変わらせる技法、コンバージョンとは?【ゲスト:水谷俊博先生(建築学・建築設計)】


2023/11/20に収録した水谷俊博先生ゲスト回が公開されました!
今回はマインクラフトというゲームを使って東京駅をコンバージョンするということで、水谷先生の研究室に所属している建築デザイン学科四年の安樂樹さんもお招きして、文学部所属のパーソナリティの二人と対決していただきました。ゲームを番組内で使用するのも、学生の方をゲストとしてお招きするのも、過去にはない初の試みでしたので、かなり今までとは一味違ったイドバタコウギをお届けできたのではないかなと思います!

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今回は本編に入りきらなかったその他のQ&Aなどをここでお楽しみください!


水谷先生の考える建築設計とは?

森貞
学問の地平からというインタビューの中で「建築を設計するという行為は、『ある空間の中で物語を作る」と言い換えることもできる」とおっしゃっていたのが、すごくいいなと思ったので、少し噛み砕いて説明していただけますでしょうか。

水谷先生
はい。建築をデザインする、設計するって、すごくハード的な話だと思うんですよ。物理的に、建築として空間を作っていくみたいな。だけど、実際その作った空間のなかで、人々がどういうふうな行動をするとか、どういう使い方をするとか、どういう交流があったりするとか、エンターテイメントがあったりとかもありえるわけで、物理的なことを考えながら、その辺もちゃんと考えながら設計するっていうのが、大切かなっていうことを思っています。それが、ある意味その中で展開される物語みたいなこと、物語作りっていうことだと思うので、そういう意味合いで言っていますね。

森貞
実際中に入ってみた時のことも考えてっていうことですよね。

水谷先生
そうですね。できて終わりじゃなくて、50年ぐらいは少なくとも使われて、100年使われる場合もあるので、そういう意味でも、しっかり考えながらやるのは大切かなっていうふうに思います。まだまだ勉強中ですけどね、私も(笑)。

建築設計を研究するとは?

森貞
建築設計の研究とはなんぞやというところをお聞かせいただければと思います。

水谷先生
建築全体の話でいいですかね。設計に限らず。
建築はほんとに色々な分野があって、僕はたまたま設計をやっていて、一番理解やイメージがしやすいと思うんですけど、例えば技術的な話だと、構造的に持つのかという計算をしたりとか、部屋の湿環境がどうすると心地よい快適性を保てるか、ということを研究していたりする人もいます。あと例えば歴史とか、ちょっと考古学的な話ですけど、古建築の分析をしていたりっていう人もいますし、材料を研究していたりとか、建築がどのように流通しているかとかいう、生産的な流れを研究したり、あとは防災とか、言っていくとキリがないんですけど、そういういろいろな研究をしてたりする人たちがいます。どちらかというと、建築の設計をやっている人ってそんなにいないと思いますね。だから、珍しいと思います。設計は実際に実務をやっているので、なかなか、建築の他の分野とはちょっと違うかなという感じがしてますね。

街と建築設計

安樂
街を歩いていると、いろいろな情報が入ってくると思うんですけど、実際に先生が一番重要視しているところってどこですか。

先生
一番重要視しているところ、難しいな。街を歩いていて何を重要視しているか、何でしょうね笑。一つだけというのは難しいですよね。でも、ちょっと抽象的なあれですけど、視覚だけじゃなくて、やっぱりいろいろあるわけじゃないですか。
音とか匂いとかを多分、そういうところをもちろん感じているところはあって、どこに注目しているかっていうのは難しいですけど、どこに目が行ってしまうかっていうのはたぶんあって、ちょっと優等生的な回答になっちゃうけど、地図上では分からないことを発見すると楽しいですよね。
例えば道って地図上に載っていますけど、建物の中にも道が通っていたりして。吉祥寺って面白いですよ。外の道と施設内の道は意外と繋がっていて、いろんな形でシークエンス(物事の連続の意)が生まれているっていうのが魅力で、みんな意識しないと思うのですけど、多分ああいうのも吉祥寺が人気ある理由かなって思います。

建築設計で大事にしたい点

内田
お話の中で、三つの要素(家具・ランドスケープ・照明)のトータルを考えながら設計しているとあったのですが、例えば家具などは、ご自身で0から設計されるのか、既製品なども含めて考えているのか、お聞きしたいです。

水谷先生
なるほど。現実的な話をすると、一つはやっぱり予算があって、予算内でどう整備できるのかということを考えています。やっぱり作るとなると高くなるので。でも自分がデザインして0から作った家具を置くっていうのが、ある意味、建築の設計者の仕事としては理想だとは思いますね。なかなか、そういう機会は少ないですけどね。ただ今回紹介したアーツ前橋とか、武蔵野クリーンセンターには自分がデザインしたオリジナルの家具もあったりするので、まあ全部はできないですけど、ここは大事かなってところに置くことはあるかなと思います。あとは、既製品も山のようにあるので、やっぱり空間のイメージや、使い方のイメージとかに合ったものを選ぶようにしていて、トータルコーディネートしていくことは大事かなと思います。

