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アンティークとぶらんこ

テーマ おかしな喫茶店

メイン人物
・喫茶店のマスター
・客(男)
・客(おばあさん)

喫茶店と聞くと何を想像するだろうか?
コーヒーなど様々な香りのかおる
喫茶店が、浮かんだ

耳障りではない、
ゆったりとしたクラシックのBGMに
心落ち着く雰囲気

居心地の良い店で客もそれなりに入っている
まぁ普通の喫茶店だ


ある事を知るまでは



コーヒーが、テーブルに置かれた


客(男) "頼んでませんが…"


すると、マスターが微笑み、扉を指差した

訳も分からずただコーヒーを口に流し込む

苦さを感じたまま扉に手を掛けた
すると…



その扉の先はVIPルームで、
お客の上品なおばあさんが
にっこりと私に話しかけてくる



おばあさん "お久しぶりねぇ
      だいぶ大きくなりましたね
      あの頃はコーヒー飲めない
      お子様だったのにねぇ"

見覚えのあるような
何だか懐かしい感覚だ

客(男) "大変失礼ですが
     私をご存じなのですか?"


そう聞くと、彼女は手にしたカップをそっと
テーブルに置き、私の方を向いて言った


おばあさん "あなたは幼い頃、夕暮れ時に
      いつも公園のブランコに乗って
      悲しそうな顔をしていたね"



自分でも忘れていた、
いや忘れていたかったあの頃を
なぜ彼女は知っているのか


気味が悪かったが
ふしぎと嫌な気持ちにはならなかった


当時、私は家庭のことで
悩みを抱えていた



両親はいつも喧嘩がちで、
居場所ない時はふらっと、
公園のブランコにいたことを思い出した


あの時


私の話し相手になってくれた方だ
不意に懐かしい笑顔が浮かんだ


客(男) ("あれ?
                 おばあさんとマスターが目で合図してる
                 あのおばあさん、ここのマスター知り  
                 合い?")

マスター "もう後戻りはできません
                  ご案内します、こちらへどうぞ"


マスターが徐(おもむろ)に手を引き
真剣な眼差しでこちらを見てきた


マスター "奥の扉を開けてください"



恐る恐る手を伸ばし扉を開けると


そこには,沢山の高価そうな
アンティーク品が、置いてあった



おばあさん "ビックリ、させたわねぇ
                       マスターったら"


二人は,微笑んだ


マスターは私に前へ進むよう促した


おばあさん "この中から、
      あなたが、気にいった品を
      差し上げたくて
      公園で出会った時から,
      決めてたことなの"

おばあさん "私達には,子供が,授からず
      、辛い日々…。
      あなたと公園で、お話することが、
      楽しみだったわ"

マスターと、うなづいた


おばあさんは、あの時からずっと私のことを
見守ってたのだろうか?


あの時、おばあさんの後ろの方で
微笑んでいた男性は...


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