“美濃加茂だから、夢を叶えられた”ーープロジェクト発起人が描く「MINGLE」の未来予想図
“訪れるすべての人が、自分らしい生き方に出会えるように”
そんな思いから生まれた、岐阜県・美濃加茂の町興しプロジェクト「MINGLE」。
2017年5月から本格的に始動し、2018年3月からはクラウドファンディングによる資金調達をスタートさせました。
ページ公開後、一か月で支援金額は100万円を突破。支援者の数は、およそ90にも昇ります。
支援の募集期間は、5月30日まで。終了までのカウントダウンが始まるなか、「MINGLE」への想いをより一層強める人物がいます。
プロジェクトの先導者、碇和生(いかり かずお)です。
神奈川県は横浜市で生まれ育った彼が、初めて美濃加茂を訪れたのは3年前。
それまで縁もゆかりもなかった土地で、なぜ彼は「MINGLE」を立ち上げることになったのか。どうして美濃加茂なのか。「MINGLE」を起点にどのような活動をしていくのか…。
プロジェクトページだけでは収まり切らなかった、碇の「MINGLE」へかける強い思いに迫りました。
PROFILE
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碇 和生(いかり かずお)
株式会社IDENTITY 共同代表取締役。大手金融機関などへのWEBマーケティングのコンサルティングに従事。その後、非営利事業やスタートアップの創業を経て、複数のスタートアップで資金調達/マーケティング/新規事業立案のアドバイスを行う。
「MINGLE」プロジェクト発起人の素顔
—今日は、よろしくお願いします。まずは碇さん自身について教えてほしいのですが、もとは横浜市の生まれなんですよね?
碇: そうです。横浜市で生まれ、3年前までは東京で働いてました。ECサービスなど、IT関連の会社を経営していたんです。名古屋に引っ越すことが決まって、前職の経営は知人に引き継ぎました。
—名古屋に来てからは、主にどんなことを?
碇:株式会社IDENTITYを立ち上げ、ベンチャー企業を中心に、起業支援やマーケティングのコンサルタントをしています。ただ、メインで稼働しているのは、自社で運営している「IDENTITY名古屋」というメディアで。
—“名古屋から車で一時間”がコンセプトでしたよね。
碇: はい。名古屋を中心に東海エリアの飲食店やイベント、観光情報などを毎日発信しています。立ち上げから約3年経ちましたが、今では月間で20万人が見ているメディアになりました。
—20万人…。単純に計算すると、名古屋市に住む10人に1人の数に値しますね。
碇:ほぼ毎日のように記事を見ているおかげで、名古屋にはだいぶ詳しくなったんじゃないかな。これからも色んな地域情報を発信して、名古屋という町をデジタルの視点から分析できたらなと思っています。
また「IDENTITY名古屋」を軸に、日々の暮らしを彩るインスタマガジン「cocorone」やインフルエンサーを起用したPR事業「Tity」なども立ち上げていて。デジタルの領域で、少しずつ活動の幅を広げています。
美濃加茂で「MINGLE」を立ち上げた理由
—「MINGLE」について詳しく聞いていきたいのですが、なぜ今回のプロジェクトを美濃加茂で立ち上げることになったのでしょうか?
碇: IDENTITYの共同代表であるモリジュンヤが、 美濃加茂の生まれで。彼の帰省に合わせて、町を案内してもらったのが始まりでしたね。彼の紹介を通じて、現地の人たちとも知り合うようになったんです。
—ジュンヤさんを通じて、美濃加茂での人脈ができたと。
碇:現地の人たちと出会い話を聞くなかで、少しずつ美濃加茂について学んでいきました。町の特色や歴史はもちろん、市民が抱えている問題なども話してもらったり。
ープロジェクトページに書いてあった、在留外国人の雇用問題などですよね。
碇:その通りです。美濃加茂で暮らす外国人を始め、定時制の高校に通う子ども達の未来に手を差し伸べたくて。
これは他の地域でも言えることですが、閉じた世界で生きていると人脈や選択肢にどうしても限りが出てきてしまうんです。
ーわかります。地元以外のロールモデルが見えてこないですよね。
碇:だからと言って、住み慣れた土地を出て行くことは簡単にできることじゃない。自分の好きなところで暮らしながらも、多くの人脈や選択肢がある状態が健全だと思ったんです。
じゃあ、その状況を生み出すために自分たちは何ができるのか?そんな思いが、ビルを借りるきっかけになりました。
—駅前の空きビルを知ったのも、地元のかたを通じて?
碇:はい。3年ほど前にジュンヤの高校時代の先輩に紹介してもらいました。このビルを拠点に、様々な交流を生み出せればなと。
同時に、美濃加茂でいいことをやっている人が外に売りやすくなる体制をつくることも視野に入れてました。
—なるほど。ビルを借りた当初から、「MINGLE」構想の基礎があったんですね。
「コミュニティ制度」の存在意義とは?