大畠
本編で見る・見られるの関係について話されていましたが、それこそ美術館だと、作品を見ることが主役になると思うので、照明の当て方も作品がよりよく見えるように配置すると思います。その際、どのように照明を置くのがいいのか教えてください。

水谷先生
実は美術館とかだと絶対我々だけではできなくて、照明デザイナーとか、光景デザイナーとかっていう言い方をしますけども、そういういろんな照明の中からどういう照明をどう当てるかっていう専門家と組みます。
それで美術館の場合はやっぱり、作品に対してどう照明を当てるかっていうのは一番大事かなと思いますね。あとは、部屋全体の明かりをどう作っていくかっていうことになると思いますね。で、そういう意味では、例えば見ている人に対しての照明とかっていうのはあまり優先順位としては高くないかなと美術館の場合は思いますね。
アーツ前橋の場合は、美術館ですけど大きな開口とかを展示壁に作って、そうすると向こう側の展示室が見えたりとか、さらにその向こうも見えたりみたいな、そういうことをやっています。街中の美術館だったので、街の中の延長みたいな空間を作りたいなっていうことで、そうするとスケール感や奥行きが出てきたりして、そういうことを狙って、その辺は美術館の方でも了解をしてもらって計画したっていう感じでしたね。

大畠
美術館だと、こうやって進んでほしいといった順路があると思うのですが、最初は小さな部屋でだんだん大きくなっていくといったような、順路ごとの工夫は何かありますか?

水谷先生
それは美術館によって色々違うかな。基本的に常設でこういう作品ですよっていう美術館だとそのやり方が通用する感じですけど、大体公立の公共の美術館って色んな企画展を回していくので、展示のコンテンツに対応しなきゃいけない。だから展示順路も多分計画や展示品によって変わるので、そこはどっちかっていうと色々な形でできるフレキシビリティーがあった方がいいかなって僕は思います。

イドバタコウギの収録はいかがでしたか?

水谷先生
今日は楽しかったです。一番良かったなと思うのは、学生の安樂さんと一緒に出られて、普段やらないようなことを素材にすごくいい体験ができました。もちろん文学部の皆さんにも設計らしきこともやってもらって、想像以上にちゃんとしていたので、びっくりしました。
そこは新鮮な驚きで良かったです。このイドバタコウギは初めてでしたが、今日なんとなくつかめたので、次回いつかなっていうのを楽しみにしています。課題点を自分でも克服して、次に臨みたいと思います。ありがとうございました。

おわりに

今回のイドバタコウギはお楽しみいただけましたでしょうか?
本編でマインクラフトを用いたり、学部生の方をゲストとしてお招きしたりと、イドバタコウギ初の試みが詰まった回となりました。ちなみに本編ではきちんとご紹介できなかったのですが、文学部チームが東京駅をコンバージョンした際の設計図はこちらになります!

今回のパーソナリティを務めた森貞先輩が設計し、同じくパーソナリティを務めた江端先輩がそれをマインクラフト内で組み立てたそうです!
この設計図からあのジェットコースターができたと思うとすごいですね。
これからもいろんなことにチャレンジしていきたいと思いますので、ぜひチャンネル登録のうえ、次回の更新をお待ちください!
各種SNSのフォロー、視聴者アンケートへのご協力もどうぞよろしくお願いいたします!

文責:内田恵美莉・大畠佳汰


番組クレジット(収録当時)/SNS情報

【Minecraft】東京駅が〇〇に!?建物を生まれ変わらせる技法、コンバージョンとは? #7
ゲスト:水谷俊博先生(建築学・建築設計)
企画/パーソナリティ:江端 進一郎・森貞 茜(日本文学文化学科4年)
撮影:伊藤 遥香・長田 千弘(日本文学文化学科4年)
   内田 恵美莉・小瀬 ゆかり(日本文学文化学科3年)
   大畠 佳汰(日本文学文化学科2年)
編集:江端 進一郎・長田千弘・伊藤遥香・森貞 茜(日本文学文化学科4年)
ショート動画:小瀬 ゆかり(日本文学文化学科3年)
       長田 千弘(日本文学文化学科4年)
監修:土屋 忍(日本文学文化学科 教授)
参考文献:学問の地平から 第39回 建築学・建築設計(武蔵野大学HP)

水谷俊博建築設計事務所

武蔵野大学教員紹介ページ

風袋宏幸、水谷俊博編『環境デザインの試行』(2007、武蔵野大学出版会)
ロバート・マッカーター『名建築は体験が9割』(2018、エクスナレッジ)
収録日:2023年11月20日(肩書・学年は収録当時のもの)
提供:武蔵野大学

武蔵野大学発インターネットラジオ番組「イドバタコウギ」
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Ⓒ武蔵野大学インターネットラジオ研究会


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