【資源・エネルギープロジェクト】大学構内に太陽光発電を導入しエジプトのカーボンニュートラルに貢献<オリエンタルコンサルタンツグローバル>
国名:エジプト
プロジェクト名:太陽光を活用したクリーンエネルギー導入事業
”歴史の波”を乗り越えて
日本政府は、温室効果ガスの排出削減と経済成長の両立支援を目指し、エジプト日本科学技術大学(E-JUST)構内に太陽光発電システム導入を支援した。本プロジェクトは、2009年9月に調査を開始したが、アラブの春に見舞われ、工事が遅延。17年12月にようやく建設が開始した後も、先方負担事項との調整、新型コロナウィルス感染症の影響を受け、21年12月末にようやく引き渡しが完了した。アラブの春とコロナ禍、これらの”歴史の波”を乗り越えて12年。本プロジェクトの始まりから知る者は、われわれだけだ。要請した先方政府でさえ学長が3代目となり初期の記憶は誰にも残っていないという長期プロジェクトとなった。心が折れそうなことが幾度もあったが、完成し皆が喜んでくれたことは、コンサルタント冥利に尽きる。
カーボンニュートラルの先導者へ
太陽光発電システムは、大学構内という限られたスペースのため架構体を建設し、その上に太陽光パネルを配置することで、発電システムと建築が融合したデザインとした。パネルは3カ所に設置され、下部は、それぞれアトリウム、憩いの場、駐車場といった空間となっている。エジプトと日本の協力により設立されたE-JUSTは、クリーンエネルギーを学ぶ学部も有する。講義が出来たり、生徒が施設に直接触れて学べるなど研究・教育に活用できる設計とした。また、不測の事態で長期間停電となっても、自立運転ができる。太陽が照る昼間であれば、電気を供給できる防災機能も有している。本プロジェクトを活用して、E-JUSTの学生が勉強し、社会に巣立ち、エジプトのカーボンニュートラル実現の先導者になることが期待される。
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本記事は国際開発ジャーナル2024年2月号に掲載されています
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