—「MINGLE」には「コミュニティ制度」というのが設けられていますよね。これはどういうものなのでしょう?
碇:簡潔に言うと、「MINGLE」を訪れる人が気軽に何かを始めるためのシステムです。
コミュニティメンバーは、月額でお金を払うことで「MINGLE」のスペースをお得に利用でき、また「MINGLE」と提携を結んでいる地元の商店で特典を受けることもできます。
ただ、今後「MINGLE」で何かを始めたくても、費用の面で一歩を踏み出せない人も出てくると思うんです。
なので「コミュニティ制度」で集まった資金は、在留外国人や定時制に通う子ども達など、費用の面で足踏みしている人たちが、無料で「MINGLE」のスペースを利用できるための原資に当てようかなと考えています。
ーなるほど。「MINGLE」に関わる人たちでお金を出し合い、そこを拠点に新しいことに気軽にチャレンジする風土を作り上げていくわけですね。
碇:まさにそうです。株式会社IDENTITYとしてではなく、美濃加茂という町全体で「MINGLE」を盛り上げていきたい。そういう意識を共有していくためにも、「コミュニティ制度」は必要なのかなと思います。
ー例えば「コミュニティ制度」を通じて、どのような活動が増えると良いでしょうか?
碇:1日だけの飲食店経営や、お料理教室のようなワークショップの開催。美濃加茂の外から来た人が、ビルの1階でイベントを開き、そのまま2階で泊まるのも面白いのかなと。
ー想像しただけで、ワクワクしますね。
碇:在留外国人のなかには、名古屋で寿司職人として働いていた人もいるんです。勤めていたお店の改装工事をきっかけに彼は美濃加茂に戻ってきましたが、寿司職人としてのスキルを活かせる場所がなく、工場で働くことになりました。
それって、すごく惜しいことだと思うんです。特技を持っている人が、それを発揮できる場所として「MINGLE」を活用してほしいですね。
「MINGLE」の未来予想図
ー「MINGLE」の長期的な目標はありますか?
碇:まずは「MINGLE」をきっかけに、独立できる人や企業の数を増やしていくこと。美濃加茂にいながらも、世界に向けて何かを挑戦する人がどんどん現れてほしいです。
一人が挑戦し成功すれば、自ずと後ろを付いてくる人はいると思うので。「あの人ができたなら、自分も」という好連鎖が「MINGLE」を起点に生まれるのが理想です。
ー「MINGLE」の誕生で、“地方だから”という理由で夢を諦める人が減りそうですね。
碇:そう願っています。あとは、「MINGLE(混ざる)」という名前のごとく、ビルを拠点に美濃加茂と他地域の境界線が交わるようになれば本望です。
—と、言いますと?
碇:他の地域からも「MINGLE」を利用するために美濃加茂を訪れる人や、逆に「MINGLE」を起点に美濃加茂の外に向けて挑戦の幅を広げる人。そんな人たちが増え、美濃加茂という枠に囚われない交流や活動が広がって欲しいです。
それを実現するためにも、株式会社IDENTITYとして自分たちが持っているデジタルスキルを存分に活かしながら、美濃加茂あるいは岐阜のブランドや魅力を「MINGLE」起点で外に発信し続けていきたいと思います。
—ひとつ、とても気になることがあります。碇さんは横浜で生まれ育ったわけですよね。故郷でもない美濃加茂を盛り上げようとする、その原動力はどこから来ているのでしょうか?
碇: 僕、美濃加茂に憧れてた部分があるんです。
—憧れ、ですか。
碇:自分が生まれた町では、いわゆる“地元コミュニティ”というものがなくて。町に対しての帰属意識が薄かったんです。
だから美濃加茂を訪れて、初めて町のコミュニティというものに触れたとき、率直にいいなって感じました。
寛容的な人が多いんです。他所から来た人間を温かく迎え入れてくれる。そんな美濃加茂が好きだから、一生懸命になれるんだと思います。
—美濃加茂という町柄が、碇さんの背中を後押しをしていると。「MINGLE」の完成が待ち遠しいですね。今日は、ありがとうございました!
かつて宿場町として栄えていた町、美濃加茂。
年齢、性別、肩書き、生まれた土地や文化。それぞれに異なる人々が集い、笑い声で満ち溢れていたあの頃の活気が、町に取り戻されつつあります。
「MINGLE」プロジェクトの現場では、美濃加茂市の内外から人が集まり、一つの目標に向かって共に切磋琢磨し合う姿も。
“美濃加茂にいるから夢を諦めた”のではなく、“美濃加茂にいるから夢を叶えられた”。
そんな人たちで溢れる日も、そう遠くないのかもしれません。
※MINGLEクラウドファンディングはこちら
https://camp-fire.jp/updates/62937#menu