IDENCEカメラマンコンビ
駒井×はせP
ふじも:はい、よろしくお願いします!
今回は2人ともカメラマンですね〜。
駒井&はせP:お願いします。
ふじも:じゃあ、今回は2人の作風とかこだわりたいこととか、共通するところ違うところがあるのではないかということで、そこについて話していただければと思います。
はせP:別に特に意図はせずとも、アウトプットされたものが並んだ時の見栄えがめっちゃ違うようになってきたよね。
駒井:そうっすね。何が違うんだろうっていうのもあるけど、どの段階からまず違うんだろうな。
2人のリファレンスの違い
はせP:リファレンスが違うよね。べースから違うんだろうね。
駒井:うん、たしかに。
はせP:俺はあんまり海外文献とか見なくて、ストレートに日本のCMをめちゃくちゃ見てる。
駒井:あー、そうですよね。
逆に俺は最初の入り口が「海外クリエイティブかっこいい」だったのと、あと海外のチュートリアルばっか見てたので、日本のカメラマンやディレクターの方を全然知らずにやってた時期もだいぶ長かったですね。
はせP:そうね、クリエイティブへの入りも結構違うよね。
駒井:でも、日本のCMってぱっと見るとすごい無難に見えると思ってたけど、自分でカメラマンやってみるとベクトルが違うだけで、作り込みの深さは全然海外のと変わらないなって思いました。
逆に俺は最初海外から入ったものの、日本のCMのすごさもわかってしまって、最近はちょっとわけわかんなくなっている感じですね。笑
ふじも:なるほど、結局どっちもすごいんだ。笑
駒井:やっぱものづくりも、消去法でやった方がやりやすいっていうのはめっちゃあると思うんすけど、そういう思考が邪魔してきて、何がいいのかわかんないことがたまにあるのが最近悩みではあります。
はせP:そうねー。
あと、普通に自分でディレクションまでやるかどうかってところも、やっぱ画作りとしてめちゃくちゃ違うなと思ってますね。
やっぱり基本コンテに対してのアウトプットでしかないから、それに対して演出の段階から「こういう画撮りたいからこういう企画にしよう」とか考えたりするじゃん。
多分そこら辺のアウトプットの違いだよなと思う。
駒井:それでやってきちゃった分、さっき言った方向性決められないってところで悩んでるんすよねー。
結局その監督が求めてるものがなんなのか、色んなベクトルから考えて決めなきゃいけないのが難しくて。
コレもいいかもしれないしアレもいいかもしれないってなるのが、最近は汲み取り力が足りないなって。
はせP:ね、わかる。
カメラマンとしての仕事ってなった時と、やっぱり話が全然違うもんね。
自分で作るアーティスティックな部分を突き詰められる時と、クライアントワークになってきた時とで違うんだよね。
どうだろう、何が1番違うんだろうね。
でも、ぶっちゃけ撮っちゃえば楽しいよね。笑
駒井:いやわかる。どっちもそれぞれ別の楽しさですよね。
はせP:自分でディレクションするときは「自分の作品を作るぞ」って気持ちがあるけど、逆にカメラマンとしてやるときは、やっぱりその自分の画作りのスキルを使って、リクエストに答えるっていうのかな。
パズル的な楽しさがあるから、全然また違うものではあって。
監督が求めてるものとか、予算の話もあるし、できる範囲内でどれだけ目指すものに近づけられそうとかを考えるってところが仕事だよね。
駒井:単純に0ベースでなんかいい感じのもの撮れるっていうのもそうだけど、いろんな要素を鑑みた中のベストっていうのが難しいから、どっちも楽しいんですけど。
はせP:そういうカメラマンの思考って多分、機械好きな人が好きなタイプの思考だよね。
お金考えてはめて、どのやり方がいいかとか、カメラどれがいい、レンズどれがいいとか、腐るほどベクトルあるのをどうまとめるか、みたいな感じ。
駒井:たしかに。
はせP:コンテに対してどうブラッシュアップできるかとか、自分がちょっとやりたい方向を入れるとか、話し合うとか。
あと自分だけじゃなくて、周りの照明部、美術部とか関わってくると、誰に頼むのがいいかなとか考えるのもあるし。
駒井:そうですね。
あと、監督の意向を100%反映しなきゃいけない場合と、逆にこっちの即興が求められる部分が両方あるってのもまた難しいっていうのはありますね。
はせP:わかる。
「コンテがあるから意外と裁量ないんじゃね」とか思われそうだけど、コンテって本当に形と映したいもののイメージなだけであって、実は結構任されてるよね。
駒井:意外とディレクション的な目線で、演出、演技、ブロッキングとかについてもやっぱ考えないといけないな、みたいな。
はせP:割と責任重くて怖いところもありますよね。
めちゃくちゃ楽しいけどね。
ふじも:うーんカメラマンは色々抱えてるんだね。
話ちょっと変わるけど何撮るのが好き?
