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太陽を盗んだ男(1979)ドラゴンへの道(1972)

太陽を盗んだ男、休館前の文芸坐で観たけど、あまりにも面白すぎてびっくり仰天した。

中学の理科の先生がプルトニウムを盗んで、アパートの一室で原爆をつくってしまう。

手法としては、コマ送りを多用していて、これがよかった。原子力発電所のプルトニウムを盗むシーンの侵入から、警備員との格闘と脱走、これを通しで映していたら、すごく平凡になってしまう。シュワちゃんみたいなアクションが見せ物じゃないからね。原発というのはいわば機密の塊だから、完全に再現することはできないけど、これをコマ送りにすることで、特撮のアラがわからなくなるし、1コマ1コマが強調されることで、マンガみたいなデフォルメができる。警備員に対する拳銃の銃声が、インベーダーゲームの音を合成したものだから、やっぱりマンガだよね。

話としては70年代の大江健三郎の小説でこんなのあった気がする。「ピンチランナー調書」とか。どんな話だっけ。。。この人の小説って実は想像力豊かなSFだ。でも、原爆は個人が作るものじゃなくて、グループの犯行で、原爆を所有することで、東京に日本の主権の及ばない解放区をつくり、日本からの独立を宣言し、それから生じるドタバタ騒動ってのがふつうの発想だよね。

この作品のおもしろいところは、私的な原爆ということ。つくった本人が原爆をもて余してる。プロ野球のテレビ中継を延長したり、サラ金の借金返済にあてる資金を調達したり、ラジオ番組に電話をかけて、パーソナリティーがリスナーに原爆の使い道を募集する。ローリングストーンズの武道館ライブを実現するというのもおもしろいな。革命を成功させようとか、そういうのがまったくない。

個人的に菅原文太のアクションで好きなのは、「太陽を盗んだ男」「県警対組織暴力」だな。


ついでにドラゴンへの道(1972)の感想。これ中学の時にDVDで観た。これは完全な洋画だった。邦画とは全然ちがうな。レストランでメニューが読めなくて、適当に指さしたらいろんなスープを注文してしまい、すすってるところとか。大陸の人だからかな。ヌンチャクかっこいいよね。

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