或る少女の物語 2

 発明の神トーマスエジソンは実験に失敗するたびに、「これは成功だ」と言ったらしい。彼の成功の定義は次につながること。即ち私たちが失敗だと感じることも、エジソンは成功と捉える。失敗するたびに少しずつ調節し次に繋げる。
彼が発明の神である所以は至ってシンプルである。

 私は失敗が嫌いだ。失敗して恥をかくのが嫌いなので、平坦な道のりを好んで歩いてきた。
 これではエジソンにはなれないな(なりたい訳ではない)と思いながら、沈みかけている太陽を眺めながら、テイラースウィフトを聴きながら、自慢の黒髪をなびかせながら、渋谷を歩いている。


 今思い出した話だが、島田は表参道ヒルズのトイレに1時間籠って(こもって)いたことがある。私はその時トイレの外で待っていた。トイレから出てきた島田にどうしたと尋ねると
「トイレした後に石鹸で手を洗う人の割合を観察してた。たまに石鹸使わない人いるじゃん? 私は5回中4回は石鹸使うよ。」とのこと。
 私は「8割打者だね。」と的外れな反応を示し、再び2人で買い物に興じたことがあった。

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