ガム地蔵(ホラー・閲覧注意)
さっき僕の前を行く自転車🚲が信号無視をした。
夜間だし、どう考えても車が通らないから、それはいいとしても、国道沿いの歩道の、六体のお地蔵さんが並ぶお堂の前で立ち止まった。
信号は守らないくせに意外と信仰心のある人なのかなあと思ったら、お供え物をするところにガムを吐き捨てていった。
それはいかんだろ。笑 罰が当たるぞ。
(以下、フィクション。)
この人が寝ていたら、砲弾とか、投げつけられた消火器🧯のように窓を突き破って地蔵が襲いかかってきたりして。笑
地蔵の口は石だから、脳内にテレパシーで、語りかけてくる。
男「なんだ、地蔵じゃねえか。驚かせんなよ。一体どうして窓から!?」
地蔵「先ほどはありがとうございました。あなたにお返しがしたくて参りました。どうして私にガムを吐き捨てたのですか?」
男「え!?あの地蔵!それはだな、お前の頭が欠けているから、パテのつもりでお供えしたんだよ。ありがたく受けとれよ」
なるほど、確かに地蔵の頭はひび割れて、欠損している。
しかし、プラモデルじゃあるまいし、地蔵様のひび割れを直すにしても、チューインガムを穴埋めパテ代わりに使ってはいけない。
地蔵「あなたの気持ちは受けとりました。それなら、私の頭の欠けた部分を埋めるのに、ガムよりもっといいものがあるのですよ」
男「な、なんだよ。フィリックスガムじゃなくて、バブリシャスガムかよ」
地蔵「違います。スプーン🥄でほんのひとすくいの・・・・・」
男「ひとすくいの何だよ。バニラアイスかよ」
地蔵「バニラアイスではありません」
男「ハーゲンダッツのグリーンティー🍵」
地蔵「アイスじゃないですよ。溶けて流れてしまいます」
男「昔話の傘地蔵みたいに、雪が降り積もる季節だったら、頭のひび割れを埋めるのがアイスでも溶けないからいいじゃねえか」
地蔵「まだ冬じゃないですよ」
男「おれの所にやって来たみたいに、北極⛄にテレポートすればいい話だろ」
地蔵「傘地蔵の話でも、私は寒いのが苦手なんです」
男「アイスじゃないなら、カレー🍛」
地蔵「カレーも流れてしまいますよ」
男「傘地蔵でジジイがお前の頭に巻いたのターバン👳だったじゃん。カレー好きなくせにー」
地蔵「私はカレー🍛を食べたことがありません。傘地蔵で親切なおじいさんが、私の頭に巻いてくれたのは自分が使っている手拭いです」
男「それじゃなんだよ。降参だよ」
地蔵「スプーン🥄でほんのひとすくい、頭の脳みそ🧠をいただければいいのですよ」
男「えっ・・・・・」
うぎゃああああああああああ
数日後、男は変死体となって彼の住むアパートから発見された。夜に窓ガラスの割れる音と、叫び声がしたと通報があり、後日、訪問した大家が第一発見者。男の住む号室のドアは内側から鍵がかかっており、大家はマスターキーを使用した。賊が窓を突き破って侵入したとは考えられない。ここはアパートの5階、階段の踊り場や、ベランダなど足がかりになるものは近くになく、北向きの小さな小窓だからだ。
男の変死体は司法解剖にまわされたが、脳の一部が、頭蓋骨を切り取ることなく削り取られており、欠損部分がチューインガムで埋めてあった。
チューインガムに付着する唾液から犯人を割り出そうとしたが、DNA分析の結果、死んだ男のものだと判明した。
怪事件のニュースを新聞📰で読んだ、筆者(本多)は心当たりからニヤリとした。
その後、筆者が地蔵の前を通ると涼しい顔の地蔵が何事もないかのように並んでいる。
地蔵の一体に近寄ると、頭のひび割れがあった箇所がピンク色をして脈打ってる。スプーンで削り取られた男の脳細胞🧠は地蔵に定着して生きていた。
エスパーである筆者はテレパシーで地蔵に貼り付いた脳🧠の声を聞いてみた。
「い、痛い」
男は、永久に脳を削られた時の痛みにのたうち回ることになるが、地蔵の体ではどうすることもできない。