私の無の結婚願望は、既婚女性に理解されない
私は三十代独身女だが、まあまあな頻度で同世代、年上の女性たちに「結婚してますか?」と聞かれる。私は毎回「いいえ、独身です」と答える。
質問者は私が結婚していないことに大いに驚き、次に「恋人はいますか?」と決まって言う。私は毎回「いいえ、いません」と答える。
次々に投げられる無遠慮な質問に、私はすぐさま「結婚をしたくないので、相手を探さないようにしています」と続ける。
ここからまた面倒な質問が飛んでくるのだが、この手の質問をしてくる女性たちは「結婚はするもの」という前提を持っているので、早い段階で全く違う意見を持っていると示さなければならない。
記事のタイトル通り、この質問をするのはほぼ既婚者女性である。独身女性に聞かれたことなどあったか思い出せない。己の年齢を考えれば、周囲が既婚者ばかりであるのは時代的に当然のことではある。
年齢的に振られることの多い「結婚」の話題だが、その内容は、寛容で多様性が認められる世の中とは、とうてい思えない。
そうだ。
ここで述べるのは、まっとうな意見っぽく書いただけの私の苛立ちと愚痴である。
先日、職場で出会った三十代の既婚女性は、私が結婚を望まず相手も探さず出産もしたくないと知るやいなやすごい剣幕で「もったいない!!」と叫んだ。
子どもが好きだという彼女は、結婚しないなんてとんでもない、子どもはとても可愛いし、絶対にするべきだと私に熱く語った。私が苦笑いで全てに「そうなんですね」と無難な返事で場をやり過ごそうとした最後には、「あなたに結婚がいいって絶対に言わせたい」などと鼻息荒く発言した。
その後、彼女は仕事で顔を合わせるたびに私に結婚の良さ、子どもの素晴らしさを長々と語り、「あなたも恋人を探そうよ」と笑顔を見せた。
私は仕事の関係者である彼女へ対して激昂することもできず、「いつかそうなったらいいですね」とだけ毎回答えた。
あるときあまりにも私がなびかないのに業を煮やしたのか、ついには「もしかしてあなたはレズビアンなの?」とまで言ってきた。
もはや何を言うのも面倒になり「そうかもしれません」と私は微笑んで答えた。
ちなみに、私へ対して「結婚すべき」と語る女性は、この彼女一人にとどまらない。数えるのもうんざりするほどに、私はこの手の話を多くの既婚女性からされてきた。
そうそう、既婚女性には私の祖母も含まれることを追記する。
話題を振られるたび、ほんとうにヘドの出る思いであった。
私が結婚しようがしまいが、出産しようがしまいが、性的指向がなんであろうが、他人である既婚女性たちに一体なんの関係があるのか? なぜ全く興味を示さない私を説得しようと無駄に奮闘するのか?
余計なお世話、という言葉がまさに当てはまる。
ほんとうにしつこい人へは、面倒になるとわかったうえで両親の話をする。親が離婚したせいで人生がめちゃくちゃになった、私のような子どもが増える可能性が1%でもあるのだから結婚などしたくない。
ここまで言えば引き下がってくれるだろうと思うが、実際はほとんどが引き下がらない。なんと彼女たちは新しい既婚女性を連れてきて「やってみればなんとかなるよね?」と話し合うのだ。
私も半ばそうだが、女性の中には己の考えや体験こそが世の普通と思いこんでいる層が一定数いる。
既婚女性たちは自らが積み上げてきた数十年の結婚人生を肯定するためだけに、私を説得しようとしている。まるで私が独身を謳歌することが、彼女たちを批判しているような、そんな素振りさえ見せる。
もしこの記事を読んだ中に「結婚を望まない独身女を説得した」女性がいるのなら、その独身女の中にはこういう女もいて、迷惑に思うことを知ってくれ。
そして、叶うなら二度と私を説得しようなどと試みないでほしい。