リケジョが魅力的に感じるコミュニティとは
山下彩夏
東京大学工学部システム創成学科4年
「良いコミュニティ」ってなんでしょうか?
私はこの問いをずっと考え続けてきました。東京大学、学生団体、長期インターンシップ、研究インターン、派遣プログラム、相互扶助団体、起業コミュニティなどなど、多様な種類、属性のコミュニティをみる中で考え続けてきましたが、答えは出ておらずずっと今後も向き合いたいテーマになっています。コミュニティの複雑さは、人のアイデンティティの数だけ定義できるものだからだと思います。だから、私は自分が魅力的だと思えるコミュニティについて、自分のアイデンティティの観点から考えたいと思います。
私のアイデンティティは東京大学、工学部に所属する女子学生。世間からはいわゆる「リケジョ」とみなされるものです。「リケジョ」であることで、周りからのみられ方は少し変わると感じることは多いです。いわゆる学生団体やコミュニティにはあまりいない属性だからでしょう。それは実験などで忙しそうというイメージ、そもそもの母数の少なさ、そして「リケジョ」はとっつきにくそう、という印象もあるのかもしれません。
一つ確実に言えることは、「リケジョ」であり、だけど、学生団体とかコミュニティとかに入ってみたい。人とか会社とか、経済とか金融とかイノベーションとか。自分の専門だけではなく、様々な社会のことに対して興味は開かれている。そんな、自分のような存在にとってIdentity Academy(以下IA)はかけがけのない、素晴らしいコミュニティでした。もし、私と似た性格や考え方を持つ方がいれば、是非この記事を読んでほしいです!そして、皆さんにIAというコミュニティを是非おすすめします。
なぜIAに入ったか
私がIAに入った理由は至ってシンプルで、尊敬する人に勧められたからです。大学2年の時に、東京大学本郷キャンパス近くの学生が集うバー(LabCafe)に学生団体のメンバーと立ち寄った時に居合わせた人に紹介されたことがきっかけです。
その人は、研究や学業にも熱心でありながら、団体立ち上げなどでも大活躍する、まさにロールモデルにしたいと思うような方でした。振り返ると、自分がコミュニティを選ぶきっかけとしては、尊敬する友人や先輩との距離を縮めたいという憧れや楽しいことを追求したいという純粋なワクワクした気持ちが大きい気がします。
コミュニティに入る条件
ちょっと話が変わるのですが、私は中学の時からずっと海外に憧れていたので海外大学受験をしていました。海外大学受験で合否を決めるのはエッセーです。自分の志望動機を解像度を高く描き、さらに自分という人間をアカデミア、課外活動、社会貢献などのあらゆる角度から映し出していき、その大学がいかに自分を入れるべきなのかをAdmission Officerに説得させることが必要です。エッセーを通じて、 "Why ◯◯◯ University?(どうしてこの大学に来たいのか?)"と、"Why You?(なぜあなたはこの大学に来るべきなのか?どのような価値をもたらせるのか?)"という2つの質問に完璧に答えられた人が合格を得られます。
海外大学受験を経てから、コミュニティを選ぶ際は、前述したような憧れや、純粋に楽しそうだという気持ちに加えて、「自分はこのコミュニティのどこに惹かれるのか?」「自分はこのコミュニティにどんな価値をもたらせるのか?」を考えて選ぶようになりましたし、面接や志望動機を書く時にも意識していることです。では具体的にリケジョとしての自分がどのようにしてIAというコミュニティから学び、逆に何に貢献できたのかを考えたいと思います。
リケジョがIAから得られたもの
「リケジョ」である私が IAから得られたものは、IAの授業の内容である、金融やイノベーションに関する知識と実践力はもちろんですが、それ以上に大きく、自分のアイデンティティについて深く考えるきっかけを得ることになりました。
IAでは、チームとなってイノベーション事業構想や株式投資運用を行うのですが、このチームワークを通じて、実験のような答えや方向性の決まったものではなく、全く答えがわからない不安な中で、異なるバックグラウンドの人と歩み寄る協調生が求められました。また、(私とは違い)多くのメンバーが社交性溢れるコミュニティにおいて対人コミュニケーション能力が大きく鍛えられた気がします。
さらに、バックグラウンドの異なる人とのやりとりを通じて自分の人生観やキャリアについての考えが深まりました。もともと私は技術を活用したスタートアップに興味があり、将来は起業するか、起業を支援する側として生きていきたいと思っていました。しかし、IAの授業を通じて、起業するにしても就職するにしても「リケジョ」として自分の技術についての専門知識を活かして生きてきたいという思いを強くすることになりました。また、将来設計から逆算して意思決定を学びたいという逆算思考でIAに参加していましたが、多様なキャリアを歩んで活躍されるゲストの方々や、優秀で素敵なIA同期たちを見ていると、自分の好きなことに素直に従った方が楽しく、かつ結果的に筋道の通った人生になるのではないかという気づきを得ました。人生は自由に生きられるし、楽しいことを追求することが最終的に良い結果をもたらすのだろうという気付きと学びの多い時間でした。
リケジョがIAに与えられたと考えるもの
それでは、"Why You?"の部分について考えたいと思います。「リケジョ」としての自分がIdentity Academyに対して貢献できたこととは何だったのでしょう。
一つは「リケジョ」というアイデンティティがチームに多様性と新しい側面をもたらしていたと考えられます。意思決定の際にデータや定量的なアプローチを提供したのも、ある一種の価値提供だったと考えられます。また、自分が学科で学んできた専門分野としての機械学習やAIなどの知見を活かせた局面もありました。具体的にはイノベーションの課題では画像生成AIを活かしてスライドやクリエイティブ系に貢献したり、金融の投資のプロジェクトの際にはデータ整理を行ったりしました。
チームには、全く同じ人が5人いても意味はありません。今まで違う人生を歩んできた異なるバックグラウンドを持つ人たちの知見が組み合わさることで大きなバリューが発揮されます。多様で価値のあるコミュニティを作り出す上でリケジョの存在は欠かせないのです。
最後に
ここまで読んでくださってありがとうございました!
今までたくさんのコミュニティに突っ込んだ自負のある私からしてもIdentity Academyという場所は非常に特殊で、リケジョというアイデンティティをまるっと受け入れてくれるバックグラウンドとアイデンティティの多様さがありつつも、どこか思考や姿勢は近くて共感できる人が多く、刺激的だけど安心できるような不思議な場所でした。
質問ある方は遠慮なく聞いてくださればと思うので、一人でも多くの人にIdentity Academyの魅力が伝わり、その人もこのコミュニティに貢献できるようなものがあるとしたら何なのか、考えていただくきっかけになればと思います。