2人の撮りたいもの
駒井:俺はやっぱ、コントロールされた環境で、コントロールして撮りたいっていう気持ちがありますね。
ライティングとか室内とか屋外でもいいけど、コントロールできれば、逆になんでもいいのかなっていう気はしてて。
はせP:題材にこだわりたいというよりは、綺麗に作りきれる空間で撮りたいっていうことだよね。
駒井:そうです。
コントロールさえできれば、別に自然光の周り方を自分で判断した上での実験とかも全然楽しいし、室内のディティールを撮るみたいなのでも楽しいし。
逆にコントロールしきれないものがある中で、1番点数上げるにはどうしたらいいかは難しいですね。
はせP:うん、生物ドキュメンタリーチックな話になると突然難しいよね。
俺はあんまりこだわりないんだけど、やっぱ基本的に人撮ってる方が好きだな。
元々ずっとお芝居撮ってたから、お芝居の空気感とか、いい表情とか、そういうところをちゃんと、絵として表現してあげるとかすごい好きだから。
駒井:たしかに。
それで言うと、やっぱお芝居系も覚えた方がいいなと思いつつ、自分のコントロールの手が及ばない範囲に対しての関心はあまりないみたいなんですよね。
はせP:カットの繋がりとかってさ、基本的に監督がコンテ出してきて色々考えるところではあるけど、カメラマンとして行った時に前後の繋がりとかってどれぐらい意識して撮ってる?
駒井:それむずいな。
カラコレも自分でやんなきゃいけないから割と気にしますけどね。
後々繋がるかどうかってのは撮る時に考えなきゃいけないなってめっちゃ思ってて。
特にライティングで言えば、やっぱ現場のモニターで100%いいルックになってるかどうかっていうよりかは、背景の質感が合ってるかとか、あとは光質※1 が違わないかとかを気にしますね。
光質優先して光量差とかが出ちゃったとしても何とかなるけど、光質変わっちゃってたら、どうしようもなくなっちゃうのもあるから。
そうですね、俺の場合はライティング的な繋がりと、その後で繋げやすいかどうかっていうのはすごい気にしてはいます。
※1 光質:被写体への光の当たり方
はせP:繋がりもいろんな種類あるよね。
ルック的にっていうのと、お芝居的にみたいなところと、人の動きと、色々あって難しいよね。
駒井:ですよね。
俺は、はせPはライトとかカラーよりもアングルとかワーク系のカメラマンだなと思うんですけどどうですか?
はせP:まあそっちの方が好きだね。笑
自分よりカラーできる人いるってわかってるからっていうのもあるけど。
だからやっぱ俺はお芝居とかカメラの動き的な繋がりの方が気になっちゃう。
もしかしたらそれが切れるアングルの中では最良じゃないかもしんないけど、繋がりとしてはこっちが絶対いいとか、そういう思考はやっぱある。
駒井:アングルってやっぱ無限の可能性あるじゃないですか。その中で1番いいアングルを切る思考のワークフローが欲しいなと思って。
なんか考えてることありますか?
はせP:ほんとモノによって違うとは思うんだけど、でもやっぱ日に日にロケハンの重要性をすごい感じるようになったかな。
それこそ始めたばっかりの頃とか、最悪ロケハンなくてもとか思ったことあったじゃん。
駒井:そうすね。笑
はせP:でも今ロケハンなしで現場行くのめちゃくちゃ怖いすね。
それは思考として絶対変わった。
駒井:やっぱあれですね、他部署がいる状況と本番の限られた時間の中で、自分がアングル切る時間を取るのって恐怖がありますよね。
はせP:あと、仕事として考えた時にもすごい大事な工程だなと思うし、やることによって絶対良くなるしね。
駒井:ある程度以上の規模になってくると、カメラマンがアングル切るまで現場動けないみたいな状況もよくありますよね。
はせP:そう、カメラが動いてようやく全部が動き出す。
駒井:それはやっぱ思います。
1人でやるのと、そこがやっぱ1番違うんですよ。システムの中で、最短の時間で最良のやつをやってください、どうぞみたいになる。
はせP:そうだね。
アングル決めるのが早いけどいいって、いいカメラマンって言われるベクトルのうちの1つだよね。
駒井:うん、たしかに。
はせP:話変わるけど、お芝居してる人に認知されるカメラマンってやっぱすごいなと思って。
カメラマン冥利の1つというか、いいな、そうなりたいなと思った。
駒井:たしかにみんなどう思ってるんですかね。
他部署から見たカメラマンが何を思われてるのか気になる。
はせP:そうなんだよね。照明部とかさ、今のアングルどう思ってるんだろうとかさ、やっぱふとした時にすごい気になるよね。
駒井:そうですね、どの部署がカメラマンのどこを見てるのかっていうのは知りたいっすね。
ふじも:なるほどー。
駒井:カメラマンキャリアの頂点として何を目指してるかみたいなのはありますか?
