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ブルジョワジーの秘かな愉しみ(1972)
ブルジョワジーの秘かな愉しみ
①
ブルジョワたちが、友人のセネシャル夫妻宅へパーティーのつもりで訪問すると、食事の用意ができていない。
夫人はパーティーの日にちを数日、誤って設定していたようだ。
予定を変更して、みんなで洒落たレストランに行くことにした。
ところが店の様子がおかしい。いつもの主人が出迎えてくれず、店はガラガラだ。
それでも気を取り直して食事と、それに合うワイン🍷を選ぶことにした。キャビアは品が不安だから家で食べる。
店内で関係者が泣いたり、喪服を着て神妙な様子をしている。
一向は、衝立の向こうで死んだ主人が横たわっているのを発見した。急死してしまい、葬儀までこれで間に合わせているそうだ。
食欲をなくした一向はパーティーの日程を改めることにして、その日は解散する。
②
ミランダ共和国大使のラファエル宅。
彼は外交官の特権を悪用し、外交鞄にコカインを詰めて空港で密輸していた。
ブルジョワの男たち3人はコカインを分け合った。
窓の外に犬のおもちゃを使って通行人の気を引く美しい娘がいる。
娘はミランダ共和国の女で、社会主義者のテロリストだった。
ラファエルは空気銃でおもちゃを狙撃し、娘を威嚇する。
③
セネシャル夫妻が寝室でヤろうとしている。
ところがタイミング悪く、いつものブルジョワ仲間たちがやって来た。
夫妻は、メイドに彼らを待たせるように言いつけて、2階から外へ出た。どうやら野外でヤるつもりらしい。
夫妻を待っている間、ドライマティーニの正しい飲み方を教授しようとするテブノ。
彼は、外でタバコを吸っている運転手を呼びつけて、マティーニを飲ませた。間違った飲み方の例として、庶民の飲み方を実演してもらうためである。飲酒運転させていいの?笑
人口増加のテーマを話す時も、地球儀ではなく天球儀を使うところがブルジョワらしい。
夫妻はいつまでたっても下に降りてこない。しびれを切らしてメイドに尋ねると、窓から逃げ出したという説明。コカインの件で警察の追求から逃れるためだと誤解して、みんな逃げ出した。
司教がやって来た。屋敷で庭師の仕事をしたいそうだ。司教は庭師だった父をヒ素で毒殺された過去をもっている。
「花畑を並んで歩くブルジョワたち」
④
ブルジョワの妻たち3人が、オーケストラつきのカフェで談笑している。紅茶を3人前注文したが紅茶を切らしており、代わりにコーヒーを注文した。
近くの席から中尉がこっちを見ている。お辞儀を返すと近づいてきて、悲劇の幼年時代を語り始めた。
幼年の中尉のもとに死んだ母の亡霊が現れて、父の毒殺をお願いしてきた。父は本当の父ではなく、本物は彼との決闘で殺されてしまったという。母の言いつけ通り暗殺を実行し、その後は軍隊でおもしろくおかしく過ごしているそうだ。
代わりのコーヒーすら切らしており、酒の取り扱いはなく、水しかない。妻たちは帰ることにした。
⑤
テブノの奥さんと密会してヤろうとしたラファエルだったが、夫までやって来てヤれない。セネシャルの屋敷で、今度こそ夕食会を実行するから、その招待だった。
テブノ夫妻が帰ると、入れ替わりで女テロリストが訪問してきた。
夕食会のために追い出すラファエル。外にはミランダの秘密警察(?)が張り込んでいて、女は連れ去られていった。
⑥
セネシャル夫妻の夕食会。みんながテーブルにつくとタイミング悪く呼鈴が鳴った。軍隊の訪問で、軍事演習が予定より1週間、早くなったのだ。
屋敷に軍人たちを招き入れ、夕食会は中断することになった。軍人たちは当然のようにマリファナ煙草を吸い、家主にもすすめる。
大佐の指名で、急に軍曹が見た夢の話を始めた。夢の中で彼は商店街のはずれにたたずんでおり、死んだ友のラミレスや、死んだ母に遭遇した。亡霊でいっぱいの街だそうだ。
軍隊は帰ったが、演習の砲弾の音が鳴り響き、食事どころではなくなってしまった。
⑦
ブルジョワ仲間たちは大佐宅でのパーティーに招待された。
召使が七面鳥を床に落としたが何事もなかったようにテーブルに置いていった。よく跳ねる七面鳥で、なんとゴムでできているにせ物だ。
舞台照明が光り、彼らは舞台にいた。演劇の食事シーンだが、セリフが出てこないセネシャルは冷や汗をかいた。観客のはやし声やブーイングが飛んでくる。
セネシャルは目を覚ました。すべてが夢だった。大佐のパーティーを寝過ごすところだった。
⑧
セネシャル夫妻は大佐の屋敷を訪問した。
大佐とラファエルが喧嘩をしている。ラファエルはピストルで大佐を射殺してしまった。
テブノは目を覚ました。セネシャルが寝過ごしたのも、大佐とラファエルのケンカも、すべてがテブノの夢だった。
「並んで歩きつづけるブルジョワたち」
⑨
司教は老人の今際の際に立ち会い、彼の懺悔を聞く。彼こそ両親を殺した男だった。司教は散弾銃で老人を射殺した。
セネシャル夫妻の食事会がついに実現することになった。
ところが警察が令状をもって、麻薬事件の犯罪人として、ブルジョワ全員を逮捕、連行していった。
⑩
署内には「血まみれ巡査部長」の言い伝えがあり、その日、6月14日は彼の命日だった。
巡査部長は腕利きだが、彼の尋問は厳しく、爆破犯人を秘匿した若者に、電極をつないだピアノで電気を流すなど容赦がなかった。ピアノに潜んでいた無数のゴキブリが電気に驚いたのか、わらわらと逃げ出す。
巡査部長はデモの騒ぎで死んだ。それ以来、巡査部長の血まみれの霊が署内をうろつくようになった。
巡査部長の霊にうなされた警部は目を覚ました。巡査部長は生きており、巡査部長の霊が血まみれになってさ迷っているなど、すべて警部の夢だった。
警部に内務大臣から電話がかかってきた。米国との外交関係上、高度な政治的判断がはたらき、ブルジョワたちを全員釈放せよとの命令だった。電話の肝心な部分はヒコーキの轟音でかき消されて聞こえない。
警部は巡査部長にブルジョワたちの釈放を命じたが、今度も肝心な部分はタイプライターの騒音でかき消されて聞こえない。
⑪
ブルジョワは釈放されて晴れて自由の身となった。今度こそ夕食会の実現だ。
セネシャル夫妻は羊のジゴやハーブ入りのポタージュを用意して仲間たちを歓迎した。
彼らがテーブルを囲んで、食事をしていると、機関銃をもったギャングかテロリストが侵入した。全員、銃殺。ラファエルだけがテーブルの下に潜り込んでジゴを食べていたが、テーブルに腕を伸ばしたところを見つかって銃殺。
汗びっしょりのラファエルは目を覚ました。すべてが彼の夢だった。ラファエルは夜中に起き出して、冷蔵庫から冷えた肉を取り出し、硬いパンとワイン🍷で一人さびしく食事をした。これすらどこか慌ただしい。
「並んで歩きつづけるブルジョワたち」END