【Project Focus】電力供給の安定性を改善し経済発展と環境負荷の軽減に貢献 < 有償資金協力 >
プロジェクト名:インドネシア アサハン第3水力発電所 LotⅠ 土木工事
コンサルティング:日本工営(株)
施 工:清水建設(株)・アディカリヤ(インドネシア)共同企業体
インドネシアは安定した経済成長や人口増加に伴い、電力需要が増えており、島面積が世界第6位のスマトラ島も例外ではない。スマトラ島には、同国最大の湖であるトバ湖があり、そこから流れるアサハン川は、平均流量や湖から河口までの落差を見ても、水力発電のポテンシャルが極めて高く、有利な地形となっていた。
こうした状況を踏まえ、流れ込み式のアサハン第3水力発電所を建設することで、北スマトラ系統の電力供給ひっ迫の緩和と電力供給の安定性改善を目指し、円借款により建設事業が始まった。これは、同国の再生可能エネルギー活用を促進し、地球環境負荷の軽減にも寄与するものである。
清水建設は、本プロジェクトの土木工事を担当。2019年3月から着工し、取水堰・取水設備工事、導水トンネル工事、地下発電所の建設などで、本プロジェクトの実現に貢献した。
着工時に何もなかった現場に工事用道路をつくり、電気やインターネットを引き、井戸やキャンプを建設してプロジェクトに臨んだ。新型コロナウイルス感染症の流行などもあったが、人命を第一に工事を中断することなくプロジェクトは進められた。
工事に必要なコンクリート数量の確保には、多大な苦労もあった。トンネルを掘削する過程で発生する岩石を砕いてコンクリート用砕石・砕砂(ズリ)を生産したが、ズリが想定以上に細かく、要求される品質の砕砂を充分確保できないこともあった。代替の砂を購入したり、配合やコンクリートの試験練りなどで試行錯誤し、結果として安定した数量と品質を確保することができた。
今後アサハン第3水力発電所が運転を開始することで、インドネシアのさらなる発展に貢献するだろう。清水建設は今後も同国のインフラ整備や民間投資に積極的に取り組んでいく構えである。
本記事掲載誌のご案内
本記事は国際開発ジャーナル2024年10月号に掲載されています。
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