はせP:それでいうと、さっき話した役者さんから見て、いいカメラマンだって思ってもらえるっていうのが、1ついいなと思ったことかな。
でも別に俺はコテコテの広告も大好きだけどね。笑
駒井:俺が好きなのは、やっぱそのビジュアルを作るっていうのがすごい大きくて。
やっぱそのビジュアルのパワーで何かをしたいなって思うことが多いから、CMとかMVみたいな、ビジュアルが頼られてる部分が大きい媒体でなんかやりたいなってなってます。
はせP:うんうん。
俺は広告なんだけど、表現手法として、ちょっとお芝居入ってきたりとかするのが好きだね。
だからティファニーのショートフィルムとか、めっちゃ好きなのよ。
そういうものに対してぐっとくるというか、わかりやすく誰かのためになってるし、ネットに上がるものって、どう思ってくれたかとかもわかるしいいなって思う。
はせPの好きなショートフィルム
駒井:そうっすよね。
俺はマジで何を撮るのでもいいけど、15秒ワンカットみたいなやつのライティングと、ワークをひたすら集めるみたいな方が好きなんでそういうところは違いですね。
はせP:大前提カメラマンはみんないいものを撮りたいんだよね。
なんか同じようで違うし、違うようで同じなんだろうなって感じ。
駒井:うんうん。
はせP:まあ、まだ我々キャリアの端くれだからね。笑
恥ずかしながらそもそもの話、偉そうなこと言えたものじゃないからね。
駒井:そうなんすよね。笑
でもちょっと自分のワークについて話したいんで、最近撮った作品について何かしらコメントしましょうよ。
ふじも:いいね、お願いします。
2人の最近の作品
駒井:最近俺がやった中で好きだったのは、安藤祐輝さんのMVですね。
これはどんなやつだったかって言うと、1DAYのロケで、ミニマルなセットアップでひたすら撮りまくるというやつでした。
ロケは、海岸と古いアパートの中で、いいアングルといいライティングをのロケハンで探って、ひたすらそれにはめていくみたいな。
コンテのイメージに近い場所を、ある中から探していくみたいなプロセスでやるやつだったんですけど、どこを使おうかっていうチョイスとか勉強になったし、楽しかったなっていう作品でしたね。
駒井が撮影したMV
はせP:たしかにこれマジで俺には撮れない絵をしている。
ふじも:すごいかっこいいね。
はせPはなにかありますでしょうか。
はせP:うーん今年1番楽しかったのはBOVAに出したやつかな〜。
ありがたいことに協賛企業賞いただいたんですけど。
マスメディアン「クリエイティブな仕事を応援する。をテーマにした動画」第11回BOVA協賛企業賞
ふじも:あーあの面白かったやつ!
はせP:そうそう。
マスメディアンって広告の求人系とかをやってるところで、広告ってやっぱりいいなと思ってもらえるものを、3分以内のショートフィルムで表現してくださいっていうお題だったのね。
ふじも:うん。
はせP:テンポよく進んでいく感じなんだけど、暗めの会議室で緊迫した絵を出していくっていうシリアスなシーンが多めで、そのリファレンスとしては、シンゴジラとかシンウルトラマンとかのすごいテンポのいい会話の切り返しのシーンが1つモチーフになってて。
あとほぼ自主制作みたいなもので、みんながやってやろうぜってなってる熱い感じが楽しかった。
あとはアングル的なオーダーに対しても、最近ストレートにお芝居撮れてなかったから、すごい良かったなと思って。
駒井:いいですね。
はせP:うん、楽しかった。
ふじも:じゃあ最後、やったことないけど、今年やれたらいいなみたいなやつがあれば聞きたいです。
駒井:それで言ったら、俺はスタジオかな。
スタジオかハウスの1〜2カット勝負みたいなやつをやってみたいなと思います。
はせP:俺はちゃんとルックにこだわれるロケに行きたい。
今年ちょっとロケやってなすぎて。
駒井:いや、たしかに。それもやりたいな。
はせP:ちゃんとしっかり作れるんだったら、ゆっくりロケで撮ったりしたいなって思うね。
ふじも:うんうん、いいね。
はせP:ということで、我々は随時お仕事募集中ですので、ぜひ撮影だけでもご相談いただけたらと思います!
案件の規模を問わず、制限の中で色々やりくりするのとかは散々やってきたしね。
駒井:カメラって結局何やってもおもろいんですよね。
ロケがしょぼかろうが、何がしょぼかろうが、その中でベスト出すっていう作業が結局おもろいっていうのもあるから、基本色々やりたいですね。
はせP:できなさそうだなってことでも、1回相談してみて欲しいですね。
ふじも:これからの2人も楽しみにしてます。
ありがとうございました〜。
駒井&はせP:ありがとうございました!