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<論文>薬剤耐性グラム陰性菌の治療:総論(IDSAガイダンス)
以前,抗菌薬開発についての記事を書きましたが,
IDSAより薬剤耐性グラム陰性菌治療のガイダンスが出ていました。以下より確認することができます。
一度にすべて掲載すると長いので分けて掲載します。今回は総論部分のみです。
Infectious Diseases Society of America Guidance on the Treatment of Antimicrobial Resistant Gram-Negative Infections
Published by IDSA, 9/8/2020
全般的なマネジメントの推奨
起因菌が特定され、抗菌薬のin vitroの活性が確認されていることを前提とする。薬剤コストは考慮していない。可能な限り感染症専門医の介入を推奨する。
<経験的治療>
最も可能性の高い病原菌の地域の感受性パターンに基づいて行われるべきである。以下を考慮する。
(1)過去6ヵ月間の病原菌と抗菌薬の感受性データ
(2)過去30日間の抗菌薬曝露(例えばピペラシリン・タゾバクタムの治療が最近行われた場合、同等のスペクトルの他剤(例えばメロペネム)での経験的治療を考慮すべきである)
さらに、患者の重症度と感染巣の推定に基づいて行うべきである(例えば人工呼吸器関連肺炎は、一般的に膀胱炎よりも広域なカバーが必要となる)
<治療期間>
耐性であるからといって感受性の良いものよりも長期治療を行う必要はないとされている。感受性のない抗菌薬が膀胱炎に対して経験的に投与されたにもかかわらず臨床的に改善した場合、一般的には、尿培養を繰り返したり、抗菌薬レジメンを変更したり、予定されていた治療コースを延長したりする必要はない。しかし、その他のすべての感染症については、感受性のない薬剤が経験的に開始された場合には、感受性のある治療の開始日から完全な治療レジメンへの変更が推奨される。加えて、免疫状態、ソースコントロールの達成度、治療への反応などの関連する重要な宿主因子も考慮すべきである。
各論のESBL-E編はこちらです。
CRE編はこちらです。
DTR-P編はこちらです。
table-1(pdf)の推奨抗菌薬投与量も参考になると思います。
https://www.idsociety.org/globalassets/idsa/practice-guidelines/amr-guidance/table-1.pdf
<感想>
ときどき,とりあえずセフトリアキソンで治療を開始したものの,あとからESBL-Eと分かる,といったことがあります。その際,もちろん活性のある抗菌薬に変更するとして,治療期間をどうすればいいのか悩みます。このガイダンスによれば,膀胱炎以外はきちんとやり直せとなっていますが,臨床的にはすでに改善傾向の場合は悩ましいところです…。