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【Project Focus】排水施設の新設および機能強化を行い洪水・氾濫被害を軽減 < 無償資金協力 >

プロジェクト名:カンボジア 第四次プノンペン洪水防御・排水改善計画
コンサルティング:(株)建設技研インターナショナル
施 工東亜建設工業(株)


 カンボジアの気候は熱帯モンスーン性気候に属し、首都プノンペン周辺を流れるメコン川の水位は季節変動が大きく雨期には頻繁に氾濫が発生する。また、同都の市街地は平坦な地形が多いため、低地では水が溜まりやすく排水しにくい特性を有している。
 1960年代より排水路・排水管は設けられてきたが、1970年代から約20年間続いた内戦の期間中より維持管理がなされず放置され老朽化、また破損、ゴミや汚泥の堆積により排水機能が低下しており、加えて都市化に伴う流出雨量の増加、排水管路の新規整備の不足等により、雨季には都内各所で浸水被害が発生していた。
 浸水による被害は同都の急激な人口増加も受け、その被害規模も増加傾向にあり、経済損失や衛生面での被害など、早急な排水施設の整備・改善が必要な状況であった。
 日本政府はカンボジア政府の援助要請により1998年2月から1999年8月にかけてJICAによる開発調査「プノンペン市都市排水・洪水対策計画調査」を実施。2001年からは日本の無償資金協力事業「プノンペン市洪水防御・排水改善計画調査」フェーズ1~3を実施し、治水・排水能力の改善が確認された。
 本事業「第四次プノンペン洪水防御・排水改善計画」は、これまで排水施設新設の対象となっていなかったプノンペン都中心部の北部(ワットプノン北側、トルコーク地区)の排水施設の新設および機能強化を行うことで氾濫被害を軽減し、プノンペン都の都市機能を強化することが目的である。
 本事業の推進によりプノンペン都中心部北部での浸水による経済的被害の防止だけでなく、衛生環境の悪化による皮膚病、下痢、腸チフス、赤痢などの水因性疾病の発生、蔓延の改善も見込まれており、地域住民の生活の質の向上に大きな期待が寄せられている。

機械式集塵装置
刃口推進発進立坑
刃口推進掘削状況
地下貯水槽
泥濃推進発進立坑
排水管ボックスカルバート
ポンプ場建設

本記事掲載誌のご案内

本記事は国際開発ジャーナル2024年10月号に掲載されています。
(電子版はこちらから

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