褒めてあげない日本人

 以前書いたものと重複する内容になるが、どうしても人の仕事を笑える人を見るとイライラしてならないので再び書こうと思う。
 前回は清掃業を笑う人だったが、では今回は誰を笑うのか。
 政治家である。

 これはそもそも長年感じていた疑問や憤りなのだが、日本人はとにかく頑張る人を評価しない傾向にある。むしろ批判し、そこで対象者の心が折れたらさらに強く批判する。
 応援せず、励まさず、飴も愛もない無意味な鞭が、非常に多い。
 ちなみに政治に限った話ではなく、学校や職場、家庭などありとあらゆる場で見て、されてきた。

 ご存知の通り新型コロナウイルスの影響で、私の住む神奈川を含めて外出自粛が求められている。
 私は当然、危機感を持ちながら自宅にこもっているのだが三十代の私が自宅にいるなか、私よりも年上の政治家は国会へ出たり会見したりと、私達国民がきちんと生活できるように動き回ってくれている。
 もちろん、自宅で行える業務は自宅でしているのだろう。
 だが私なんかよりもよほど外出しているはずだ。それは、そうしなければならないからだ。

 緊急事態宣言による外出自粛要請、現金給付や布マスク配布など、政府はわかりやすい対策を私へ示してくれている。買い物はまとめて、でも買い占めはしないでくれ、みんなに行き渡るから落ち着いて行動してくれ、LINE公式アカウントを作ったから不安であればそこで問い合わせをしてくれ等々。
 政治家である彼、彼女らは頑張ってくれている。
 安倍総理は現在65歳だ。
 私の倍も生きていて、コロナウイルスにかかったら私よりも死亡リスクが高い中で懸命に働いてくれている。これだけでも私は頭が上がらない。責任があるから、給料が発生するからだとしても、だ。働く理由など、私には関係はない。ただ働いてくれているということが、なによりもすごい。

 私はおよそ現在の政府へ不満がない。
 なぜなら頑張りが目に見えているからだ。

 SNSをやめたと以前の記事で書いたが、情報収集を目的としたtwitterの閲覧はしている。
 そうすると政治批判を活動のメインとするアカウントに行き当たることが稀にある。私はそういったアカウントを運用している人らの情報は極力見ないようにしている。なぜなら、私はそういった情報を疑えるような知識がなく、基本的に無知だからだ。嘘か本当かわからない話を真っ向から信じて痛い目にあったことが幾度もあるからだ。
 とは言え、見ないようにしても政府の動きや言動や、ちょっとした些細なこと全てに文句をつけているのはよくわかった。

 私には理解できないのだが、なぜ彼らは政治批判をしているのだろうか。
 彼らはなぜか肯定をしない。よくやったと言わない。
 これはあくまでも私の予想だが、彼らは「少しでも褒めたら舐められる。つけあがられる」と考えているのではないだろうか。もちろん、確認したくないので聞いたことはない。
 だが私が今まで生きてきて出会った「鞭ばかりの人たち」はだいたいそうであった。

 与党を嫌う層が一定数いるのはわかる。
 私がSNSを活発に使用していた頃、日本人として日本人をフォローして日本人のアカウントを見ていたが、その多くはどういうわけか批判の拡散はするが、肯定意見はあまり拡散しなかった。
 いま思い返すと、「称賛は言わなくても伝わる」と考える人達が多かったのでそのせいだったからなのかもしれない。

 日本人はとにかく褒めない。
 なんなら私のこの記事も批判ばかりしている。

 黒岩知事の会見で、病院へいわれのない誹謗中傷が向けられていると話しているのを聞いて私は仰天した。感謝こそすれ、最前線で命がけで戦っている医療従事者へよくそんなことができたものだと驚き、呆れた。

 その後、会見の中で黒岩知事は「#がんばれコロナファイターズ」というものを提案した。神奈川県庁広報アカウントで閲覧できる。
 そのツイートへのリプライをぜひ見て欲しい。
 私が素敵なアイデアだと感じたものを、「税金の無駄遣い」「ネーミングセンスが悪い」「頑張っている人間に頑張れと言うな」という意見が多く見られる。
 どれもこれも一理あるのかもしれないが、私が感じた「アイデアへの良さ」と、リプライをした彼らの感じたものは大きく違うらしい。そもそもこのアイデアは医療従事者へ批判なんてしないで応援してくれという意図があったのではないだろうか? 批判が寄せられている医療従事者へ、応援の声が届きやすくするためにハッシュタグを作り提案をしたのではないだろうか?
 リプライ欄など見なければよかったと、すぐさま後悔した。

 多くの政治家が懸命に働いている。だが、見かけるのは批判ばかりだ。
 こういうのを見るたびに、私は無性に情けなくなる。こうやってnoteに不満を書いている私は、政治批判家たちと同じように政治を肯定するTwitterアカウントを作ることはできない。肯定する発言を発信し、誰かの意識を変えようなどという知識や度胸がないからだ。意見がおかしいと指摘されたとき、毅然と立ち向かえる強さがないからだ。

 人の仕事を笑える人々はたくさんいて、悔しく思いながら私はいつも黙っている。
 安倍総理頑張ってくれてありがとう。安倍総理と一緒にたくさんの対策を考えてくれ、そして実行してくれる大勢の人々、ありがとう。
 何もできなくてごめんなさい。