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青・春 #8

ボスの前職は、猟師。
なので、家には自分が捕らえた
熊や鹿の剝製がすらっと並んでいる。

たまに夜になると獣害対策の為
猟銃を持って飼い犬の小型犬
(ティッツ)を連れて猟に出かける。

僕にはどこに獲物が居て
どこを狙って撃っているのか
全く分からないが
毎回一撃で仕留め
ティッツがそれを運んでくる。


いつもは可愛い小型犬のティッツも
猟の間は野生の顔になり
牙をむき出しにして
立派な猟犬となる。
が、僕はこれまで一匹も
仕留めることはできなかった。

仕事の昼休みに競馬場で何度か
クレーン射撃の練習もさせてもらった。
銃を構え、ホウッと言う
掛け声と共に空高く舞い上がった
皿を撃つのだが
僕には本当に才能が無いみたいで
一枚も皿を割る事はできなかった。

子供の頃から
シューティングゲームは
かなりやり込んできたのだけど
なんでもゲームの様には
上手くいかないものだ。。。

週末は床屋のおじさんが教えてくれた
図書館に行くことにした。
図書館の掲示板に貼られた
英語教室のチラシを発見し
なるほど、これだ。と1枚もらってきた。

授業まで時間があったので
いつもの海辺のベンチで
パステルカラーの炭酸飲料を
飲むことにした。

今日は来るのが早かったからか
BMX君達もまだ居なく
静かに海を眺められた。

その時、

おはよう!

あ、その声は。
僕も少し期待していたのかもしれない。

おはよう、マリンダ。

マリンダはこの街のピザ屋さんで
アルバイトをしているらしく
まだ時間があるようなので
一緒に街を散歩することになった。

マリンダは、
高校で日本語の勉強をしていて
来年は日本に留学を考えているのだとか。

あまりマリンダの話をすると
この僕のエッセイが
淡い、アオ・ハル もの
になってしまうので
今日はマリンダの話は
ここまでにしておこう。


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