黒いサンタさんの話 解説 話のつくり方
①
主人公の「おれ」が、サンタからもらったユニフォームを着て、ユニフォームにはサンタの手紙が入っていた。
この箇所は、最近、考えていたけど、思いつかないストーリーをアレンジした。
「レストランでコートを預かってもらい、帰りに返してもらう。コートは既製品の大量に出回っているもので、隣の席のお客さんも同じコートを着ていたのが、店のクローゼットの中でゴチャゴチャになり、入れ替わってしまう。ポケットから身に覚えのない「メモ」が出てきたから、これは自分のコートではないと気がつくけど、メモには暗号が書かれており、これを解読することで主人公は国際的な陰謀に巻き込まれてしまう。」
この話の展開がまったく思いつかず、「コート」と「ポケットの中の紙」を「サンタの服」と「サンタの手紙」に置き換えて話を作った。
レストランでコートが入れ替わることで起こるドタバタ騒動、何か面白いことが思いつく人は是非、書いてほしい。
②
主人公が刑務所にぶちこまれた場面で登場する「プラスチック爆弾」。当初は「おれ」の脱走に使うつもりだった。
「ガム地蔵」の話を書いて以来、創作で炸裂させたい武器・小道具だったからだ。
しかし、たとえ壁を破っても、刑務所の外には鉄条網がある。
となると爆弾がもう一つ欲しいし、プラスチック爆弾は設置が難しそうだ。
鉄条網をどうやって突破すればいいのだ?書きながら悩みました。
この話は、悪いサンタがおれに与える不幸の連鎖からできている。
鉄条網をどうやって突破するか。たとえ突破できても、脱走したおれにサンタが再び与える不幸の何かいいアイディアを思いつかなければ、続きが書けない。
捕まって脱獄が中断するにしても、その後おれはどうなるのか?
そもそも、クリスマスイブに他人の家に侵入したからといって、状況的に大した罪にはならないし、速攻で判決が下り、クリスマスにはもう服役するなんてこともありえない。
フィクションで刑法や、犯罪者の処遇に関する手続きを正確に描写する必要はないけど、現代の日本が舞台の話を書いていて、アラには違いないから、脱走して再び捕まれば二重にアラが増える。おれもできるだけ正確に書きたい。
アイディアも法律の知識も必要だから、おれを脱走させることは難しい。だけど、爆弾は使いたい。
何も脱走するのはおれじゃなくてもいい。おれの不幸はここで終了させて、サンタとの因果関係も切り、別の展開を作ったほうがいいと思った。
しかし、脱獄しないまでも、爆弾が看守に見つかればただじゃ済まないから、不幸の状態が継続する。なんとかして爆弾を隠さなければならない。そのアイディアだけは必要だ。そうだ、壁に埋めてしまえと思いついた。
プラスチック爆弾は粘土状だから、崩した壁の補修に使えばいい。こういう強引なアイディアは得意技だ。その後、爆弾の塗られた壁が爆発して、囚人が脱獄しても、さらにダイナマイトなんかあれば、その後、鉄条網も突破できる。書きながらサンタからのプレゼントに、ダイナマイトと、拳銃も追加することにした。
オチには、コマンドーでシュワちゃんが使う武器と、ランボルギーニが登場するけど、今回の話では使わなかった。
おれはこれをどこかで使いたいと思っている。いつか書く話の種を蒔いた。
オマケ
YouTubeにあって本編が見たい「サタンクロース」